【気象予報士が冬の天気を解説】この冬は暖冬でも雪対策はお早めに!

まもなく12月に入りますが、この冬は寒いのでしょうか?比較的暖かいのでしょうか?
気になる雪の降り方や冬支度について解説していきます。

この冬はエルニーニョ現象発生中!日本への影響とは?

「エルニーニョ現象」という言葉をニュースや天気予報で見聞きすることがあると思います。この「エルニーニョ現象」。3か月から半年ぐらい先の予報にかなり重要なんです。
そもそも「エルニーニョ現象」とは、南米ペルー沖の海面水温が平常の状態よりも高くなる現象のことです。この冬はエルニーニョ現象が発生し、太平洋の赤道上では、日付変更線付近から南アメリカのペルーの東の海上まで広く海面水温が高い予想となっています。

また、上空を流れる強い西風「偏西風」も平年よりも北に蛇行し、東・西日本は寒気の南下が弱い予想となっています。

この冬の気温の傾向は?

寒気の南下が弱いと予想されるこの冬。全国的には暖冬が予想されています。
2023年11月21日(火)に発表された最新の3か月予報では、東・西日本と沖縄・奄美では冬型の気圧配置が続きにくく、高い確率が50%となっている所が多くなっています。北日本はほかの地域に比べると寒気の影響を受けやすいですが、それでも平年並みか高いでしょう。
また、降水量はほぼ平年並みですが、1~2月は東日本太平洋側と西日本、沖縄・奄美で平年並みか平年より多くなる予想となっています。

雪の予想は少なめながらドカ雪の可能性も!

降雪量の予想は、東・西日本日本海側で少ない確率が50%以上と高く、北日本日本海側も平年並みか少ない見込みです。
ただ、この降雪量は冬全体で降る雪の量となっています。雪雲の線状降水帯である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」が発生し、日本海側で局地的にドカ雪となる可能性もあります。

大陸から寒気が吹きだすと、それよりも温度の高い日本海の上を進み、水蒸気が大量に供給され、雪雲が発達します。このJPCZによる雪雲が流れ込むと、日本海側では山地だけではなく平地でも大雪となることがあります。この冬は、日本海の海面水温が高いため、雪雲が発達しやすい環境が整っているんです。
JPCZについては、そらくらのこちらのコラムでも詳しく解説しています。

日本海側に大雪をもたらすJPCZとは?過去の事例から備えを考える


さらに、関東をはじめ太平洋側も雪に油断はできません。冬型の気圧配置が続きにくいということは、冬型がゆるみやすく、通常、晩冬から春に多い「南岸低気圧」が冬の間も本州南岸を通過する回数が多くなります。上空の寒気の流れ込みによっては太平洋側でも積雪となる可能性があります

いま行っておきたい『冬支度』とは?

暖冬のこの冬こそ、早めに雪への備えをしておきましょう。3つのポイントをまとめてみましたので、チェックしてみてください。

・自動車の雪対策
雪の予報が出る前に、ノーマルタイヤを履き替えましょう。スタッドレスタイヤやチェーンの用意をし、履き替える前にスタッドレスタイヤは溝の深さを確認してください。また、豪雪地帯では、猛吹雪や交通渋滞で立往生したときのため、ブランケットや使い捨てカイロ、雪かき用のスコップなども車に積んでおきましょう。
・自宅の雪対策
普段雪の降らない地域ほど意識して対策を済ませましょう。
特に雪かき用のスコップは、雪予報が出るとホームセンターなどで売り切れとなるケースも想定されます。準備がないという方はこの機会に購入しましょう。
また、用途に合わせてスコップを選ぶようにし、金属製のスコップは凍った雪などを扱う際に、プラスチック製のスコップは耐久性が劣りますが、軽いため使う機会が少ない地域でおすすめです。
・寒さの備え
雪の降り始めは水っぽい重い雪になるケースが考えられます。重い雪により倒木が発生したり、電線が切れたり、停電になることもあります。
このほかライフラインの停止や物流の混乱に備え、暖房器具が使えないことを想定し、非常用袋の確認のほか、湯たんぽや燃料、カセットコンロなどの用意が数日分あると安心です。

この週末はいま一度、「冬支度」を見直してみましょう!

<参考・引用>
・気象庁「向こう3か月の天候の見通し 全国(12月~02月)」(閲覧日:2023年11月22日)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M