【竜巻の発生条件は?】9月が年間で最も多い時期!前兆を気象予報士が解説!

先週5日(金)に高知県に上陸し、本州を横断した台風15号によって、静岡県の牧之原市では竜巻による被害が発生し、『国内最大級』規模と推定されました。
9月は竜巻による被害の発生が年間で最も多い時期です。気象予報士が竜巻の発生条件や前兆現象を解説していきます。

竜巻の発生条件

竜巻の発生条件としては、大きく2つの条件があるとされ、①発達した積乱雲があることと②積乱雲のまわりの空気がゆっくり回転していることです。
大気不安定の原因

このうち、積乱雲の発達には、上空と地上の温度差が関係します。
地上付近の暖かい空気は軽く、冷たい空気は重くなるという性質があり、重力があるため、軽いものは上に、重いものは下に移動します。地上付近の暖かい空気が上昇し、積乱雲が発生し、上空と地上の温度差が大きいほど積乱雲が発達しやすくなります。

いつどこで竜巻が発生しやすい?

<月別の発生数>
7月から11月にかけて竜巻の発生数が多くなります。特に台風が接近していると離れた地域にも熱帯起源の暖かく湿った空気が流れ込み、台風上陸数が年間最多となり、秋雨前線も停滞する9月は発生数が多くなる傾向があります。
<時刻別の発生数>
竜巻の発生は夜間に比べ昼間が多く、11時から18時の間がピークタイムとなります。
<発生しやすい場所>
竜巻分布図

気象庁:突風事例一覧(閲覧日:2025年9月9日)

竜巻は山地のような起伏にとんだ地形よりも海や平野のような開けた場所で発生しやすいため、山地よりも沿岸部で発生しやすくなります。また、東北日本海側から北陸と、関東から九州の太平洋側、沖縄県で発生確認が多くなっています。

竜巻注意情報とは?

積乱雲のもとで発生する竜巻やダウンバーストなどの激しい突風に対して注意を呼び掛けるため、気象庁では『竜巻注意情報』が発表されます。
竜巻注意情報は竜巻発生確度ナウキャストで発生確度2が現れた地域に発表されるほか、目撃情報があり竜巻などが発生するおそれが高まったと判断された場合にも発表されます。
また、雷注意報が発表される場合や、テレビやニュースなどで「大気の状態が非常に不安定」と見聞きした場合も、普段より竜巻の発生する可能性が高まっているため注意が必要です。

竜巻の前兆現象を解説!

天気急変のサイン
まずは天気急変の3つのサインを確認しましょう。①真っ黒い雲が近づいてくる、②雷の音が聞こえてくる、③急に冷たい風が吹くといった3つのサインがあります。
竜巻
また、竜巻の前兆現象としては、漏斗雲(ろうとぐも)と呼ばれる雲が見られる場合は要注意。ゴミなどが巻き上げられる場合は竜巻がすでに発生している状況です。屋内にいる場合も「ゴー」という音が聞こえたり、気圧の変化によって耳鳴りの症状が現れたりすることもあります。
前兆現象に気づいたらコンクリート製の頑丈な建物の中に移動してください。また、屋内にいる場合も窓ガラスが割れる可能性がありますので、窓からなるべく離れた場所で過ごすようにしましょう。

<参考・画像引用>
・気象庁「竜巻等の突風データベース」
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/tornado/index.html

・気象庁「突風事例一覧」(閲覧日:2025年9月9日)
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/tornado/list.html

・福岡管区気象台「竜巻Q&A」
https://www.jma-net.go.jp/fukuoka/chosa/tatsumaki/question.html