今年2024年の秋は記録的な高温となった地点が多くなりましたが、この冬の天候はどうなるのでしょうか?
このコラムでは、最新の3か月予報の解説と本格的な冬を前に行ないたい対策を解説していきます。
冬の天候の鍵を握るのは「ラニーニャ現象」
11月11日(月)に発表された「エルニーニョ監視速報」によると、この冬は一時的にラニーニャ現象に近い状態になりそうです。
ラニーニャ現象とは、南米ペルー沖の海面水温が平常時よりも低い状態で、世界各地で異常気象をもたらすことがこれまでの研究で分かっています。
ラニーニャ現象の発生時の冬は、日本付近では寒気の影響を受けやすく、特に西日本では寒い冬になることが多くなります。
メカニズムは、フィリピン付近の海面水温が高いことで、積乱雲が多く発生し、上空の強い西風である偏西風をシベリア付近で北へ押し上げます。偏西風は日本付近で南に蛇行することで、シベリア方面から強い寒気が流れ込みやすく、寒い冬になることが多くなります。
気温は「平年並み」でも昨シーズンよりは寒い
それでは、11月19日(火)に発表された最新の3か月予報を見ていきましょう。
この冬の気温は、全国的にほとんど平年並みとなりそうです。ただ、昨シーズンは暖冬でしたが、今シーズンはたびたび強い寒気が入り、一気に冬が到来するでしょう。
また、1月の東・西日本は、低い確率が40%となっていて、北日本と比べると寒気の影響を受けやすくなりそうです。近年では2021年から2022年の冬にラニーニャ現象が発生し、気温のメリハリが大きく、年末年始頃は大寒波が襲来したため、直前の予報に注意が必要です。
日本海側を中心にドカ雪の可能性!JPCZとは?
降水量と降雪量を左右するのは、冬型の気圧配置になりやすいかどうかです。
この冬は、西側のシベリア高気圧や、東側のアリューシャン低気圧が、それぞれ日本付近に張り出しを強めるため、強い冬型の気圧配置となりやすいでしょう。
降水量は日本海側を中心に多く、太平洋側は少ない見込みです。太平洋側は冬晴れが続きますが、日本海側では雪や雨が降りやすいでしょう。
そして、注目なのは日本海で例年以上の海水温となっていることです。日本海で海面水温が高いと、シベリア方面から流れ込んだ寒気が日本海を渡る時に雪雲が発生・発達しやすくなります。近年では雪雲の線状降水帯である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」もよく見聞きしますが、今シーズンもJPCZが発生して、日本海側を中心にドカ雪の降る可能性があります。
また、太平洋側も降水量が少ない予想で、南岸低気圧の通過する回数としては、昨シーズンほどは多くはない見込みですが、上空に寒気が流れ込む場合は、交通機関に影響を及ぼすような大雪となるリスクはあります。
11月中に行なう寒さ&大雪対策
これから本格的に冬が始まりますので、11月中にご家族で冬支度について見直してみましょう。
・大雪に関する防災情報を確認
大雪シーズンを前に防災ワードを確認してみましょう。そらくらの「もしもの防災」では、日本海側と太平洋側で、それぞれ大雪のリスクを詳しく解説していますので、必要な対策を確認してみてください。
・冬支度を進める
そらくらでは、ご家庭でできる冬支度や大雪対策をこちらのコラムまとめていますので、こちらのコラムも参考にしてみてください!
<参考・引用>
気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象」
https://www.data.jma.go.jp/cpd/elnino/
気象庁「向こう3か月の天候の見通し」閲覧日(2024年11月21日)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M