黄砂とPM2.5の違いは何?健康への影響をチェックしよう

春は黄砂の影響で、洗濯物や車が汚れるといったことが起こります。特に、空が濁った色をしているような場合は、見通しの効く距離が悪化し、交通機関に影響の出る可能性もあります。また、黄砂の情報と合わせてPM2.5に関する注意の呼びかけがされることもあります。
黄砂やPM2.5ではどのようなことに気をつければいいと思いますか?そもそも黄砂とPM2.5の違いは何なのでしょうか?
このコラムでは、黄砂とPM2.5の違いや両者の詳しい特徴について、そして健康への影響や必要な対策について解説していきます。

簡単解説!黄砂とPM2.5の違いは何?


はじめに、黄砂とPM2.5の違いについて簡単なポイントを解説していきます。
黄砂は、中国大陸の砂漠域で風によって吹き上げられた砂やちりなどが、上空の風に流されながら日本に運ばれ、大気中に浮遊もしくは落下してくる現象のことをいいます。
一方、PM2.5は大気中に浮遊している直径2.5μm(1μmは1mmの1/1000でとても小さい)以下の小さい粒子のことをいいます。
粒子サイズで決められているPM2.5に対し、黄砂は大気中で起きている現象とそれぞれ理解しておくと良いでしょう。
黄砂やPM2.5は濃度が高いほど、交通機関や私達の身の回りの生活・健康に影響を及ぼす可能性があります。それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

黄砂はいつどこで多い?発生のメカニズムや特徴について解説

黄砂発生のメカニズム


黄砂発生のメカニズムについて解説していきます。黄砂の原因となる砂は中国大陸の砂漠地帯に分布しています。この地域に低気圧が通過すると、強い上昇気流によって多量の砂が上空へと舞い上がります。上空へと舞いやすくなるためには、冬から春の空気が乾燥していることが重要になります。はるか上空では偏西風が流れていて、上空へと舞い上がった砂は、この強い西風に乗って東へと運ばれます。そして、海を越えて日本列島へ達し、自然に落下してくることもあれば、雨に混じって降ってくることもあります。

黄砂は春に多く飛来する?季節変動について


参照データ:黄砂観測のべ日数表(気象庁)

黄砂が春に多いというのは本当かどうか、月別黄砂観測のべ日数のデータから黄砂の季節変動について確認してみましょう。黄砂観測のべ日数は黄砂を観測した地点の数を合計した日数です。全国には11の黄砂観測地点がありますが、例えば、ある1日に福岡と鹿児島の2地点で黄砂を観測した場合、のべ日数は2日となります。のべ日数が多いときは、日本の広範囲で黄砂が観測されていると解釈するとわかりやすいです。気象庁による黄砂観測のべ日数の平年値を確認すると、2月が3.1日、3月で13.7日、4月19.1日となっています。2月から4月にかけて、のべ日数が多くなっています。春は、黄砂が飛来しやすく、さらに広範囲に影響が出やすい、ということがわかります。

黄砂の影響は距離が近いほどどうなる?

黄砂の影響は発生場所からの距離によって異なります。
発生箇所の砂漠域に近いモンゴルや中国大陸では、濃度が格段に高くなります。施設や線路の埋没、人への健康被害など被害が深刻になりやすいです。一方、日本では、黄砂が到達する頃には濃度が低くなるため、自動車や洗濯物などの汚れにとどまることが多くなります。ただ、高い濃度のまま、日本へ飛来することもしばしばあり、見通しの悪化に伴う交通機関への影響なども引き起こすことがあるため注意が必要です。

どのような黄砂対策が講じられているか?

黄砂対策は主に発生源対策や黄砂予測といった2点です。発生源対策としては、植林や伐採量の制限などがあります。黄砂予測では、気象庁による予測情報や天気予報による解説を通じて、早めの備えにつなげることが可能です。そらくらの天気予報でも黄砂の影響について解説することがあります。日々の天気予報の解説で黄砂の注意喚起を見かけた場合は、黄砂に対する備えをしておくと安心でしょう。

PM2.5の特徴は?黄砂とどのような関係がある?

PM2.5はどのように発生するのか?


つづいて、PM2.5についても特徴について解説していきます。
PM2.5の発生は、一次生成と二次生成に大きく分けられます。一次生成では、焼却炉や自動車の排ガスなどの人工由来のもの、土壌や火山、海などの自然由来のものがあります。二次生成では、燃焼によって排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などのガス状の物質が大気中で光やオゾンと化学反応を起こすことによって小さな粒子が発生します。

濃度が高いと人体にも影響のおそれ


PM2.5は粒子のサイズがとても小さく、呼吸することによって人体の中に入り込みやすいため、濃度が高いほど影響が心配されています。環境省では、注意喚起のための暫定指針が定められていて、70μg/㎥を超えるような値となった場合は、不要不急の外出や屋外での激しい運動を控えたほうがよいとされています。このような基準に達した場合は、自治体からPM2.5に関する注意喚起が行われる場合があります。
近年では、自動車排ガス規制など大気汚染防止のための取り組みも多くなり、年間的なPM2.5の濃度は減少傾向にあるとされています。

PM2.5と黄砂の関係について

春は黄砂の飛来しやすい時期となりますが、飛来してきた粒子のサイズが小さい場合はPM2.5の濃度を高める場合があります。そのため、テレビなどで黄砂に関する情報とPM2.5に関する注意喚起の情報を確認した際は、小さな粒子の侵入も軽減できるような機能性の高いマスクなどを準備しておくと安心です。

健康への影響は?マスクやメガネを着用できる備えがあると安心


ここまで黄砂やPM2.5の特徴について解説してきました。黄砂やPM2.5はそれぞれ濃度が高い場合は健康にも影響を与える可能性があります。例えば、黄砂の濃度は砂漠域に近づくにつれ高くなりやすいです。黄砂・PM2.5ともに、呼吸器疾患を持病としている方の症状を悪化させることが環境省からも指摘されています。影響を受けやすい地域に行かれた際は、不要な外出は避ける、外出の際はマスクやメガネなども多めに用意しておくと安心です。日本の場合は、その多くは洗濯物や車の汚れにとどまりますが、洗濯物の室内干しや防護シートをかけた外干しなど、対策を万全にしておくとよいでしょう。
また、黄砂によって見通しの効く距離が2km未満になる場合は、航空機への離着陸にも影響の出る可能性があります。悪化の程度によっては欠航することも知識として覚えておくとよいでしょう。

黄砂やPM2.5に関する知識を深めることはできましたでしょうか?
そらくらでも日々の天気予報と合わせて生活情報のコラムもお届けしていますので、春のコラムもたくさん読み進めてみてください!

<参考>
環境省:黄砂とその健康影響に関する調査研究
https://www.env.go.jp/chemi/post_121.html

環境省:黄砂対策
https://www.env.go.jp/air/kousa/index.html

気象庁:黄砂に関する基礎知識
https://www.data.jma.go.jp/env/kosahp/4-4kosa.html

環境省:微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

環境省:黄砂の健康影響の解明に向けた環境省関連の研究成果
https://www.env.go.jp/content/900410635.pdf