【防災週間vol.3】秋の台風シーズンに向け、台風情報の要点チェック!

9月は、本州付近で台風接近数が多くなる頃です。今回は秋の台風シーズンに向けて、台風の進路や台風情報の見方、注意すべきポイントをご紹介します。

季節で違う台風の進路

台風の進路は様々ですが、大きくみると月ごとに主な進路があります。台風のコースはあくまで統計に基づくもので、違うコースを辿ることもありますが、台風への理解を深めるためにも、季節ごとの特徴をおさらいしましょう。

春はフィリピンへ向かうのが一般的

春先は低緯度で発生し、そのまま西に進んでフィリピン方面に向かうコースが一般的です。フィリピン方面へ向かう場合、日本付近への影響は少なくなります。

日本に向かってくるようになるのは夏~秋

台風は、夏になるにつれ、より高緯度で発生し、途中で向きを変えて日本方面に向かうようになります。日本に台風が接近しやすいのは8月と9月で、統計上もこの2か月での接近・上陸数が年間で最も多くなっています。特に太平洋高気圧の勢力が弱まり始める9月になると、強い勢力で日本へ向かってくる台風が増え、過去には室戸台風や伊勢湾台風など、大きな被害をもたらした台風が上陸しています。

夏は迷走することも

夏の台風の特徴は、迷走しやすいことです。夏は太平洋高気圧の勢力が強く、太平洋域を広く覆っているため、台風を動かす上空の風がほとんど吹いていない状況となっています。そんな中に台風が発生すると、ほとんど動くことが出来ず、Uターンしてみたり足踏みしてみたりと、その動きは気まぐれそのものです。そして、日本付近に北上してきても、偏西風が弱いためスピードが遅く、大荒れの状態が長く続くことがあります。夏は、日本付近の海面水温が高く、強い勢力を保ったまま日本に接近・上陸し、動きが遅くて影響が長引くことがあるため、警戒が必要です。

秋は北上スピードが速くなる

秋は、日本付近を強い西風である偏西風が流れています。秋の台風は北上すると、この偏西風の流れに乗るため、急に速度を上げ、高速道路を走る自動車並みの猛スピードで通過していくものが出てきます。いったんスピードが上がると、ほんの数時間目を離したすきに、あっという間に台風本体の雨雲が掛かってきたり、暴風域の中に入っていたりということも起こります。急に雨や風が強まりやすいのが秋の台風の特徴です。

台風の進路情報の見方とは?

台風の進路図は、円がたくさん描かれていて、その中に多くの情報が含まれています。今後の進路を示す予報円は、5日先まで出されていて、台風の中心が円に入る確率は70%です。また、暴風域のある台風については、予報円の外側に、一回り大きな赤い円で暴風警戒域が描かれています。これは、台風の中心が予報円の中を進んだ場合に、暴風域に入るおそれのある範囲を示しています。

予報円がいくつも重なっている時は台風の速度が遅いことを示し、台風による影響が長引く可能性があります。また、先の予報になるにつれて予報円が大きくなる時は、進路や速度の予測が定まっていないことを示しているため、今後予報が変わる可能性が高いと言えます。お住まいの地域に予報円が掛かっていたら、こまめに最新の予報をチェックし、場合によっては予定の変更を検討しましょう。

台風の大きさ・勢力の分類は?

強風域の大きさで「大型」「超大型」に分類

台風は、風速15m/s以上の強風域の大きさで「大型」、「超大型」と分けられます。強風域の大きさが、半径500km以上になると「大型」、半径800km以上になると「超大型」の台風と呼ばれるようになります。札幌から福岡までの直線距離はおよそ1,400kmですので、「超大型の台風」は、日本列島をすっぽりと覆うぐらいに、強い風が広い範囲で吹く台風ということになります。

中心付近の最大風速で「強い」「非常に強い」「猛烈な」に分類

台風は、大きさだけでなく、強さに関する分類もあります。中心付近の最大風速で「強い」、「非常に強い」、「猛烈な」に分けられます。中心付近の最大風速が33~44m/sだと「強い」、44~54m/sだと「非常に強い」、そして54m/s以上になると「猛烈な」台風と呼ばれるようになります。猛烈な台風の中心付近では、時速200km前後の風が吹いており、倒壊するような家や、送電塔のような鉄骨建造物でも変形するようなものが出てくるため、最大級の警戒が必要です。

「超大型の台風」は、台風から遠く離れていても被害をもたらす

「超大型の台風」は、中心から離れている地域でも強い風が吹きます。2017年10月に静岡県に上陸した台風21号は超大型で強い台風でした。上陸したのは静岡県掛川市でしたが、西日本の広い範囲で強い風が吹き、台風から遠く離れた福岡県でも、家屋の屋根が一部損壊する被害が出ました。一方、大きさの分類のない「非常に強い台風」は、台風が近づくと急に暴風が吹き荒れます。2019年9月に千葉県に上陸した「令和元年房総半島台風」は非常に強い台風でした。被害をもたらした範囲は、超大型の台風と比較すると狭かったものの、房総半島で急激に風が強まって、送電塔や電柱の倒壊や損傷が相次いで停電が発生し、復旧に1週間以上の時間を要した所がありました。台風の大きさや勢力の違いによって、影響の出る範囲は様々ですので、台風が近づいてきたら、情報をこまめにチェックするようにしてください。