第101回(2025年)箱根駅伝のコンディションは?往路・復路のコースや天気ポイントを解説

いよいよ1月2日(木)から第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下:箱根駅伝)が開催されます!第100回の記念大会だった前回は、参加資格が全国へと広げられ、出場枠も増えましたが、今回は通常に戻り、20の大学(第100回大会でシード権を獲得した10校と、予選会の上位10校)と関東学生連合の計21チームが正月の箱根路に挑みます。
それでは、箱根駅伝の概要やルール、区間別のコースの特徴をおさらいした上で、当日のコンディションを見ていきましょう!

箱根駅伝とは

箱根駅伝石碑

箱根駅伝とは、東京都の読売新聞社前から神奈川県箱根の芦ノ湖を往復する、合計10区間・217.1kmにわたって、往路・復路・総合の順位を競うレースです。
第101回大会の出場枠は20の大学(第100回大会でシード権を獲得した10校と、予選会の上位10校)と関東学生連合の計21チームです。10月の予選会は過酷な環境の中での開催となり、1秒という僅差での争いとなりました。
出場校は以下の通りです。

●シード校
青山学院大学
駒澤大学
城西大学
東洋大学
國學院大學
法政大学
早稲田大学
創価大学
帝京大学
大東文化大学
●予選会通過校
立教大学
専修大学
山梨学院大学
日本体育大学
中央学院大学
中央大学
日本大学
東京国際大学
神奈川大学
順天堂大学

箱根駅伝の観戦に欠かせない基本用語

① シード校と予選会通過校

箱根駅伝では、大会の総合成績で上位10校に入ると、翌年の大会に予選会なしで出場できるシード権を獲得できます。シード権を獲得した大学がシード校です。
予選会通過校とは毎年10月に行われる箱根駅伝予選会を勝ち抜いて、箱根駅伝に参加する大学のことです。予選会はハーフマラソンで争われ、各校の上位10名の合計タイムによって順位が決まり、上位10校が本選への参加資格を得ます。

② 繰り上げスタート

交通機関への影響から、首位チームから一定の時間差がついた場合に、走者が中継所に到着しないうちに次の走者を出発させるルールです。繰り上げスタートになったチームは5区と10区を除き大会本部が用意した共通のタスキ(白タスキ)を使用します。各中継場の繰り上げ時間は以下の通りです。

〈往路〉
鶴見中継所・戸塚中継所
→先頭走者通過から10分
平塚中継所・小田原中継所
→ 先頭走者通過から 15分
〈復路〉
すべての中継所で、先頭走者通過から20分以上

③ 復路一斉スタート

復路の芦ノ湖のスタートは往路のゴール順で1位のチームが午前8時にスタートし、2位以降は往路のタイム差によってスタートする時間が異なります。往路のタイムが1位より10分以上遅れていたチームは午前8時10分に一斉スタートとなるため、復路は見た目の順位と実際の順位が異なります。

【区間別】コースのポイントを簡単解説!

<往路>

1区:大手町・読売新聞社前〜鶴見中継所(21.3km)
午前8時の東京都心の気温は、冷え込みが厳しければ0℃ぐらいまで下がります。また、アップダウンはないものの、ビル風が強めに吹きやすいのが特徴です。1m/s の風が吹けば体感温度はおよそ1°C下がると言われています。

2区:鶴見中継所〜戸塚中継所(23.1km)
往路最長のこの区間は、花の2区と言われ、各校のエースが揃います。中盤に「権太坂」の難所、ラスト3kmには「戸塚の壁」が選手を待ち受けます。

3区:戸塚中継所〜平塚中継所(21.4km)
前半は緩やかな下り坂が続き、後半は左手に相模湾・正面に富士山を臨める海沿いのコースです。後半は海から陸に向かって「海風」が吹きやすく、強烈な向かい風となって選手の体力を奪います。晴れた日は日差しも厄介で、天気の影響を受けやすい区間です。

4区:平塚中継所〜小田原中継所(20.9km)
昼前の気温の上がりやすい時間帯を走る区間です。また、橋が10本(切通橋、新不動橋、塩海橋、吾妻橋、押切橋、塔台橋、親木橋、連歌橋、酒匂橋、山王橋)もあり、地味なアップダウンも選手の体力をじりじりと奪っていきます。

5区:小田原中継所〜箱根・芦ノ湖駐車場入口(20.8km)
高低差874mの最大の難所です。最大勾配は、恵明学園前~湯坂路付近の約13%です。また、山は高度が100m上がるごとに気温が約0.6℃下がると言われ、麓の小田原で10℃近くあっても、山頂では5℃前後まで下がる計算になります。低体温症や脱水症状で途中棄権となった選手もいました。

<復路>

6区:箱根・芦ノ湖駐車場入口〜小田原中継所(20.8km)
午前8時の箱根・芦ノ湖は公式の観測記録はありませんが、麓の神奈川県・小田原のアメダスから推測すると氷点下になることが多くなっています。厳しい寒さの中でスタートし、時速20km以上の速さで一気に駆け降りるため、雪が降っていたり、路面が凍結していたりすると、転倒するおそれがあります。

