春の4Kって何?花粉が飛びやすい条件など気象予報士が分かりやすく解説!

冬から春にかけて体調管理は問題なくできていますでしょうか?
春にかけては、移動性の低気圧や高気圧が数日の周期で日本を通過します。それに伴い、暖かい南風や冷たい北風が吹き込んだりして、気温がアップダウンしやすくなります。急な気温の変化で服装選びに困ることがあるかもしれません。また、徐々に花粉が飛散して鼻の調子が悪い、空気が乾燥して喉の調子が悪い……などといった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
春に向けて抑えておきたい気象キーワードはズバリ「春の4K」です!このコラムでは「春の4K」の紹介からおすすめの対策方法まで気象予報士の目線で解説していきます。

春の4K=「花粉・寒暖差・黄砂・乾燥」の4つ

春の4Kとはズバリ、花粉や寒暖差、黄砂や乾燥の頭文字のKをとった4つのことをいいます。これから春まではこの4Kについて、テレビやラジオ、インターネットで話題になりやすいです。まずは、春の4Kそれぞれについて解説していきましょう。

【花粉】
春は花粉症に悩まされる方が多いですよね。地域性や花粉の種類によって飛散ピークの時期は前後しますが、おおよそ2月から3月頃はスギ、4月頃はヒノキの花粉の飛散量が多くなります。

【寒暖差】
冬から春への季節の変わり目は寒暖差の大きさにも目を向けましょう。2023年の東京都心のアメダスデータを例にすると、最高気温が25℃の夏日は3月下旬に観測されました。同じく3月には最高気温が10℃未満となるような寒い日がありました。日ごとのでの寒暖差が大きくなりやすいです。また、日中は暖かくても朝晩は冷えて寒い、というように一日の中での寒暖差も大きくなります。

【黄砂】
黄砂は東アジアの砂漠域や黄土地帯の砂やちりが、上空の風に運ばれて日本へと降下してきます。気象庁の黄砂観測日数の平年値(1991~2020年平均)によると、平均的な観測日としては、2月は1.2日となりますが、3月は4.4日、4月は6.2日と4月に向かって観測日が多くなっていきます。黄色に薄く濁った空模様となり、車や建物に黄色の砂がうっすら積もることがあります。

【乾燥】
春は移動性の高気圧が数日の周期で日本を通過します。春の移動性高気圧は晴天と乾いた空気をもたらします。また、低気圧が日本海を進むとき、強い南風が山を越えて吹きこえることがあります。このとき吹き降りてきた空気はとても乾燥していて、「フェーン現象」と呼ばれることがあります。
都心のアメダスの日最小湿度のランキングをみると、10位以内の湿度10%以下となる日は3~4月に多くなっていることから、空気の乾燥も春の気象における重要なキーワードの1つとなります。

春の4Kが健康や生活に与える影響

春の4Kがわたしたちの健康や生活に与える影響、そして気をつけておきたいポイントを解説していきます。

【花粉】
花粉症は、目のかゆみやくしゃみ、鼻水を伴うことが多いです。注意すべきポイントを抑えていきましょう。
一日の中でも花粉の飛散量は変動しやすく、気をつけておくべき時間帯は、昼頃と日没頃です。気温が高く、湿度の低くなりやすい昼頃が花粉の飛びやすい時間帯です。また、日没頃も空気の対流(かき混ぜ)が起こり、再び花粉が舞いやすくなります。
また、雨から回復して晴れとなる日は気をつけましょう。雨によって地面へと落ちた花粉が空中に多く舞うようになります。このとき風の強い状態がセットの場合は要注意です。そらくらでは、花粉飛散対策のより詳しい解説こどもの花粉症に関するコラムを掲載していますので確認してみてください!

【寒暖差】
寒暖差が大きくなると自律神経は乱れやすく、疲れやだるさを感じやすくなります。特に、急発達する低気圧の進むコースによっては、強い南風や北風が吹き込むことがあり、体感温度にも大きく影響する場合があります。
疲れやだるさを溜めないように、日々の食生活にも旬の食材を取り入れて、栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。また、普段シャワーのみ浴びている人は、温かいお風呂につかってみるだけでも疲労軽減に繋がります。
温かいお風呂の効能に関するコラムを読んでみるのも良いかもしれません。

【黄砂】
黄砂が日本へ飛来すると、自動車や洗濯物への身近な生活への汚れに繋がるおそれがあります。黄砂の混じった雨が降ると、車などで雨粒の汚れが目立ちます。空が黄褐色になるような濃度の高い場合は、視界不良による航空機の欠航といった被害に繋がることがあります。また、花粉と同じように、雨から晴れになる日は、地面に黄砂がたくさん落ちていて、風で舞いやすくなると、咳など人体に影響の出るおそれがあります。
気象庁では黄砂情報で日々黄砂の飛来予測を確認することができます。そらくらの日々の天気予報でも、黄砂が予想される場合は注意喚起を行いますので、春に黄砂の言葉に触れた際はチェックしてみると良いでしょう。

【乾燥】
春の湿度の低さは、肌荒れやのどの痛みに繋がる場合があります。乾燥注意報が発表されている場合は保湿対策を万全にしましょう。また、火の取り扱いにおいて、乾燥+強風は要注意な情報です!両者がそろうと火が広範囲へ燃え移りやすくなります。木造住宅が並ぶような地域では、火を使った場合は後始末に気をつけるようにしましょう。

春の4K対策アイテムを紹介!

春の4K対策となるアイテムや服装を紹介していきます。花粉や黄砂の対策は、マスクやメガネを着用して目や鼻の防護が基本となります。花粉症がひどい方は、病院で処方される点眼薬などが手元にあると安心です。また、洗濯物の保護ネットや帰宅時に花粉や黄砂を払い落とすブラシなども用意しておきましょう。
空気の乾燥では、加湿器や保湿クリーム、のどあめなども準備していくと安心です。
寒暖差による服装は、春は服の脱ぎ着での調節がとても大切になります。軽めの上着でも防寒・防風・撥水加工など、機能を多く備えた商品を目にするようになってきました。衣替えで春用の高機能な上着をゲットするために、スポーツ用品店や作業用品を販売しているショッピングモールなどに出かけてみてはいかがでしょうか?

春の4Kについて知識を深めることはできましたか?本格的な春に向かうまでのこの時期に、体調を整えやすくなるような準備を進めていきましょう!

<参考>
環境省:花粉症環境保健マニュアル2022(令和4年3月改訂)
https://www.env.go.jp/content/900406385.pdf

論文 稲村 直樹. ほか. スギ花粉飛散に与える気象の影響.
日本耳鼻咽喉科学会会報. (1988) vol.91, no.6, p.907-917, 999.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/91/6/91_6_907/_article/-char/ja/

気象庁:黄砂に関する基礎知識
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/kosahp/4-4kosa.html

気象庁:黄砂のデータ集
https://www.data.jma.go.jp/env/kosahp/kosa_data_index.html

気象庁:過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php