【医師監修】インフルエンザ予防接種は10月から開始!この冬の流行は?予防も解説!

10月に入り少しずつ秋らしさも感じられる日も増えてきましたが、これから冬にかけて流行が気になるのは季節性インフルエンザです。このコラムではインフルエンザの予防接種や予防方法についてまとめました。

2024/25シーズンのインフルエンザの流行傾向について

インフルエンザ週別報告者数

原因となるインフルエンザウイルスは、冬の乾いた気温の低い環境下を好むことが一般に知られています。
インフルエンザの過去4シーズンの傾向について説明します。
2020/21冬シーズンと2022/23冬シーズンは、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による感染対策の徹底や国内外の行動の制限や自粛により、国内のインフルエンザの大きな流行は見られませんでした。2023/24年の昨冬シーズンは8月下旬から患者報告数が増加し、その後も増え春先の流⾏も⾒られ、過去4シーズンで最も大きな流行になりました。
今年2024/25シーズンは一体どうなるのでしょうか?北半球のインフルエンザ流行予測の指標となる、南半球のオーストラリアでは、2024年の4月後半からインフルエンザの流行が急速に増加し、6月30日現在、2017年以降の同時期、および過去5年平均よりも多い患者数が報告されています。この冬のインフルエンザのワクチン接種について、オーストラリアのインフルエンザの流行と、昨冬シーズンの動向もふまえて、⽣後 6か⽉以上のすべての⼈に対するインフルエンザワクチンの接種が推奨されています。

インフルエンザワクチンの接種回数は

感染予防と重症化予防として、流行前のワクチン接種が挙げられます。
生後6か月以上13歳未満までは2回の接種が必要です。
10月より1回目を接種し、およそ2〜4週後に2回目が接種できます。
13歳以上の方は、1回接種が原則です。ただし、13歳以上の基礎疾患のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方などは、医師の判断で2回接種となる場合があります。
昨シーズンにワクチンを接種したから今シーズンは接種しなくても大丈夫。と思う方がいるかもしれません。
インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行することが予測されているウイルス株を用いて製造されるため、昨年インフルエンザワクチンの接種を受けた方であっても、今年のインフルエンザワクチンの接種を検討して頂く方が良いと考えられています。

ワクチン接種いつまでにすればいい?

インフルエンザの流行期間を踏まえると、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいです。
インフルエンザワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した2週間後から5ケ月程度と言われています。例年の流行期間(12月から4月頃、1月末~3月上旬がピーク)から逆算するとその時期になります。
13歳未満のお子様の場合は、予防効果は2回目の接種のあと2週間以降となります。1回目と2回目の間隔を2~4週間あけなくてはいけないため、1回目の接種を早めに開始することが必要です。
10月中に1回目を接種し、11月から12月上旬までに、遅くとも年内に2回目の接種を済ませるといいでしょう。

予防方法

インフルエンザ予防方法

・こまめな手洗い
流水やせっけんによる手洗いは手指についたインフルエンザウイルスを除去するのに効果的です。インフルエンザに限らず、接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本となるので、外出後や用を足したあとは必ず行いましょう。
アルコールスプレーによる除菌・消毒も効果があります。

・室内を適切な湿度に保つ
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下するため、インフルエンザにかかりやすくなります。室内は暖房の使用などで特に空気が乾燥しやすいため、加湿器を使って適切な湿度に保つことが大切です。
適切な湿度とは50~60%のことをいいます。湿度計を置いて適切な湿度を保つようにしてください。

・人混みや繁華街への外出を避ける
インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調のすぐれない方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布製マスクを着用し、手洗いやうがいなどの予防を徹底しましょう。

・十分な休養とバランスのとれた食事
体の免疫力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた食事を日ごろから心がけましょう。

・咳エチケット
一人ひとりが感染症を他人に感染させない心掛けを行うことも大切です。咳エチケットの方法について再度確認しましょう。咳エチケットの基本はマスクの着用です。
マスクは、鼻からあごまでを覆い隙間がないようにつけましょう。マスクがない時は、ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆うか、上着の内側や袖で口や鼻を覆うようにしてください。

<出典>

厚生労働省 インフルエンザQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

国立感染症研究所 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2020/21~2024/25シーズン
https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data2j.pdf

「インフルエンザ定点あたり報告数」(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2096-weeklygraph/1644-01flu.html
(2024年10月4日に利用)

<監修>吉田邦枝先生【小児科医】 東京医科歯科大学医学部卒。同大学小児科学教室に入局、関連病院で研修後、子育て期間を経て、現在は東京都内、埼玉県内のクリニックに勤務。日々こどもの診療に奮闘中。自然科学全般に興味があり、気象予報士の資格も取得。