【秋季火災予防運動】初期消火の三原則を見直そう

2023年11月9日(木)から15日(水)までの7日間は、秋の火災予防運動の一週間となります。秋から冬の時期は、冬型の気圧配置の影響で風が強まりやすく、空気も乾燥しやすいため、火が燃え広がって大規模な火災へと繋がるリスクが高くなります。
火災を防ぐために重要なことは、防火対策と初期消火です。
このコラムを通じて、万が一火災が起きてしまったときに、慌てず行動できるように要点を見直していきましょう。

初期消火三原則は知らせる・消火する・逃げる! 3分以内の早め対応が鍵

火災が発生した場合、とても大切になる行動が初期消火です。
初期消火は、主に知らせる・消火する・逃げるといった3つの対応が求められます。火災が発生してしまった場合、火が天井へと到達する時間が約3分とされていて、火が天井へと到達するまで拡大した場合、自力での消火活動が不可能となります。火が天井に到達するまでの3分の間に火元を断ち切る行動ができるかどうかがポイントとなります。3つのポイントをそれぞれ見ていきましょう。

【知らせる~周囲の人への連絡が重要~】
初期消火として「知らせる」の相手は、近所の方々と119番です。
近所には大声で火事が起きたことを伝えましょう。大声で「火事だ!」と叫ぶことが何より重要です。人が集まれば、その後の作業分担にも繋がります。また、119番で消防署への連絡も忘れずに行ってください。電話が繋がるのを待っていると消火活動が遅れてしまうので、スマートフォンはスピーカーを利用して、手足は動かせるようにしておきましょう。

【消火する~消火器の場所を把握されていますか?~】
「消火活動」を行いましょう。火が出て3分以内に鎮火できるかがポイントです。まずは、火を消すことが最重要となるため、消火器がある場合は迷わず使用してください。消火器の手順はおおまかに、「ピンを抜く」、「ホースの照準を合わせる」、「レバーを握る」の3つです。ただし、火が天井に到達するまで広がってしまった場合は、速やかに避難してください。

【逃げる~持ち出すものはあれこれ考えない~】
初期消火として「逃げる」も重要な行動です。人命最優先に、かつ火災を拡大させないことが大切なポイントとなります。逃げる前に可能な限り窓を閉めましょう。酸素供給を断ち、延焼拡大を防ぐことにも繋がります。また、逃げる瞬間になって初めて、貴重品など何を持ち出すか考える人も多いと思います。普段から緊急用で持ち出すものが整理できているのが理想ですが、滅多に起こらないことが起きている状況です。最低限スマホと貴重品(現金、キャッシュカード・通帳)だけでも確保できると良いでしょう。ただ、素早い判断や行動が難しい高齢者も一緒となる場合は、人命が最優先です。

てんぷら油は水かけNG!窒息消火と油の温度を下げること

てんぷら油が発火するときの油の温度は300℃を超えています。この状態で、水をかけてしまうと一気に水が蒸発して、高温の水や油が爆散してしまい、火災拡大や重い火傷に繋がる可能性があります。天ぷら油は水かけNGと覚えておきましょう。
てんぷら油を消火する際のポイントは、窒息消火と油の温度を下げることです。
発火してしまった際は、粉末式の消火器もしくはてんぷら油用の消火器を使用してください。ただ、てんぷら油用の消火器の製品によっては(ハロンガスを用いたスプレー式消火器など)、一時的な消火効果があるのみで、油の温度が下がりません。この場合、再度発火する危険があるため、水を絞ったシーツやタオルで鍋を覆うようにして冷却するようにしてください。てんぷら油の発火が天井に到達する場合は避難するようにしてください。

秋・冬は強風と空気乾燥に注意!身の回りの確認から防火意識を高めよう

秋から冬にかけては、冬型の気圧配置へと移り、風が強まりやすいです。空気も乾燥しやすいため、火種が燃え広がる可能性が高くなります。このため、秋のこの時期に防火意識を一度高めてあげることはとても大切です。
秋以降に使い始めるこたつやストーブ、そして普段から使用する電化製品などの管理に注意する必要があります。就寝前や外出時など目を離す際は、火元を確認するようにしましょう。
また、電化製品はホコリがついていませんか?タコ足配線はやりすぎていませんか?特に、タコ足配線のコンセントは長期間利用しすぎて、経年劣化している場合があります。確認を機に買い替えを検討してみるもの良いかもしれません。
他にも、消火器はどこに配置されているか、消火器の使用期限は過ぎてないかなども確認してみてください。2011年からの消防法では、住宅への火災警報機の設置が義務化されました。火災警報器の電池の寿命は10年が目安とされています。火災警報器の電池が切れていないか、についても確認しておきましょう。

初期消火でとっさに行動できるようにするためにはどのような備えをしておくべきか、を考えて行動していくことが大切です。普段の生活をより安全に過ごせるようにしてきましょう。

<参考>
総務省消防庁:防災・危機管理eカレッジ
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/index2.html

東京消防庁
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/index.html