「穀雨」とはどういう意味でどんな季節?【二十四節気・七十二候】

二十四節気「穀雨」の意味

穀雨(こくう)は、雨が降って百穀を潤すという意味からきている言葉です。この時期に降る柔らかい雨は、「百穀を潤し、芽を出させる春雨」として、 古くから「百穀春雨(ひゃっこくはるさめ)」と呼ばれてきました。暦の上では春を締めくくる最後の節気となります。

穀雨の七十二候

・ 初候:葭始生(あしはじめてしょうず) 4月19日~4月24日頃

葭(あし・よし)はイネ科の多年草です。芦や蘆、葦という漢字も使われ、生長の順番によって使い分けることもあります。水辺に生えて、春に芽吹いて、夏にグンと生長し、秋には穂をつけます。

・ 次候:霜止出苗(しもやみてなえいづる) 4月25日〜4月29日頃

霜とは、空気中の水蒸気が昇華(気体から直接固体に変化すること)して、地面や地物に付着した氷の結晶のことです。最低気温が3℃以下になると霜が降りやすく、晩春から初夏にかけての霜は“遅霜”といわれ、農家の大敵です。気温が暖かくなると霜は降りづらくなり、5月初旬の八十八夜を過ぎるとほとんど降りなくなることから、“八十八夜の別れ霜”という言葉もあります。
10月の霜降の時期の七十二候、「霜始降(しもはじめてふる)」は反対に霜が降り始める頃を表します。

・ 末候:牡丹華(ぼたんはなさく) 4月30日~5月4日頃

一般に流通している春牡丹が咲く頃です。牡丹の花言葉には、「富貴」や「恥じらい」、「風格」などがあり、「花の王様」とも呼ばれ、優雅な花を咲かせます。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という、美しい女性のことを例える言葉がありますが、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつけるため、美しい女性が座っているかのように見えるさまを表します。

この時期に使える時候の挨拶

時候の挨拶とは、手紙などの最初に書く季節を表す言葉や挨拶文です。
さまざまな表現がありますが、4月下旬~5月上旬にかけて、よく使われるものをいくつかご紹介します。

① 穀雨(こくう)の候
穀物の生長を促す恵みの雨の降る頃になりましたね~という意味です。
二十四節気の穀雨から次の節気の立夏(りっか)の前日まで使うことができます。

② 葉桜(はざくら)の候
桜の花が散って葉桜となりましたね~という意味です。
4月中旬から5月中旬頃にかけて使われる挨拶です。

③ 麗春(れいしゅん)の候
ひなげしの花の咲く頃となりましたね~という意味です。
4月下旬から使うことができ、春の挨拶のため、暦の上で夏を迎える二十四節気の立夏(5月5日頃)以降は使うことができません。

④ 惜春(せきしゅん)の候
春が過ぎ去って惜しまれますね~という意味です。
4月下旬から使うことができ、こちらも暦の上で夏を迎える二十四節気の立夏(5月5日頃)以降は使うことができません。

⑤ 新茶(しんちゃ)の候
新茶のおいしい頃になりましたね~という意味です。
5月の八十八夜(5月2日頃)から5月10日にかけての、5月上旬に使われる挨拶です。
 
二十四節気や七十二候については、こちらのページでも解説しています。