台風・ハリケーン・サイクロンの違いは?気象予報士が解説

存在する場所によって名前が違う?

台風・ハリケーン・サイクロンは、いずれも熱帯低気圧を指す言葉ですが、存在する場所によって、呼び方が異なります。
具体的には、東経180度より西の北西太平洋および南シナ海に存在するものが「台風」北大西洋、カリブ海、メキシコ湾および西経180度より東の北東太平洋に存在するものが「ハリケーン」、そしてベンガル湾やアラビア海などの北インド洋に存在するものが「サイクロン」と呼ばれています。

最大風速の基準にも相違がある

台風・ハリケーン・サイクロンは、全て熱帯低気圧の一種という点で共通していますが、主な相違点は存在地域のほかに最大風速の基準です。

台風最大風速が17m/s(34kt)以上の熱帯低気圧
サイクロン最大風速約17m/s(34kt)以上の熱帯低気圧
ハリケーン最大風速が約33m/s(64kt)以上の熱帯低気圧

なお、ハリケーンの最大風速は1分間の平均風速で計測しているのに対し、日本の台風は10分間の平均から計測しているため、ハリケーンの方が、強い風速になる傾向があります。

気象庁の台風監視領域

日本の気象庁は、赤道から北緯60度まで、東経100〜180度までの範囲にある台風の位置決定や予報について担当しています。この領域内に存在し、基準に達した熱帯低気圧が「台風」と呼ばれます。

また、台風は赤道を超えたことはありませんが、日付変更線は超えることがあります。

越境台風とは

越境台風とは、ハリケーンやサイクロンとして発生した熱帯低気圧が、日本の気象庁の観測範囲に入ることで台風と呼ばれるようになることです。逆に、台風が観測範囲を越えてハリケーンやサイクロンに分類されることもあります。また、最大風速の基準値の違いにより、監視領域を超えることによって台風やハリケーンなどの呼び名が付かなくなることもあります。越境台風の場合は、国際名は越境前の名前がそのまま使用されます。

直近だと、2023年8月に、ミッドウェー諸島近海を西寄りに進んでいるハリケーンが日本の台風監視領域に入り、台風8号になりました。今年2024年9月の月初にも、ハワイ諸島付近から進んできたトロピカル・ストームHone(ホネ)の中心が東経180度線付近に達し、日本の気象庁の管轄範囲に入れば越境台風となるところでしたが、2日(月)に台風の風速の基準に達しなかったため熱帯低気圧として解析されました。

9月は、本州付近で台風接近数が多くなる頃です。こちらのページを参考に、台風の進路や台風情報の見方、注意すべきポイントをいま一度ご確認ください。

<参考>
・気象庁「台風について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq14.html
・気象庁「気象業務はいま2015」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/hakusho/2015/01-1.html

<台風関連>
・【防災週間vol.3】秋の台風シーズンに向け、台風情報の要点チェック!
https://sorakura.jp/20220903201-2/
・台風の基礎知識や対策方法を学ぼう!気象予報士が徹底解説
https://sorakura.jp/20230917201-2/
・台風進路図の注意点と2023年秋の台風の動向解説!
https://sorakura.jp/20230825201-2/
・【防災週間vol.4】台風と秋雨前線の組み合わせには要注意!
https://sorakura.jp/20220904201-2/
・台風の上陸しやすい日「特異日」がある?
https://sorakura.jp/20220926201-2/