うるう年は一体なぜあるの?気象予報士が徹底解明!

2024年はカレンダーに2月29日があるうるう年です。うるう年は、基本的には4年に1度というイメージがありますよね。この周期性の背後には細かな計算が隠れています。このコラムでは、気象予報士がうるう年の歴史や調べ方について、徹底解明していきます!また、気象の分野においても、日々の観測データにもうるう年が関わってきます。気象庁における平年値がどのように取り扱われているかなどについても解明していきましょう。

うるう年の起源とは?気象予報士が解き明かす歴史的な背景

紀元前から続くうるう年の概念!

うるう年の起源はなんと紀元前まで遡ります!
地球が太陽の周りを一周する周期が365日ちょうどではなく、約365日と1/4日であることは紀元前45年頃に発見されていました。この約1/4日によるズレを調整するため、4年ごとに2月29日を設けるように制定されました(ユリウス暦)。このユリウス暦の考え方は1582年頃までの長い期間利用されていました。

現在のうるう年で使用されるグレゴリオ暦

ユリウス暦は1582年まで利用されましたが、季節わずかなズレをさらに調整したグレゴリオ暦が1582年10月15日より適用され、現在も利用されています。2000年以上も続く長い歴史に思わず圧倒されてしまいます!
グレゴリオ暦の考え方を用いたうるう年の調べ方について、詳しく読み進めてみましょう。

うるう年かどうかの調べ方を解説!

うるう年は4年に一度訪れるイメージがありよね!うるう年かどうかを判断するためには、グレゴリオ暦では、西暦について以下の条件を調べることで解決することができます。キーワードは4と100、400の3つの値で割り算することです。
まず4で割り切れるかどうかで判断し、割り切れたらうるう年の候補です。ただし、4で割り切れてかつ100で割り切れるものは、うるう年にしないこととされています。また、100で割り切れたとしても400で割り切れるものは、うるう年に該当します。例えば、2024年は4で割り切れるため、うるう年です。1900年は4と100でともに割り切れるため、うるう年ではありません。2000年は4と100で割り切れますが、400でも割り切れるため、うるう年になります。

うるう年の平年値はどのように取り扱われるか?詳しく解説

うるう年の気象情報の取り扱いはどのようになっているのか気になる方もいるかといらっしゃるかと思います。その中でも、日々の天気予報で”○日の気温は平年に比べて~”と見聞きすることがあるように、うるう年の場合の平年値はどのように取り扱われているのか、気象分野の視点で解説していきます。

2024年2月29日の気象庁アメダスの観測

2024年2月29日の気象情報がどのようになっているか、気象庁のアメダスの統計値を確認してみましょう。うるう年だからといって観測がSTOPすることはなく、いつもと同じように観測値がどんどん記録されていきます。

統計の視点から見る!うるう年2月29日の観測値の取り扱い

うるう年2020年を例にみていきましょう。2020年の年内だけに絞ってみて、2月29日のデータが平均値として反映されているのでしょうか?イメージのしやすい日平均気温の気象要素で解説していきます。
はじめに、2020年2月の月平均でみた(2月を代表する)日平均気温です。月平均の日平均気温は、2020年2月1日から2月29日までの日平均気温を足して29で割り、四捨五入した値となります。
次に、半旬(暦日半旬:毎月を1日から5日毎に区切った期間)でみる2月第6半旬の日平均気温です。2020年2月の第6半旬は2月26日から29日となります。よって2月26日から29日の4日間を足して4で割り、四捨五入した値となります。
うるう年の2月29日に観測された値がしっかりと利用されています。

平年値の視点でみると……

いよいよ平年値です。現在、天気予報で使用されている平年値は1991~2020年の30年間で平均した統計値を使用しています。平年値の多くは日ごとに計算されますが、気象庁では細かいルールが決められていて、日ごとの観測資料が8年分以上も必要とされます。うるう年は30年間の中で8年分の資料を得ることができないため、2月29日に観測された値を利用して平年値を求めることはできません。
日別平均気温の平年値でイメージするとわかりやすいです。気象庁では、2月29日平均気温の平年値は、2月28日と3月1日の平均気温の平年値をそれぞれ足して2で割った値としています。つまり、うるう年の2月29日に観測された値は使用されていません!
半旬データでも平年値をみていきましょう。半旬データの平年値で2月第6半旬は、平年用(2月26日から28日)とうるう年用(2月26日から29日)の2種類用意されています。しかし、うるう年用の2月29日の日別平均気温の平年値は2月29日に観測された値を利用していないのです。

うるう年の平年値に関して知識を深めることはできましたか?興味のある方は、気象庁の気象観測統計の解説を覗いてみてください!

<参考>
天文学辞典
https://astro-dic.jp/

気象庁:気象観測統計の解説
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/kaisetu/index.html

気象庁:時に関する用語
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/toki.html

気象庁:過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php