浸水リスクとの向き合い方 河川水位の確認の仕方を解説

これから秋雨シーズンに入り、日本に年間で最も台風が接近しやすく、大雨のリスクが高まります。 5年前の 西日本豪雨は平成30年の7月5日から8日に発生し、広島県から岡山県へ流れる小田川の氾濫により、多くの人命が失われ、今年も各地で川の増水・氾濫や土砂による被害 が発生しました。
ただ、河川水位の予測技術も発展しており、大きな河川の増水の状況や今後の水位予測は手軽に確認できます。洪水に関する正しい知識を身に着け、自分自身や大切なご家族を守れるようにしましょう。

近年の河川氾濫による災害

西日本豪雨の翌年の令和元年の10月12日から13日に台風19号が伊豆半島に上陸し、大雨による浸水害や土砂災害が福島県や宮城県をはじめ東北や関東甲信で発生しました。この災害により昭和54年の台風20号以来台風による死者数としては、40年ぶりに100名を超えてしまいました。
また、記憶に新しい今年令和5年 6月2日から3日には停滞前線や台風2号の暖かく湿った空気の影響で、東海地方で降り始めから500mm を超える大雨になり、国土交通省のまとめでは9都府県41河川で河川の氾濫などの災害が発生しました。
普段災害の少ないような地域でも、いつ雨による災害が起こるかわかりません。

平常時の備え、簡単なハザードマップの確認方法

そのような災害から自身や家族の身を守るために、普段からの備えが大切です。非常用の備品やハザードマップの確認のポイントなどはこちらの記事で紹介しています。
ハザードマップが手元にない方は、国土地理院の「重ねるハザードマップ」がオススメです。地図上に「洪水」や「高潮」、「土砂災害」などをクリックするだけでリスクを表示できるので、自分の住んでいるところの起きやすい災害を 簡単に判断できます。
国土地理院「重ねるハザードマップ」:https://disaportal.gsi.go.jp/hmpglobe/globe/index_globe.html

国や自治体から発表される情報

河川に関する情報は「指定河川洪水予報」という形で、気象庁と国土交通省または都道府県から発出されます。全部で5段階ある水位のうち配 信される情報は、河川水位が上昇し、注意が必要なレベル2(氾濫注意水位)からレベル5(氾濫発生)になります。この中でレベル2~レベル5 の情報は浸水などが差し迫っている情報であり、レベル3やレベル4 が出るころには外は危険な状態になっていることがあります。このため、自分で河川の状態を確認しておく必要があります。

河川の水位や今後の水位予測を把握する方法

近くの川があふれそうなのか。避難経路は大丈夫なのか。家の中から確認することができます。河川の状況を把握する方法を2種類ご紹介します。
一つ目は国土交通省が提供する「川の防災情報」です。こちらは地図形式で、リアルタイムに河川の状況を把握でき、雨が降っているときに今後の水位の予測を確認することができます。見方を下の図の流れで説明します。
①インターネットで「川の防災情報」を検索します。雨で川の水位が上昇しているときは、洪水予報という形で情報が発表されます。
②下の左の図の対象の都道府県をクリックします。すると真ん中の図のように地図と水位状況の詳細が表示されます。
③ここで、「洪水予報の本文」をクリックするとpdfが表示されます。開くと文章と一緒に、赤枠の中に今後の雨量をもとにした水位の予測結果が表示されます。図の事例は氾濫危険水位を超えて危険な状態で、避難の必要があります。このように避難の目安にすることができます。

また、このサイトでは、グラフ形式で水位の状況を確認したり、近隣のカメラで、河川の様子をリアルタイムに確認したりする ことができます。

二つ目は「気象庁HP」で確認する方法です。こちらでも河川の情報を確認することができますが、平常時の水位やカメラでの河川の様子を確認することはできません。水位が上昇し、危険が差し迫った時には洪水予報の本文の発表情報を見ることができます。

もし浸水してしまったら、浸水解消までの流れ

浸水した際はよく報道されますが、そのあとは報道されることが少なくなり、実際の復旧作業をイメージできない人も多いかと思います。水が引くまでは、行政による堤防の復旧等によりますが、およそ一週間以内であることが多いです。ただ、そのあとは浸水した家財の廃棄や水と一緒に流れ込んだ泥の処理作業が始まります。

ボランティアの方が助けてくれることが多いですが、夏期は 外の気温が高く、水を含んだ家財や泥は重く、さらに時間が経つとにおいも気になり、この作業が思っている以上に大変です。被災していれば電気が使えないことが多く、近くのスーパーやコンビニも閉まっている場合もあります。普段からの備蓄やご近所との付き合い、被災しにくい場所に住まいを検討するということが大事になります。被災しても誰かが何とかしてくれると考えずに一度真剣に考えてみましょう。

<参考>
内閣府「令和元年台風第19号に係る被害状況等について」:
https://www.bousai.go.jp/updates/r1typhoon19/pdf/r1typhoon19_45.pdf
気象庁「災害をもたらした気象事例(昭和20~63年)」:https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index_1945.html
気象庁「台風による災害の例」:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/6-1.html
国土交通省「台風第2号及びそれに伴う前線の活発化による大雨による被害状況等について(第 13報)」:https://www.mlit.go.jp/common/001615054.pdf
気象庁「指定河川洪水予報とは」:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/flood.html
国土交通省「川の防災情報」:https://www.river.go.jp/index
気象庁「防災情報」:https://www.jma.go.jp/jma/menu/menuflash.html