なぜ冬に関東平野部で雷雨に?今日午後も急変に注意

一昨日1月22日(月)と昨日23日(火)は関東平野部でもにわか雨となり、千葉県を中心に雷雨となった所がありました。急な雷雨にビックリした方も多かったのではないでしょうか?冬の関東平野部では、夏に比べ雷雨となることが少なくなりますが、なぜ今回は雷雨となったのか、気象予報士が考察していきます。

冬型なのに雷雨になった理由は『忍者雲』

昨夜の天気図を振り返ってみましょう。

天気図を見ると、日本の西側に高気圧、東側に低気圧があり、等圧線が縦に並んでいて、「冬型の気圧配置」と言っていいでしょう。通常、冬型の気圧配置の時は、関東平野部で天気が崩れることは多くありませんが、今週は雨が降っています。実は、冬型になると、関東平野部で風がぶつかり、雨雲が発生し、雨を降らせることがあるのです。

これは「房総前線」や「房総不連続線」、「忍者雲」などと呼ばれることがあり、晴れ予報だったとしても、予想より天気が崩れてしまうことがあります。
実際に関東付近の昨夜の風を見てみましょう。

関東北部は北寄りの風が吹いている一方、沿岸部では南西の風が吹いているのが分かります。この北寄りの風と南西の風が千葉県付近でぶつかり、「シアーライン(風の収束帯)」ができ、雨雲が発生しました。

雨だけではなく雷も!?その原因は?

昨夜は、千葉県では雨だけではなく、落雷の観測された場所もありました。気象庁からは千葉県に雷注意報が、21時53分に竜巻注意情報も発表されました。
これほど雨雲が発達した理由は、大気の状態が不安定だったためです。
大気の状態が不安定とは、上空が冷たく、地上付近が暖かい状態をいい、冷たい空気は重いため下降し、暖かい空気は軽いため上昇します。すると、対流が発生し、雷雲が発生します。

ここからは、昨日の上空と地上の温度差、すなわち大気の状態を確認してみましょう。
まずは地上です。この日のアメダス千葉を見ると、最高気温は14.3度まで上がりました。1月23日の千葉の最高気温の平年値(1991-2020年)は9.7度なので、平年より大幅に高く、この時期としては暖かいことが分かります。
次に、上空の気温を確認してみましょう。上空約5,500mの気温が観測されている茨城県つくば市で-30度以下の強い寒気が流れ込んでいました。
つまり、上空が冷たく、地上付近が暖かい状況となり、大気の状態が不安定となったため、千葉県では雷雨になったのではないかと考えられます。

一昨日・昨日とにわか雨あったけど今日は雷雨ある?

今日午後も上空には寒気が流れ込み続けているため、関東平野部では大気の状態が不安定になっています。
このあと、晴れている地域でも千葉県を中心に急に雨雲が発生・発達して、にわか雨やにわか雪が発生したり、天気が急変したりするでしょう。予想よりも平野部で崩れの範囲が広がる可能性もあります。
・空が急に暗くなる
・冷たいヒンヤリとした風が吹いてくる
・雨が落ちてきた
といった天気急変のサインに気づいたら、落雷による被害の発生する可能性があります。
頑丈な建物の中に入り、身の安全を確保してください。
また、洗濯物を干している方は、室内干しへ切り替えがおすすめです。

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・これから外出!雨雲の様子をチェック
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