暦の上では冬の始まり、二十四節気「立冬」とは?暖房はいつ出す?

今日11月7日(月)は、二十四節気の「立冬」。暦の上では早くも冬が始まります。まだまだ秋の深まりを感じる頃ですが、ひと雨ごとに冷たい空気が流れ込んで冬に近づいていきます。今年の冬はラニーニャ現象が続く予想となっていますので、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、厳しい寒さとなりそうです。少しずつ冬支度を始めましょう。

立冬の意味とは

「立」は新しい季節の始まりを表し、立春・立夏・立秋・立冬をあわせて「四立(しりゅう)」といいます。つまり、立冬は冬の始まりで、立春の前日までが、暦の上での冬ということになります。この先、日本海側は時雨れる(しぐれる)ことが多くなり、平年では、北海道だけでなく東北でも初雪が観測されるようになります。

暖房器具はいつから使う?

冬に欠かせないこたつやストーブなどの暖房器具。北日本など寒冷地ではすでに使っている方も多いかと思いますが、いつ頃から使うのがよいのでしょうか。
寒くなったら使い始めるのが正解なのは間違いありませんが、目安となるデータはいくつかあります。
まず、環境省は、暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイルを推奨しています。暖房を使い始めるのも、「室温20℃」というのは参考にすべき数字と言えそうです。
また、気象庁(1956年までは中央気象台)では1953年から1963年まで「こたつ初日」や「ストーブ初日」といった生活季節観測を行っていました。20%の人々が使用したと推測されるのが初日で、データの欠ける年も多く、気象官署によってはほぼ観測できないこともあったようです。
気象庁天気相談所によると、東京のこたつ初日は、早い年で11月7日、遅い年でも11月25日と、いずれも11月中に観測されていました。名古屋は早い年で11月20日、遅い年は12月13日。福岡は早い年で11月12日、遅い年は12月22日などとなっています。
1960年前後と比べると、地球温暖化による世界規模の昇温や住宅環境に変化はありますが、東・西日本では11月に入って室温が20℃を下回るようになった頃を、暖房器具を使い始める目安にしてみてはいかがでしょうか。

江戸時代はこたつを出す日があった!

江戸時代は、こたつを出す日が決まっていました。「炬燵(こたつ)開き」や「炉開き」といい、亥の月の亥の日です。十二支は寅年のような”年”につくイメージですが、月や日にも割り当てられています。亥の月は旧暦10月ですので、現代の暦でいうと11月です。なぜ亥の月・亥の日なのかというと、“万物は火・水・木・金・土の5つの元素からなる”とする五行思想では、亥は水にあたり、火事を防ぐと考えられたからです。
さらに、武家と庶民という身分の違いでも、こたつを出せる日は違いました。亥の月の最初の亥の日に武家がこたつを出すことを許され、庶民はその12日後の2回目の亥の日です。

喜多川歌麿「絵本四季花」 国立国会図書館デジタルコレクション

14世紀から19世紀半ばはミニ氷河期で、江戸時代は寒かったといわれています。江戸の天災や気象情報を記した武江年表(ぶこうねんぴょう)には、「この冬寒気つよく、両国川氷りて巳刻まで舟の往来絶しことあり」という記述があるほどです。両国川は隅田川の両国付近の当時の呼び名で、巳刻は午前10時頃を指すのですが…隅田川が凍ったとは驚きを隠せません!!
こっそり隠れてこたつを出してしまいそうですが、江戸っ子は風習を大切に暮らしていたのかもしれませんね。「火事と喧嘩は江戸の華」というほどに、江戸は大火事が多かったことも関係しているのでしょう。

一立斎広重「東都名所 隅田川全図雪中景」 国立国会図書館デジタルコレクション

2022年のこたつ開きは?

それでは、今年のこたつ開きの日はいつなのでしょうか。「最初の亥の月亥の日」は11月6日(日)ですので、実は昨日だったんです! 「二回目の亥の月亥の日」は11月18日(金)です。それ以降、亥の日ということであれば、11月30日(水)、12月12日(月)、12月24日(土)と続きます。
東・西日本では、朝晩はすでに気温が下がっていますが、11月中旬になると日中も肌寒く感じられ、お出かけの際はトレンチコートなどのアウターが欠かせません。こたつやストーブを用意するにもちょうどよい時期となりそうです。げんを担ぎ、亥の日にあわせて暖房器具を出してみてはいかがでしょうか。

二十四節気とは?

二十四節気は、日の長さをもとに1年を24等分した暦のことです。春夏秋冬の4つの季節に分かれ、さらにそれぞれを6つに分けています。「冬至・春分・夏至・秋分」と、それらの中間点にあたる「立春・立夏・立秋・立冬」のほかは、「大暑」「霜降」など、その季節の特徴的な現象を名に表しています。日にちは年によって数日変わることがあり、毎年2月に国立天文台暦計算室が発表する「暦要項」で、翌年の日にちが公表されます。

 

<引用・参考>
・生物季節観測指針 昭和28年1月 中央気象台
・環境省 ウォームビズ(WARMBIZ)とは
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/warmbiz/about/
・「武江年表」 斎藤月岑 編
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/949631