12月となり、平年では本州でも初雪の降る頃となりました。冬は日本海側で雨や雪が降りやすく、太平洋側はからっと晴れる傾向があります。このコラムでは、その原因となる冬型の気圧配置のメカニズムを解説し、あわせて冬の雨や雪を表す綺麗な言葉や表現を紹介します!
冬は日本海側で雨や雪が多い!冬型の気圧配置のメカニズムとは
西高東低の冬型の気圧配置とは、西の大陸側にシベリア高気圧という冷たく乾燥した高気圧が、東の北太平洋に低気圧が居座っている状態をいいます。
シベリア高気圧から吹き出す北西の季節風の影響で、日本海では雪雲が発生しますが、シベリア高気圧は背の低い高気圧のため、雪雲も背が低く、基本的に奥羽山脈や越後山脈、飛騨山脈といった標高の高い山脈を越えられません。そのため、日本海側を中心に雪が降り、山脈を越えた太平洋側はカラッと晴れて、冷たい風が吹くことが多くなります。
冬型の気圧配置が緩むと、本州の南岸を低気圧が進むことがあり、関東平野部など太平洋側の地域に雪をもたらす原因となります。
冬の雨の名前や表現6選
空から降るものが次第に雨から雪へと変わる冬。冬の冷たい雨には、風情を感じるものや、特定の地域や日にちに使われる表現がいくつもあります。今回紹介するもの以外にも様々な言い回しがありますので、ぜひ調べてみてください。
① 時雨(しぐれ)
晩秋から初冬にかけて、降ったり止んだりする雨のことです。主に、北陸から山陰の日本海側、京都や長野、福島などの盆地や山沿いでみられます。
② 山茶花梅雨(さざんかづゆ・さざんかつゆ)
秋から冬にかけて、山茶花(さざんか)の咲く頃の長雨のことです。本州の南海上に前線が停滞することが原因で、太平洋側で雨が降りやすくなります。
③ 寒雨(かんう)
冬に寒々と降る雨のことです。
「寒の雨(かんのあめ)」という場合は、寒の内(※1月6日頃の「小寒」から2月4日頃の「立春」の前日まで)に降る雨を指し、意味が異なります。
④ 氷雨(ひさめ・ひあめ)
元々は空から降ってくる氷の粒をあらわしますが、今では冬に降るみぞれに近い冷たい雨を指すことが多い言葉です。俳句などでは、ひょうやあられの意味で使う場合は夏の季語、冷たい雨やみぞれの意味で使う場合は冬の季語となります。
⑤ 鬼洗い(おにあらい)
大晦日に降る雨のことです。追儺(ついな)や鬼やらいと呼ばれる、大晦日に宮中で行われていた疫鬼を払う儀式が由来といわれています。
⑥ 寒九の雨(かんくのあめ)
寒九とは、寒の入りから9日目をさしていて、雨が降ると豊作とされます。この日の雨を「寒九の雨」といい、よい意味で使われます。
寒四郎という言葉もあり、寒の入りから4日目をさしていて、晴れたら豊作、雨や雪ならば凶作とされました。寒四郎は農家の厄日の一つです。
冬の雪の名前や表現8選
冬の代名詞ともいえる雪。しんしんと降る雪は風情もありますが、大きな災害をもたらすこともあります。冬の雪をあらわす言葉は、時期や降雪・積雪の違いなどによって、ここには書ききれないほどの表現がありますので、ぜひ調べてみてください。
① 八日吹き(ようかぶき)
旧暦12月8日に吹く、雪を伴った強風のことです。東北や山陰では、この日に吹雪が必ず吹くといわれていました。
② 三白(さんぱく)
正月の三が日に降る雪のことです。
三が日に使われる言葉に「御降(おさがり)」がありますが、こちらは雨・雪のどちらでもよく、その年の豊作の前兆として、縁起の良いものと考えられていました。
③ 臘雪(ろうせつ)
陰暦12月の臘月(ろうげつ)に降る雪のことです。”臘”という字は年の暮れをあらわしていて、現在の12月下旬~2月上旬頃となります。
④ 小雪(こゆき)
小雪は気象用語で、数時間降り続いても、降水量として1mmに達しない雪のことです。北日本や日本海側など、雪の多い地域では「小雪」という表現が適切でないときは「雪」の表現を用いることもあるそうです。
⑤ 友待つ雪(ともまつゆき)
先に降った雪が、友を待つように次の雪が降るまでとけずに残っていることです。
⑥ 風花(かざばな)
晴れているのに、風に舞うように降る雪のことです。山に降り積もった雪が風によって風下側に落ちてくるケースが多くなります。
⑦ 雪花(せっか・ゆきばな)
雪の結晶をあらわす場合と、雪が降る様子を花に例えて使われる場合があります。
⑧ 六花(りっか・ろっか)
雪の結晶の多くは六角形をしていることから、雪の異称として使われる表現です。
<参考・引用>
・気象庁HP 「天気予報等で用いる用語」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html