7区:小田原中継所〜平塚中継所(21.3km)
中継所のある小田原付近は、箱根の山から吹き下ろす風で冷え込み、その後は太陽が高くなるにつれて気温が上昇します。寒暖差の大きい区間のため、選手には難しい対応が求められます。また、地味なアップダウンが多いのも特徴です。

8区:平塚中継所〜戸塚中継所(21.4km)
前半は平坦なコースで、沿岸部では「海風」が追い風となって吹きやすく、選手の体力を奪います。藤沢を過ぎると「遊行寺の坂」と呼ばれる上り坂が選手の前に立ちはだかります。気温の上がる場合は、脱水症状にも注意が必要です。

9区:戸塚中継所〜鶴見中継所(23.1km)
復路最長のこの区間は、序盤の下り坂と「権田坂」のアップダウンのペース配分が重要になります。また、気温の上がる時間帯ですので、8区同様に脱水症状に注意が必要です。鶴見中継所では、最後の繰り上げスタートが行われるため、一校でも多く母校のタスキが繋がることを願わずにはいられません。

10区:鶴見中継所〜大手町・読売新聞社前(23.0km)
ゴールの仲間の元へと向かう最終区間です。コースは平坦ですが、気温上昇やビル風が選手の前に立ちはだかります。さらに、沿道の歓声、追う側・追われる側のプレッシャー、優勝やシード権をかけた順位争いなど、様々な要因が入り乱れ、波乱の展開が待ち受けることもあります。

前回大会の天気や結果はどうだった?

<往路>

往路コース

冬型の気圧配置が緩み、高気圧は次第に東海上へ離れました。朝8時時点の東京都心の気温は4.7℃で、その後も気温の上がり方が鈍く、午前9時の横浜が5.9℃、正午の小田原は7℃ちょうどと、気温の低い中でのレースとなりました。小田原中継所から箱根芦ノ湖を目指す第5区は標高が高くなるため、かなり寒かったと考えられます。また、スタート時点から雲が厚く、レース後半は雨がぱらつき、選手の体力を奪いました。
往路は、1区では駒澤大学が飛び出し、レースを引っ張りました。青山学院大学は1区が9位となりましたが、2区に入ると順位をあげて駒澤大学を追いかけ、3区の手前で追い抜くと、どんどん距離を離していき、1位のまま芦ノ湖のゴールテープを切って往路優勝となりました。
5区では、城西大学が区間新の走りをみせ、芦ノ湖では2位の駒澤大学と約40秒差まで詰めて3位でのゴールとなりました。

<復路>

復路コース

気圧の谷の影響で、復路もすっきりしない天気となりましたが、雨とはなりませんでした。朝8時の時点で麓の小田原が3.4℃ですので、スタート地点の箱根・芦ノ湖は0℃前後だったと考えられます。その後の気温の推移は、午前9時の小田原が5.9℃、正午の横浜で10.3℃、レース終盤の午後1時の東京都心は10.1℃と、往路よりはコンディションがよかったといえます。
復路は、青山学院大学が一度も1位を譲らずに強い走りをみせ、復路も制して総合優勝・完全優勝となりました。2位の駒澤大学、3位の城西大学も順位の変動がなく、4位以降は混戦となりましたが、東洋大学までは復路の順位を守りました。シード権を獲得した上位10位は往路・復路の合計で11時間を切る結果となりました。

2025年のコンディションは?往路・復路の最新天気をチェック!

<往路>

箱根駅伝の天気2025往路

1月2日(木)は、高気圧に覆われるため、スタートからゴールまで晴れて天候に恵まれるでしょう。
往路スタート地点の東京都・大手町の朝8時の気温は5℃ぐらいの予想となっていて、その後は気温がグングン上がり、10~13℃ぐらいと、この時期としては気温の高い中でのレースとなりそうです。5区の山登りは、極端な気温低下はないでしょう。
日差しや気温の影響で脱水症のリスクが高まり、水分補給やペース配分が重要となりそうです。

<復路>

箱根駅伝の天気2025復路

1月3日(金)は湿った空気の影響を受けやすく、次第に雲が増えるでしょう。夜は雨のぱらつく可能性がありますが、レース中は天気の大きな崩れはなさそうです。
復路スタート地点の箱根・芦ノ湖は0℃に届くかどうかで冷えますが、雲が多い分、多少は軽減されるでしょう。往路より気温がやや低く、10℃前後でのレースとなりそうです。極端な気温の上昇はありませんが、レース終盤は12℃ぐらいまで上がりますので、日差しが控えめでも脱水症状に注意が必要でしょう。

参加される選手やチーム、すべての関係者が、ベストを尽くせるように祈っています!
観戦に行く方は、朝は冷え込み、また日陰やビル風の影響を受ける都心部、標高の高い箱根周辺などは空気がヒンヤリしますので、念のため寒さ対策グッズも用意しましょう。

<参考>
・東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト
https://www.hakone-ekiden.jp/

・気象庁HP 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php