【防災週間vol.4】台風と秋雨前線の組み合わせには要注意!

前線との組み合わせに注意

秋は台風が発生しやすい季節です。特に9月は、台風の上陸数が1年で一番多い月となっています。さらに秋は台風だけでなく、日本付近には秋雨前線が停滞していることがあります。台風が発生し、秋雨前線が停滞するような場合は、早い段階から注意が必要です。

台風が近づく前から大雨になるおそれも

日本付近に秋雨前線が停滞している時には、台風接近前から激しい雨が降って、大雨となることがあります。台風は、熱帯由来の非常に暖かく湿った空気を持っています。この非常に暖かく湿った空気が秋雨前線に流れ込むと、雨のもととなる水蒸気が供給されるため、前線の活動が活発になり、雨雲が発達しやすくなります。このため、台風が近づく前から激しい雨が降って大雨となることがあるのです。

大きな災害となったことも

2000年9月11日から12日を中心に、東海地方で大雨が降り、死者が10人、建物の被害も7万棟近くにのぼる災害が発生しました。この時も、日本付近には秋雨前線が停滞していて、さらに日本の南には台風14号が北上していました。この台風14号の東側から前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、前線付近では雨雲が発達し、東海地方を中心に大雨となりました。この影響で、名古屋のアメダスでは1日で降った雨の量は428mmと観測史上最大となっています(2022年8月現在)。また、2日間で降った雨の量は550mmを超え平年の年間降水量の3分の1を超える大雨となりました。このため、愛知県をはじめ東海地方では、川が氾濫して、大きな被害が出たため、のちに「東海豪雨」と命名されました。

台風が近づけば暴風にも注意

もちろん、台風本体が近づけば雨だけではなく、風も強まります。風が強まると木が折れたり電柱が倒れたり、時には建物が倒壊したりすることもあります。最大瞬間風速が30m/sでは、風に向かって歩けなくなり、転倒する人もいます。そして最大瞬間風速が40m/sを超えると、何かにつかまっていないと立っていられない状態となり、電柱や街灯が倒れることがあります。60m/s以上になると、ブロック塀や住家が倒壊するおそれがあり、屋外での行動はきわめて危険です。

台風の勢力が増している?

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、近年、台風の勢力が強くなっていると指摘されています。その理由は、海面水温の上昇です。台風は、暖かい海面からの水蒸気をエネルギーとして発達します。地球温暖化によって海面水温が高くなると、より多くのエネルギーが台風に供給されるため、発達しやすくなり勢力が強くなる可能性が高くなります。また、日本付近の海面水温も高くなると、台風は強い勢力を保ったまま接近・上陸するおそれがあります。台風が発生しやすい季節ですが、台風だけでなく秋雨前線の動向や海面水温にも注意が必要です。

 

<参考>
・内閣府:防災情報のページ 八 東海豪雨災害
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/1/shiryo3-ha.html
・気象庁:台風の将来予測
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p13.html