ボジョレー・ヌーヴォー解禁までまもなく!2023年の出来やワイン造りに合う気候とは?

11月の第3木曜日といえば、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日です。日付が変わる瞬間を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、ボジョレー・ヌーヴォーの基本的な知識や今年2023年の出来、ワイン造りに合った気候について、簡単に解説していきます。

ボジョレー・ヌーヴォーとは

・Beaujolais nouveauの読み方や意味

フランス語では、Beaujolais nouveauと書き、日本語にするとBeaujolais が“ボジョレー”や“ボージョレ”、nouveauは“ヌーヴォー”や“ヌーヴォ”、“ヌーボー”や“ヌーボ”など様々な表記があるようです。どれも間違いではありません。
Beaujolaisは「ボジョレー地区」、nouveauは「新しい」という意味があります。つまりボジョレー・ヌーヴォーは、「ボジョレー地区でその年に収穫されたブドウを使った新酒のワイン」のことで、元々はその年のブドウの出来をチェックすることが目的とされていました。
ブドウは「ガメイ」という品種が100%使われ、赤ワインとロゼワインのみがボジョレー・ヌーヴォーとして認められているため、白ワインはありません。

・ボジョレー地区はどこにある?

ボジョレー地区は、フランスを代表するワインの産地、「ブルゴーニュ地方」の南部にあります。フランス第2の都市で美食の町とも言われる「リヨン」の北側にあり、南北約55kmにも渡る細長い産地です。ソーヌ川に沿っていて、起伏にとんだ丘陵地帯です。

・ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日時

毎年11月の第3木曜日に解禁され、日付が変わった午前0時が解禁時間のため、日付変更線の関係で日本では本国のフランスより8時間ぐらい早く飲むことができます。
元々は11月11日が解禁日でしたが、一時期は11月15日となり、1985年以降は現在の11月の第3木曜日となりました。

2023年のボジョレー・ヌーヴォーの出来はどう?

・ワイン造りにはどんな気候が適している?

2023年の出来を知る上で、まずはワイン造りに適した気候や土壌について紐解いていきましょう。
ワイン造りに重要なブドウ。その栽培には、年間の平均気温が10~20℃(ベストは10~16℃)ブドウの収穫まで必要な日照時間が約1,000~1,500時間年間に降る雨の量が約500~900mmという条件が最適と言われています。
気温は寒暖差があった方がよく、果実の糖度が高くなります。雨量は多すぎると病気や害虫のリスクが高まり、特に収穫期に雨が少ないことが理想です。

・ボジョレー地区の気候の特徴は?

ボジョレー地区は、一日の寒暖差が大きく、年間を通しての気温差も大きい「大陸性気候」に加えて、年間を通して温暖で雨の少ない「地中海性気候」の影響も受けています。ブルゴーニュ地方の中でも気候に恵まれた地区で、ブドウの栽培に適しています。

・2023年のボジョレー地区の天気はどうだった?

2022年10月から2023年9月における天気から、ブドウの出来を推察していきます。
天気は、世界の天候データツールにおいて最も距離が近い「リヨン」の数値を参考にしますが、ボジョレー地区に比べるとリヨンは開けた土地のため、あくまで傾向として考えてください。

引用:世界の天候データツール(ClimatView 月統計値)

2022年10月から2023年9月における平均気温は、平年(1991~2020年)の平均気温より高めに推移しています。年間の平均気温は15℃ぐらいで、ブドウの栽培に最適の気温となりました。一日の中の寒暖差は、冬は5℃前後でしたが、年間を通してみると8~9℃ぐらいで、ブドウの生育期間とされる4月以降は10℃を超える日が多くなっています。
期間中の降水量は約670mmと、こちらもブドウの栽培に適しています。2021年の10月から2022年の9月までの1年間と比べると、降水量の増えた月はないことが分かります。
日照時間はデータがないものの、気温・降水量ともに条件がよく、健康で甘みのあるブドウが収穫されたと言えるのではないでしょうか。

毎年話題のキャッチコピーとは

ボジョレー・ヌーヴォーといえば、少し大げさなキャッチコピーも風物詩となっています。キャッチコピーは「ボジョレーワイン委員会」の評価をもとに「フランス食品振興会(SOPEXA)」が発表した見解を和訳したものと、その情報をもとに販売業者が分かりやすくつけたものの2種類があります。
後者は、「ここ10年で最もいい出来」、「今世紀で最高の出来」といった少し大げさな表現が話題となります。フランス食品振興会(SOPEXA)の見解の方が、品質の予想としては分かりやすいかもしれません。
ここからは2000年以降のフランス食品振興会(SOPEXA)のキャッチコピーをおさらいしましょう。

2000年 出来は上々で申し分の無い仕上がり
2001年 ここ10年で最高
2002年 色付きが良く、しっかりとしたボディ
2003年 並外れて素晴らしい年
2004年 生産者の実力が表れる年
2005年 59年や64年、76年のように偉大な年の一つ
2006年 とてもうまくいった年
2007年 果実味が豊かでエレガント
2008年 フルーツ、フルーツ、フルーツ
2009年 数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年
2010年 果実味豊かで、滑らかでバランスの取れた
2011年 3年連続で、偉大な品質となった
2012年 心地よく、偉大な繊細さと複雑味のある香りを持ち合わせた
2013年 繊細でしっかりとした骨格。美しく複雑なアロマ
2014年 エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい
2015年 記憶に残る素晴らしい出来栄え
2016年 エレガントで、魅惑的なワイン
2017年 豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい
2018年 2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう
2019年 有望だが、生産者のテクニックが重要な年
2020年 非常にバランスが取れた爽やかさのある仕上がり
2021年 挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー
2022年 濃い色調と豊かな香りを備えた、傑出したヴィンテージ

 

中には当たり年や外れ年もあり、天候の面から見ると2012年や2019年は、遅霜、大雨、ひょうといった悪天候の影響を受けています。ただ、ブドウの収穫量が例年より少なくても品質は良く、一概に天候が出来に影響するとも言えません。

2023年のボジョレー・ヌーヴォー解禁まであと少し。
今夜は少し夜更かしをして、ワインやチーズを片手に秋の夜長を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

<参考>
・世界の天候データツール
https://www.data.jma.go.jp/cpd/monitor/index.html