二十四節気「白露」の意味
白露(はくろ)とは、暑さも少しずつおさまり、露がおりる頃という意味です。この時期に露(つゆ)がおりることがあるのは、主に標高の高い地域となります。残暑の厳しい年は、日中はまだ暑さが続きますが、朝晩はひところと比べると涼しくなり、この先は季節の移ろいを感じられるようになっていきます。
白露の七十二候
・ 初候:草露白(くさのつゆしろし) 9月7日~9月11日頃
草におりた露が白く光って、光が射すと輝いて見える頃です。
秋の季語の「白露(しらつゆ)」は、草木に白く光って見える露の美称として使われます。百人一首では、平安時代の歌人である文屋朝康(ふんやのあさやす)が「白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」という歌を詠んでいて、露に風が吹きつける秋の野原の情景を、紐に通して結びつけていない玉(真珠)が散り乱れているようだと表現しています。
・ 次候:鶺鴒鳴(せきれいなく) 9月12日〜9月16日頃
鶺鴒(セキレイ)が、鳴き始める頃です。鳴き声は種類あり、普段は「チュチュン」と鳴いて、飛んでいるときは「チチチィ」と鳴きます。鶺鴒が鳴くのは秋に限らず一年を通してですが、鶺鴒やセキレイは秋の季語です。日本で一般的に見かける鶺鴒は、セキレイ属のセグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイの3種類で、セグロセキレイが日本の固有種です。
・ 末候:玄鳥去(つばめさる) 9月17日~9月21日頃
玄鳥(げんちょう)はツバメの別名で、”玄”は黒を意味し、ツバメの見た目が黒っぽいことが由来です。
春に日本にやってきた燕が、南へ帰っていく頃で、4月の清明の時期の七十二候、「玄鳥至(つばめきたる)」と対になっています。ツバメや燕は春の季語として使われます。
この時期に使える時候の挨拶
時候の挨拶とは、手紙などの最初に書く季節を表す言葉や挨拶文です。
さまざまな表現がありますが、9月上旬~中旬にかけて、よく使われるものをいくつかご紹介します。
① 重陽(ちょうよう)の候
重陽の節句(9月9日)の頃になりましたね~という意味です。
「重陽の節句」は、七草の節句や桃の節句、端午の節句、七夕の節句とあわせて五節句の1つです。菊の花が咲く頃のため、「菊の節句」とも呼ばれます。
② 白露(はくろ)の候
草木に朝露がおりはじめる頃になりましたね~という意味です。
二十四節気の白露から、次の節気の秋分の前日までの約半月に渡って使うことができます。
③ 初秋(しょしゅう)の候
秋の気配を感じはじめる頃になりましたね~という意味です。
初秋は、二十四節気の立秋(8月上旬)から白露の前日までを指し、その間の約1か月に渡って使うことができます。
④ 爽秋(そうしゅう)の候
空気が澄んで爽やかな秋となりましたね~という意味です。
爽やか(さわやか)は秋の季語で、秋になると”さわやかな天気”といった表現を見聞きするようになります。
地域にもよりますが、9月中頃の涼しさを感じる頃から、10月中旬頃の肌寒くなるまで使うことができます。
⑤ 野分(のわき)の候
野分とは台風の古称で、台風の時期になりましたね~という意味です。
二百十日(9月1日頃)や二百二十日(9月11日頃)の頃の台風が多い時期に使われます。
二十四節気や七十二候については、こちらのページでも解説しています。