三大夏風邪に子供がかかった場合の症状と感染予防法~6月の空と暮らす~

6月に入ると乳幼児を中心に流行する病気に手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱(咽頭結膜熱)があります。筆者の子供達も経験済みで、夏風邪に泣かされておりました。今月は、6月の天気の特徴と併せて、夏に注意して頂きたい三大夏風邪の症状と、予防方法をご紹介致します。

6月の天気の特徴  本州も雨の季節へ突入

日本の南に停滞していた梅雨前線が本州付近まで北上します。北海道を除く地域では、くもりや雨のぐずついた天気になりやすく、雨の季節の到来です。例年ですと、6月上旬に九州~関東甲信地方で梅雨入りの発表があり、遅くとも6月中旬には北陸・東北地方まで梅雨に入ります。
今年2023年は、西日本の各地と東海地方で例年より1週間程度早い5月下旬の梅雨入りとなり、そのほかの東日本各地にも、続々と雨のエリアが北に広がっていきそうです。梅雨の期間の降水量も、平年並と予想されています。雨樋や排水溝の掃除をしたり、傘やレインコート・レインカバー、長靴などのレイングッズの点検をしたりして、ぜひ梅雨支度をしてみて下さい。
5月中旬に梅雨入りした沖縄でも、じめじめ蒸し蒸しの不快な時期の真っ最中。例年では6月下旬に梅雨明けとなりますから、もう少しの我慢ですね。

一方、梅雨のない北海道は、晴れてすがすがしい初夏の陽気になる日が多いです。

三大夏風邪ごとの症状、感染経路、登園・登校の目安

子供が夏にかかりやすい手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱(咽頭結膜熱)を”子供の三大夏風邪”と呼んでいます。例年、流行は6月頃から始まり、7月後半にピークを迎えます。それぞれの病気の症状や感染源、保育所・幼稚園などへの登園の目安をまとめました。感染が疑われる場合の参考にして下さい。

①手足口病

・どんな病気?
手足口病は、口の中や手のひら、足の裏などに水疱性の発疹が出るウイルス感染症です。子供を中心に流行する病気で、原因となるウイルスは、エンテロウイルスとコクサッキーウイルスの2種類あります。感染力が高く原因ウイルスが複数あるため、1シーズンに複数回かかることがあります。

・どんな症状が出るの?
2〜3mm程度の赤い水疱性の発疹が、口の中や手のひら、足の裏などに現れます。発疹は、膝やひじ、お尻に出ることもあります。発熱を伴うこともありますが、あまり上がらず高熱が続くことはありません。体にできた発疹は痛みやかゆみはありませんが、口の中に出来た水疱がつぶれると、口内炎のようになり痛みを伴う事があります。水疱はかさぶたにならず、1週間程度で自然になくなります。
まれに、発症から1か月以内に、手足の爪がはがれてしまうことも。

・感染経路は?
くしゃみなどの飛沫によって感染する「飛沫感染」と、感染者のよだれや鼻水がついたものなどに触ってしまったことで感染する「接触感染」です。
感染後は、症状が治まっても口の中から1〜2週間、便からは2〜4週間程度ウイルスが排出されますから、オムツ替えなどの際は、特に念入りに手洗いをしないとうつる可能性があります。

・登園の目安は?
厚生労働省が発表しているガイドラインでは「発熱や口腔内の水疱の影響がなく、普段の食事がとれるようになること」と記されています。保育園や幼稚園へ登園する際は、熱が無くご飯や水分が問題なく摂れるようになったら登園するようにしましょう。

②ヘルパンギーナ

・どんな病気?
ヘルパンギーナは、発熱とともに、のどを中心に水疱性の発疹ができるウイルス性咽頭炎です。こちらも主に子供を中心に流行します。主にコクサッキーウイルスが原因で発症します。

・どんな症状が出るの
38〜40℃の発熱とともに、のどに小さな水ぶくれが現れます。発疹は、のどの奥(のどちんこの周辺)で、歯ぐきや唇の裏など、口の入り口に近いところにはほとんど出ません。のどの痛みで、食欲不振や脱水症状になったり、倦怠感や頭痛などが起きることもあります。症状は、2~3日以内に自然に回復します。
手足口病との違いは、発疹が口の中だけに現れることと、高熱を伴うことです。

・感染経路は?
せきなどの飛沫によって感染する「飛沫感染」です。発症から1週間程度は、のどからウイルスが排出されるため、要注意です。また、発症から4週間程度は、便からもウイルスが排出されているため、オムツ替えの際はしっかりとした手洗いとオムツ処理をしましょう。

・登園の目安は?
厚生労働省が発表しているガイドラインでは「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」となっています。

③プール熱(咽頭結膜熱)

・どんな病気?
アデノウイルスの感染が原因で、発熱・のどの痛み・結膜炎といった症状が現れる病気です。プールを介して流行することがあるため、プール熱とも呼ばれています。

・どんな症状が出るの
潜伏期間は5〜7日です。38〜39℃の発熱・のどの痛み・結膜炎(目の充血や目やになど)が主な症状で、リンパ節の腫れや腹痛、下痢の症状が出ることがあります。症状は1~2週間程度で自然に収まります。

・感染経路は?
感染力が非常に高く、咳やくしゃみなどの飛沫による「飛沫感染」と、ウイルスが着いた物に触れてしまい感染する「接触感染」です。

・登園の目安は?
プール熱は、学校保健安全法で「第2種感染症」に分類されているため「主要な症状が無くなってから2日経過するまで」登園・出席停止となります。発熱やのどの痛みがなく、目の赤みや目やにが出なくなってもすぐは登園できません。そのあと2日おいて登園可能になります。

感染の予防方法

三大夏風邪のウイルスにはワクチンや特効薬がありません。予防の基本は、手洗いやうがいをしっかりしてウイルスを体内に取り込まないようにすることです。食事の前や、外出先から帰ってきた際、鼻をかんだ後には必ず手を洗うようにしましょう。

お子様が感染してしまった場合や、保育園や幼稚園などで感染者が出た場合は、家族への感染を防ぐために、タオルや食器の共用は控えるといいでしょう。

手洗いやうがいを積極的に行い、大人も子供も楽しく思い出いっぱいの夏をお過ごし下さい!

 

参考出典
気象庁 梅雨入りと梅雨明け(確定値)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/baiu/index.html

気象庁 3か月予報
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M

厚生労働省 手足口病に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html#hfmd01

厚生労働省 わかりやすい感染症Q&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou16/01.html

国立感染症情報センター
https://www.niid.go.jp/niid/ja/