今年はクリスマス寒波襲来!最新予報や過去のホワイトクリスマスの共通点とは

こんどの日曜は、待ちに待ったクリスマスですね。 ホワイトクリスマスというと聞こえが良いですが、今年のクリスマスは今季最強寒波が襲来し、日本海側中心に大雪のおそれがあります。
今年のクリスマスの天気や、過去のホワイトクリスマスの共通点を詳しくみていきましょう。

最新のクリスマスの天気予報は?

12月23日(金)現在、日本付近は今季最強の寒波が襲来し、強い冬型の気圧配置となっています。26日(月)頃にかけて、北日本や東・西日本日本海側は荒れた天気となり、大雪のおそれがあります。太平洋側にも雪雲が流れ込み、積雪の所があるでしょう。
23日(金)正午現在の積雪深は、札幌が24cm、新潟で12cm、金沢は21cm、広島は4cm、高知は10cmなどとなっています。寒気の動きが遅く、このあとも日本海側中心に積雪の急増する可能性があるため、大雪の場合は予定を変更し、無理な外出は控えましょう。
東・西日本太平洋側は、晴れ間がありますが、25日(日)の最高気温は10℃前後に留まり、厳しい寒さとなりそうです。雪がやんでいても日陰を中心に路面状況が悪い可能性もあります。お出かけを予定している方は、寒さ対策を万全にし、足元にお気をつけください。

ホワイトクリスマスとは?

・ホワイトクリスマスの定義

ホワイトクリスマスの定義は、国によって大きく異なります。
イギリスでは、英気象庁(Met Office)が「12月25日に雪が降っていること」と定義していて、雪が積もっていても当日降っていなければホワイトクリスマスとは言いません。アメリカの場合は、米海洋大気局(NOAA)が「クリスマスの朝7時に1インチ(約2.5㎝)以上の雪が積もっていること」を条件としていて、雪が降っていても積もっていなければ該当しません。日本では、ホワイトクリスマスの定義は特に決まっていないようです。

・過去の統計とホワイトクリスマスになる条件

近年のクリスマスの天気はどうだったのでしょうか?今回は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の過去20年(2002~2021年)を振り返り、イギリスの方式でホワイトクリスマスがあったかどうかと、雪の降るパターンを考察します。

<札幌>
寒気の影響を強く受ける北海道日本海側に位置する札幌。クリスマス当日は2004年と2006年を除いて雪が降り、90%という高確率でホワイトクリスマスになっています。ただ、札幌で注意したいのが積雪量です。2012年と2016年は大雪に見舞われ、特に2016年は12月23日からの大雪でクリスマスの最深積雪は87cmとなり、交通機関にも大きな影響が出ました。

<東京>
雪が降ること自体が少ない東京ですが、昨年2021年はクリスマス当日に雪が舞いました。過去20年でクリスマス当日に雪が降ったのはその一度。単純に計算すると確率は5%ですが、それ以前は1970年と1984年の2回ですので、極めて少ないことが分かります。アメリカ方式のホワイトクリスマスの場合は、観測が始まってから一度もありません。東京都心で雪が積もるほど降るのは南岸低気圧といって、太平洋側の沿岸部を低気圧が進む場合で、一般に南岸低気圧が多くなるのは1月以降です。

<名古屋>
名古屋の雪は、南岸低気圧に加えて、強い冬型で雪雲が流れ込むときにも降ります。過去20年を振り返ると2008年と2011年のクリスマス当日に雪が降っているので10%の確率です。
ただ、強い冬型で雪が降るときは注意が必要です。2011年はクリスマス寒波が襲来し、名古屋も2cmの積雪を観測。最高気温は6.2℃と、外に出るのをためらうような寒さとなりました。

<大阪>
大阪は冬型の気圧配置か南岸低気圧で雪が降ります。ただ、これまでの地域と比べると緯度が低く、寒気が流入しづらい=気温が下がりにくいんです。過去20年のクリスマスで雪が降った日は2010年の一度のみと、確率は5%です。また、大阪も統計開始以来、積雪を加味するアメリカ方式でのホワイトクリスマスはありません。

<福岡>
福岡は日本海側のわりに、冬の降水量が少ないのが特徴です。雪の降る条件は冬型の気圧配置ですが、北海道から山陰とは異なる点があります。それは大陸からの距離です。シベリア高気圧からの季節風が海面からエネルギーをもらうことで雪雲は発達しますが、対馬海峡は距離が短く、雪雲が発達しづらいんです。 過去20年のホワイトクリスマスは3回で、確率的には15%。いずれも積雪が観測されるほどではありません。

キーワードは“ラニーニャ現象”?

過去を振り返ると、太平洋側や福岡で雪が降ったり、日本海側で顕著な雪になっていたりする年(1970年・1984年・2010年・2021年)はラニーニャ現象の発生している冬で、2008年・2011年・2016年も、エルニーニョ監視海域の海面水温が平均より低く、ラニーニャにぶれている年です。そして、2021年秋に発生したラニーニャ現象は2022年12月現在も続いているとみられます。
気象庁では、ラニーニャ現象は「南米ペルー沖の海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く状態」としています。ラニーニャ現象の発生しているときは、この赤道近くの海域で常に東から西へと吹いている「貿易風」が強まり、インドネシア近海で雨雲の発達が活発になります。そうすると、日本付近は、中緯度を西から東へ吹く「偏西風」が南下し、冬は寒気の影響を受けやすくなります。

“南米ペルー沖の海水温”という日本のほぼ裏側で起きている現象が、日本のクリスマスの天気にも大きな影響を与えているんですね。
ラニーニャ現象は今後終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高くなっています。ただ、今冬は影響が残り、日本付近は西回りに寒気が流れ込みやすいでしょう。この先もしばらく雪の情報にご注意ください。

 

<参考>
・英気象庁(Met Office)Will it be a white Christmas?
https://www.metoffice.gov.uk/weather/learn-about/weather/types-of-weather/snow/white-christmas

・米海洋大気局(NOAA)Are you dreaming of a white Christmas?
https://www.climate.gov/news-features/featured-images/are-you-dreaming-white-christmas

・気象庁 エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html

・気象庁 全般季節予報支援資料3か月予報(2022年12月20日発表)