東日本大震災から12年 妊産婦や乳幼児と防災について考える

東日本大震災から12年が経ちます。当時は、非常用持ち出し袋や災害用の備蓄を用意する方が数多くいましたが、時間の経過とともに災害への意識は薄まりつつあるのではないでしょうか。
昨日は、地震による災害についてのコラムを掲載しましたが、今日は妊産婦や乳幼児に焦点を当てて、災害への備えについて考えていきます。

妊産婦や乳幼児の防災対策

災害時はどんな方でも不安が大きくなりますが、妊産婦や乳幼児はただでさえもデリケートな時期ですので、周囲のフォローが欠かせません。平時に必要なものは災害時も必要になりますが、ミルクやおむつ、ベビーベッドなどの物資、授乳場所の確保など、避難所においては手に入りにくかったり、なかなか言い出しづらかったりすることもあります。自分でできることとしては、普段から非常用持ち出し袋や備蓄を用意しておくことが大切ですが、避難所の物資やケアなど公助や共助といった視点も必要です。

自宅避難をする際の注意点

乳幼児を連れての避難は、衛生面の不安や周囲の目を気にしてしまいがちです。避難指示が出ても、小さなお子さんを持つ半数程度の親が、すぐに避難所には行かずに自宅避難を選ぶという民間の調査結果もあるようです。
状況に応じた対応が求められますが、まずは、住家の倒壊や崖崩れといった命の危険に直結することがないかをご確認ください。本震では平気でも、その後の余震で崩れる可能性があります。余震の規模が大きかったり、回数が多かったりする場合があり、熊本地震では震度7の地震が立て続けに2回も発生しています。次に、生活ができる環境なのかをご確認ください。他人のサポートがなくても暮らせる場合は自宅にとどまってもよいですし、生活が困難であれば避難所へ移るのがよいでしょう。家を離れる際は、電気のブレーカーを落としたり、ガスや水道の元栓を閉じたりすることを忘れないでください
自宅避難が可能な場合は、生活スペースの安全を確保し、空き巣などの防犯面にも注意が必要です。

避難する際の持ち物や備蓄

今すぐ始められることとして、非常用持ち出し袋と、自宅の備蓄品を用意・確認しましょう。今回は、妊産婦や乳幼児のために必要なものをご紹介します。このほかにも必要に応じてご用意ください。

① 非常用持ち出し袋

母子手帳や保険証は、コピーを用意しておくとよいでしょう。哺乳瓶は使い捨てのものでない場合、消毒するためのグッズもご用意ください。ご家庭でできる事前の対策として、液体ミルクに慣れさせるのもおすすめです。避難する際に持ち運べるものの量には限りがありますが、乳幼児のストレスを軽減できるようにお気に入りのおもちゃを1つだけでも持っていきましょう。

② 自宅の備蓄品

備蓄は最低でも3日分、可能であれば7日分ご用意いただくとよいでしょう。ラップをお皿の上に敷くと洗わずに済み、貴重な水を節約できます。また、古いものから消費し、使った分を補充する「ローリングストック法」で無駄をなくし、いつでも使える状態にしておいてください。

避難所での生活で重要なこと

避難所は、授乳所やおむつ替えのスペースが足りなかったり、粉ミルクはあっても離乳食がなかったり、哺乳瓶がなかったりすることもあります。ミルクを与える回数は年齢によっても異なりますが、新生児は1日7~8回の授乳が必要です。母乳より消化の遅いミルクであればもう少し回数は少なくなりますが、それでも大人と同じ1日3回というわけではありません。粉ミルクであればその都度お湯が必要になりますので、言い出しにくいと感じる方もいます。緊急時でいつもと同じような判断ができなくなることもありますが、避難所の運営者をはじめ周囲の方々の理解や協力は不可欠ですので、妊産婦や乳幼児が気負わないような環境づくりが重要です。
また、妊産婦・乳幼児ともに、心身の健康状態をしっかりと確認しましょう。妊産婦や乳幼児は免疫力が低いため、感染症対策が必要です。また、妊産婦はただでさえも不安を抱える時期で、また災害時は乳幼児を育てる両親、特に母親のストレスが大きくなりがちです。乳幼児も会話ができない分、周りがしっかりと目を配る必要があります。症状によっては医療機関に相談し、決して無理をしないようにしましょう。


厚生労働省 「避難所等で生活している妊産婦、乳幼児の支援のポイント」より引用

 

<参考・引用>
・東京都総務局総合防災部防災管理課 「東京くらし防災」
・厚生労働省 「避難所等で生活している妊産婦、乳幼児の支援のポイント」
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/000328676.pdf