冬はなぜ寒くて雪が降るの?気象予報士がわかりやすく解説

12月も中旬に入り、西高東低の冬型の気圧配置になると、北日本から西日本の日本海側では雪が降りやすくなります 。 朝はグッと冷え込みが増して、起きるのが辛くなりますよね! そもそも冬はなぜ寒くて雪が降るのか疑問に思ったことはありませんか?このコラムでは冬の寒さと雪が降る謎について迫っていきます。

冬は日差しが弱いから寒い

日本の冬がなぜ寒いのか、ふと疑問に感じるときはありませんか?日本の冬が寒いのは、太陽から受ける日差しが弱いからです。なぜ、冬に太陽から受ける日差しが弱くなるのか、その謎に追ってみましょう。
はじめに、地球と太陽を想像してみてください。地球は24時間で1回転する自転を行い、太陽の周りを1年かけて1回転する公転を行っています。また、地球の自転軸 (地軸:ちじく)は23.4°傾いています。ここで、ポイントは地球が太陽の周りを回る際に、北極側の軸が太陽に対してどのように向いているのか、です。北極側の軸が太陽側と反対の方向を向いている時、日本は冬になります。中緯度の日本は、赤道の地域に比べて、冬は日が昇って沈むまでの時間が早く、太陽から受ける日差しは弱くなります。その結果として、気温が低くなります。 反対に、北極側の自転軸が太陽を向いているときは、日本は夏になります。夏は、日の出から日の入りまでの時間も長く、太陽から受ける日差しも冬に比べて強くなります。
冬の日差しの弱さには、北半球の自転軸が太陽と反対の方向を向いている、ということを是非知っておいてください!

冬は地上の気温が低いから雪が降ってくる

冬はなぜ雪が降ってくると思いますか?それは、私達が立っている地表面付近の気温が低いからです。上空はるか高い雲の中では、とても小さな雲の粒が集まって雪の結晶ができています。雪の結晶は周りの雪の結晶とくっつきながら成長し、やがて雪として落ちてきます。日本で降る雨の降り始めは雪の状態といわれています。それが雨にならず、雪のままでいるためには、落下中もとけないような気温であることが重要です。冬は他の時期に比べて気温が低いため、とても良い環境です。
ただ、地表面付近の気温が5℃くらいであっても、とけずに雪のまま降る場合があります。湿度が低く、乾燥しているような状況です。湿度が100%のような湿った日は地表面付近 で0℃ぐらいの気温が必要ですが、湿度が50%ほどしかない場合は5℃前後と比較的に高い気温でも雪を観測した所があるんです。雪と雨の境目は気温だけではなく湿度が大切となります。

気温と湿度の関係から雪の結晶が変わる!?

雪の結晶はとても小さく、観察するととても美しい形をしています!結晶の形は大きく薄い板状や細長い柱状の2つに分けられます。薄い板状では六花や十二花といった樹枝状や角板状の形があり、細長い柱状の形には角柱があります。どれも温度や湿度の組み合わせで様々な形に変化していきます。
その多くは六角形の形になりますが、結晶の形が温度や湿度によって形が変わるなんて不思議ですよね!最近では、スマートフォン用のマクロレンズを使うと誰でも簡単に雪の結晶を観察することができます。しかも100円均一ショップで手に入れられるお手軽さ!雪の降りやすい日本海側の地域にお住まいの方は、この機会に雪の結晶を観察してみてはいかがでしょうか?

北海道では神秘的な細氷(ダイヤモンドダスト)が見られる所も!

非常によく晴れて、風も吹いておらず、気温が氷点下10℃未満となるような寒い日に細氷(ダイヤモンドダスト)という現象が起こることがあります。細氷は、まるでほこりが浮いているような小さな氷の結晶です。空気中の小さな氷の結晶がキラキラと輝き、ダイヤモンドのように見える様子から「ダイヤモンドダスト」と呼ばれるようになりました。北海道の内陸となる十勝地方や上川地方などで見られるチャンスがあります。さらに、日の入りや日の出の時間帯に、細氷が輝いて光の柱のような光景を見ることができます。この光の柱は「サンピラー」と呼ばれ、滅多に見ることができないとても神秘的な光景です。一生に一度は自分の目で見てみたいものです。

冬は寒く雪が降りやすいですが、そこには地球や太陽という大きなスケールの話がある一方で、雪の結晶が広がる小さな世界があり、サンピラーといった幻想的な風景を私達に見せてくれます。このコラムをきっかけに雪のお天気博士を目指してみませんか?

<参考>
「一般気象学【第2版】」小倉 義光 東京大学出版会

気象庁:気象観測の手引き
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf