日本で最初にお花見が楽しめる沖縄の桜の魅力とは?

寒さが年間で最も厳しい時期となっていますが、皆さま、いかがお過ごしですか?今日1月16日(月)は、沖縄県の那覇の気象台から桜開花の便りが届く平年日なんです!今年2023年は、すでに那覇から桜開花の便りが届き始めていて、南国の沖縄県や奄美地方では、本州よりも一足早く桜の花が咲きます。
ただ、桜といっても、本州で咲く桜と種類が異なります。本州で楽しまれているのは主に「ソメイヨシノ」。沖縄では「緋寒桜 (ヒカンザクラ)」という品種の桜が咲きます。
このコラムでは、緋寒桜の紹介と、なぜこれほど早く桜が咲くのか説明していきます。

沖縄で楽しまれている緋寒桜ってどんな桜?

緋寒桜は本州でよく見かける淡い色合いの「ソメイヨシノ」よりも、花びらのピンクの色が濃いことが特徴です。
よく似た桜の名前に、「彼岸桜(ヒガンザクラ)」と「寒緋桜(カンヒザクラ)」があります。彼岸桜は春のお彼岸頃に咲き始める別種の桜で、寒緋桜(カンヒザクラ)は緋寒桜と同種です。寒緋桜は、緋寒桜と彼岸桜と区別するために、漢字の一文字目と二文字目を入れ替えて、呼ばれることがあります。

また、本州では、3月中旬以降に楽しまれるソメイヨシノよりも少し早く咲く、2月頃にお花見気分の楽しめる桜があります。こちらも濃いピンク色が特徴の河津桜(かわづざくら)。この河津桜は、白い花びらが特徴の大島桜(オオシマザクラ)と、沖縄で楽しまれている緋寒桜の交配種なんですよ。

沖縄の桜は予想が難しい!?

緋寒桜の開花予想は、とても難しいんです。桜は様々な品種があり、北海道でエゾヤマザクラ、本州はソメイヨシノ、そして、沖縄では緋寒桜などが楽しまれています。本州のソメイヨシノと北海道のエゾヤマザクラの開花・見頃予想はよく見かけて、馴染みもあると思いますが、沖縄の緋寒桜の予想は、ほとんどされていません。

沖縄でソメイヨシノが咲かない理由

ソメイヨシノやエゾヤマザクラの予想は、ほかの民間の気象会社はじめ、ライフビジネスウェザーでも、独自の解析結果から気温など使って、開花・満開日を計算しています。ソメイヨシノなどの桜の花芽は、秋から冬にかけて寒い時期に眠る、つまり休眠し、暖かくなると目覚めて開きます。つまり適度な冷え込みがないと、ソメイヨシノのつぼみは開きません。これを専門的には「休眠打破」といいます。


那覇の気温の平年値(1991-2020年)気象庁データをもとに筆者が作成

沖縄というと暖かいイメージがありますが、実際に気温のグラフを見てみましょう。那覇の1月頃の朝晩の最低気温の平年値は15℃ぐらい。年にもよりますが、1月や2月でも15℃を下回らないことが多く、一日を通して暖かいことが分かります。ちなみに、日中の最高気温が15℃というと、東京都心では3月下旬並みの暖かさ。まさに桜が咲くか咲かないかぐらいの気温ですね。
沖縄にソメイヨシノがあったらずっと眠っているような状態が続いて、花が咲くことはないのかもしれません。このため、沖縄ではソメイヨシノではなく、緋寒桜が楽しまれています。

緋寒桜の研究進む

近年では、緋寒桜の研究も進んでいます。
気温が緋寒桜の開花や満開に関係し、「休眠打破」が緋寒桜でも使えるのでは?という研究などもされています。ただ、緋寒桜は木ごとによって、花の咲くタイミングがバラバラで、開花から満開までの期間も比較的長く、予想をすることは、まだ難しいみたいです。

本州は、まだまだ寒い季節が続き、冬本番ですが、沖縄にお花見気分を味わいに旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか?

 

<参考>
気象庁 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php