【防災コラム】気象予報士が解説!大雨による避難の仕方や基準は?

梅雨末期を迎え、九州では記録的な大雨が続いています。これから台風シーズンを控え、大雨災害のリスクが高い季節が続きます。このコラムでは、大雨による避難の基準や避難の仕方について、気象予報士が解説していきます。

大雨警戒レベルの5段階や警戒レベル毎の行動とは?

気象庁や自治体などから発表される防災情報をもとに、とるべき行動と警戒レベルを5段階に分けて明記しています。

5段階の警戒レベル毎にとるべき行動をまとめてみました。
警戒レベル1は、最新の防災気象情報等に留意し、災害への心構えを高める必要があることを示すレベルとなっています。
警戒レベル2は、ハザードマップなどで自らの避難行動や避難経路を確認しましょう。
警戒レベル3は、高齢者等は危険な場所から避難する必要があり、高齢者以外の方も、気象庁で確認できるキキクル(危険度分布)や河川の水位情報等を用いて避難の準備をしたり、自ら避難を判断したりして下さい。
警戒レベル4は、災害の発生するおそれが高く、危険な場所から直ちに避難する必要があります。
警戒レベル5は、何らかの災害がすでに発生している可能性が高まっています。大雨による低い土地の浸水や川の氾濫、土砂災害が近くで起こっていてもおかしくありません。非常に危険な状態なので、直ちに身の安全を確保して下さい。
なお、大雨警戒レベル5はすでに災害の発生している可能性が極めて高い状態です。避難行動は大雨警戒レベル4までに必ず行い、レベル5相当になった場合は身の安全を最優先に確保しましょう。

避難する際に注意したいことは?

非常用持ち出し袋はチェックリストを使って確認を

避難をする際は、持ち出すカバンに非常用品を事前に用意しておきましょう。
避難所には、食料や飲料水のほか、簡易的な毛布や携帯用のトイレ等の準備が用意されているケースが多いですが、数には限りがあります。ご自分で用意することが大切ですので、チェックリストをもとに確認してみましょう。

また、女性やお年寄り、乳幼児のいるご家庭向けでは、このほかに必要なものが多くあります。慣れない場所での生活は落ち着かないものとなりますので、安心できるように備えておきましょう。

チェックリストとして必要なものを挙げてみましたが、いざというときに重くて持ち歩けないことも考えられます。自分や一緒に避難するご家族で何が必要なのかを定期的に検討したうえで、避難時の荷物を最小限にすることも大切です。

災害前は「水平避難」が基本!災害時は「垂直避難」を

いざ避難を始める際にも注意しておきたいことがあります。
一つ目は、服装や靴です。動きやすい服装はもちろん、意外かもしれませんが長靴を履いて避難することは危険です。冠水した道路や水たまりで、脱げたり、転んでしまったりするケースが考えられますので、サイズが合った運動靴で避難しましょう。
二つ目は、二人以上で行動しましょう。避難時に単独行動は危険を伴います。一人暮らしの場合は近所に住む方と一緒に避難所に向かって下さい。
また、避難の考え方として「水平避難」と「垂直避難」があります。
水平避難とは、今いる場所から近くの安全な場所へ避難することです。
これに対し、垂直避難とは、災害が発生している時に、今いる建物または目の前の建物の高層階へ避難する方法です。
水平避難は、主に災害が発生する前に行うものです。河川が氾濫したり、土砂が崩れ始めたりしている場合に、水平避難を行うと非常に危険です。最終手段として「垂直避難」をするようにして下さい。

大雨の前にハザードマップや避難経路の確認を!

大雨が発生する前に備えを検討することが大切です。
お住まいの地域のハザードマップを確認すると、危険なエリアや指定避難場所などが書かれています。大雨の際に注意したいのは、普段から水たまりが広がりやすい道路や、線路・道路を避ける立体交差点で周囲より低くなっているアンダーパスです。このような道を避難経路とすることは控え、迂回路を検討し、小降りの雨の際に大雨の日を想定してご家族で避難訓練をしてみるとよいでしょう。

大雨警戒レベルや避難行動、避難の仕方やハザードマップの見方について解説しました。
これから8月・9月にかけ台風の接近数や上陸数の多い季節を迎えますので、今一度、避難行動の確認をしてみましょう。

<参考>
気象庁 防災気象情報と警戒レベルとの対応について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

国土交通省 河川局 避難時に注意すること
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/kisotishiki/hinan.pdf