洋服の色・素材選びで熱中症を予防しよう~7月の空と暮らす~

学生のみなさまはもうすぐ夏休み。筆者もそろそろ、学童弁当作りと暑さが心配な日々がスタート致します。今月は、今年2023年の暑さ予想と、熱中症予防に役立つ洋服の色・素材選びをご紹介します。

7月の天気の特徴 梅雨明けから本格的な暑さの夏へ

7月前半、本州付近は梅雨の末期にあたります。梅雨前線へ向かって、夏の高気圧の縁を回り南から暖かく湿った空気が大量に流れ込むと、集中豪雨となり、大雨災害に繋がる可能性があります。

夏の高気圧が勢力を強め、梅雨前線が北へ押し上げられると、梅雨明けとなります。
梅雨明け宣言がされ10日ぐらいは、夏の高気圧に覆われ、晴天と暑さが続きます。
今年2023年の夏は、全国的に暑いと予想されています。詳しく見ていきましょう。

今年2023年も猛暑の可能性大

今年春に終息したラニーニャ現象の影響が残り、日本付近は、高さが異なる二つの高気圧に覆われやすい予想です。毛布を二枚重ねにして暑い空気がこもってしまうイメージで、7月・8月の平均気温は、北日本は平年並、東日本・西日本では平年並か平年より高く、今年の夏も暑さに要注意となっています。

また、暑さの背景には、地球温暖化の影響も。気象庁の観測データから、全国的に日最高気温が35℃以上の猛暑日の発生数が増加している事がわかっており、暑さに慣れていない梅雨明け直後の時期は、特に熱中症に注意が必要です。

ちなみに、気象庁では、その日の最高気温によって、下記のように暑さを表す表現を変えています。
最高気温が35℃以上・・・猛暑日
最高気温が30℃以上・・・真夏日
最高気温が25℃以上・・・夏日

熱中症対策が欠かせない中、服装の色や素材も考慮して暑さ対策をされていますか?実は、着ている服の色によっては体感気温が上がる、つまりより暑く感じるということが、研究によってわかっているんです。

着ている服の色で、より暑く感じることがある?

赤、白、青、緑、深緑、グレー、黒、ネイビー、黄色の9色の中で、どの色の服を着ていた時が暑く感じるでしょう?

答えは、緑、深緑、黒の3色です。

これは、ある実験結果によるデータに基づいています。色違いの9色のポロシャツを、夏の炎天下におき、それぞれのポロシャツの表面温度にどのような違いがでるのかを測定したところ、黒色や深緑色のポロシャツの表面温度は50℃を超えました。一方、白色のポロシャツは30℃程度と、外気温とそれほど変わらない結果となりました。黄色もそれほど表面温度が上がらず、次いでグレーと赤色。紫色と青色も表面温度が上がりやすい色という結果になっています。濃い色の方が、表面温度が高くなり、暑さを感じやすいということがわかりますね。

この違いは、太陽から降り注ぐ日差しのエネルギーをどのぐらい反射できるかに関係しています。白という色は、ほぼすべてのエネルギーを反射する一方、黒はほとんどのエネルギーを吸収してしまいます。このため、白色のポロシャツは表面温度の上昇が抑えられ、反対に黒や濃い緑などのポロシャツは表面温度が上がってしまったのです。

暑い日におススメしたい涼しく感じる服の色と素材

熱中症のリスクを軽減するため、白色や黄色・灰色などの服を選ぶと、服の表面温度の上昇が抑えられます。青や紫などの寒色系の服は、涼感を求めて選ばれることが多い色だと思いますが、意外にも熱を吸収してしまう色のため、体感的に暑さが増してしまいます。
白は汚れが目立ってしまうので子供に着せるのはちょっと、、、と思っている方は、黄色やグレー、赤色の服を選ぶのがおススメですよ。

また、素材選びも重要です。通気性がよく、汗を吸い取り乾かしてくれる吸湿性・速乾性に優れた綿(コットン)や麻(リネン)でできた服がおススメです。
なるべく衣服内に風が入るよう、首元や袖口などが開けているデザインだとなお良いでしょう。

ご自身やお子様のコーディネートをする際に、熱中症対策のひとつとして、洋服の色と素材を工夫し、厳しい暑さの夏を楽しみましょう!

 

<参考>
・一ノ瀬俊明(2020)最小スケール気候変動適応策としての被服色彩選択効果について、2020年度日本地理学会春季学術大会発表要旨集p.97

・厚生労働省 第二会熱中症対策に関する検討会
熱中症対応の衣生活を考える
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ggqi-att/2r9852000002ih4z.pdf