津波防災の日 津波避難のポイントとは?

11月5日の今日は津波防災の日。2011年3月に発生した東日本大震災を教訓として、国民の津波への理解と関心を高めるため制定されました。津波防災の日の由来は今からおよそ170年前の1854年11月5日に発生した安政南海地震で、和歌山県を津波が襲った際に稲に火をつけて、村人を安全な場所へ避難させて命を救った「稲むらの火」の逸話にちなんでいます。津波について知ることは、自分や大切なひとを守るための大きな一歩。この機会に一緒に学びましょう。

津波のメカニズム

出典:内閣府防災情報のページ「津波の速さと高さ」
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/05/special_01.html

津波はオリンピック短距離走選手の速さで襲ってくる!

津波はどのように発生するのでしょうか。海底で大きな地震が発生すると、断層面に沿って、その面の両側の岩盤が急激にずれ動く、断層運動が発生します。これに伴って、海面が押し上げられ大きな波となって四方八方に広がるのが津波です。津波は海が深いほど早く伝わる性質があり、海岸付近では100m走のオリンピック出場の選手クラスの速さで襲来します。また、津波は陸地に近いほど波が高くなる特徴があります。よって、津波がやってくるのを確認してから、避難を始めるのでは遅いといえます。

桁違いに大きい津波の威力

また、津波は、普通の波浪とは発生の仕組みもその力にも大きな違いがあります。波浪は、風の力で海面近くの海水だけが動きますが、津波は海底から海面までの全ての海水が動きます。浴槽の水で例えると、水面に息を吹きかけて起こる波が波浪、浴槽の底から手のひらを水面に向けて押し上げて起こる波が津波です。また、波の山から次の山までの長さが、波浪は数mから数百mですが、津波は数kmから数100kmにもおよびます。津波は、海岸に壁のように押し寄せるため、威力も規模も波浪に比べて圧倒的に大きいです。

気象庁から発表される津波警報・注意報について

気象庁では、地震が発生した後に地震の規模や位置を推定し、それらから沿岸で予想される津波の高さを求め、地震が発生してから約3分を目標に、大津波警報、津波警報または津波注意報を発表します。通常、予想される津波の高さは、「1m」「3m」「5m」「10m」「10m超」の5段階で発表します。
ただし、地震の規模(マグニチュード)が8を超えるような巨大地震に対しては、精度のよい地震の規模をすぐに求めることができません。そこで、その海域における最大の津波想定などをもとに、予想される津波の高さを「巨大」や「高い」という言葉で津波警報や注意報を発表して、非常事態であることを伝えます。
予想される津波の高さを「巨大」などの言葉で発表した場合には、その後、地震の規模が精度よく求められた時点で津波警報・注意報を更新し、津波の高さも数値で発表されます。

津波の避難のポイント

2011年に発生した東日本大震災の大津波で助かった多くの例は、「可能な限り早く高くへ逃げる」という、津波襲来時の避難の原則に従ったケースでした。下記の津波の避難のポイントを確認しましょう。

強い揺れや長い揺れを感じたらすぐに避難する

震源が地表に近い地震の場合、津波警報・注意報が津波の襲来に間に合わないことがあります。強い揺れ(震度4以上)や弱くてもゆっくりとした長い揺れを感じたときは、すぐに海浜から離れ、急いで高台など安全な場所へ避難を始めましょう。

「巨大」津波は即避難する

津波の高さを「巨大」と予想する大津波警報が発表された場合は、東日本大震災クラスの巨大な津波が襲ってくるおそれがあります。ただちに可能な限りの避難行動をしましょう。

地震が発生したらすぐ、今よりも高い場所へ避難する

20m以上の高台に避難していたのに背後から回り込んだ波に流された事例や、津波が地形を駆け上がり発表された津波の高さ以上に達した事例がありました。津波は沿岸の地形などの影響により、局所的に予想より高くなる場合があります。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難することが大切です。

津波警報・注意報が解除されるまでは避難を続ける

第一波が引いた後、もう津波は終わったと思って家に戻り、被害にあわれた方もいます。津波は一度だけでなく複数回にわたり襲来し、第二波や第三波など、あとから襲来する波のほうが高い場合があります。
また、津波の到達予想時刻はあくまでも目安で、実際の到達予想時刻から前後する可能性があります。発表された津波の到達予想時刻を過ぎて、津波が到達しなかった場合も、津波警報・注意報が解除されるまで、避難を続けてください。

日頃から避難場所や避難経路の確認を

気象庁「津波から身を守るために」
https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/tsunami_bosai/index.html を加工して作成

日頃から津波に関する情報を集めたり、津波ハザードマップを使って、自宅や勤務地、学校、通勤路や通学路などの危険度を把握したりしましょう。津波の危険がある場所には、津波の危険があることを示す「津波注意」や「津波避難場所」などの標識が設置されています。また、避難場所までの経路を確認しておきましょう。さらに、避難場所や緊急連絡先を家族で共有することも大切です。

非常用持ち出し袋の用意

非常用持ち出し袋などはいつでも持ち出せるように備えておきましょう。ただし、準備がない場合は、命が助かるように身体ひとつで避難をする判断も必要です。

非常持ち出し袋の例
・現金
・保険証のコピー
・常備薬、コンタクトレンズなど個別に必要なもの
・飲料水、軽めの食料
・ホイッスルなど

最近では国内の地震だけではなく、海外の地震に伴って国内で津波注意報が発表されたこともありました。また、2022年1月の南太平洋・トンガ沖の海底火山(フンガ・ハアパイ火山)噴火に伴って、津波警報が発表されたことも記憶に新しいです。自分 津波被害にあわないから大丈夫と考えるのではなく、自分だったらどう行動するか?とまずは自分ごととして考えることが大切です。非常用持ち出し袋などの詳しい準備方法は9月のコラムでも紹介していますので、ぜひ確認してみてください。

【防災週間vol.1】防災の日とは?災害への備えのポイントを一挙紹介

参考・引用
内閣府 防災情報のページ 特集 津波防災の日
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h26/76/special_01.html

内閣府 防災情報のページ 特集 津波について知ろう
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/05/special_01.html

首相官邸ホームページ 津波では、どのような災害が起こるのか
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/tsunami.html

気象庁 津波警報・注意報、津波情報、津波予報について
https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/joho/tsunamiinfo.html