今日3月6日(月)は、二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」です。3月に入り、春の訪れを感じる機会も増えてくるこの時期。冬の間はカラッと晴れることの多かった太平洋側の地域でも、雨の降る日が増えます。雨の日は外出が億劫になってしまうこともありますが、春の雨には様々な表現があって風情があるんですよ。
啓蟄とは
「啓」は虫が土の中にこもること、「蟄」は戸を開くという意味で、冬眠をしていた虫などが地上に出てくる頃を表しています。ヘビやカエルなども、冬眠から目覚めて地上に出てきますが、昔の中国では、これらの爬虫類も虫の仲間として考えられていました。漢字で書くと、ヘビは「蛇」、カエルは「蛙」と虫偏がついているのは、このためです。また、この頃に鳴る雷のことを「蟄雷(ちつらい)」や「虫だしの雷」と言います。
春は雨が多い?
冬は晴れることの多い太平洋側の地域ですが、春は晴れたり雨が降ったりと周期的に天気が変わる特徴があります。また、時には数日に渡って雨が続くこともあるため、降水量が増えていく時期です。
平年(1991-2020年)の1か月の降水量は、東京は2月が最も少なく、3月は2月の倍以上になります。大阪の場合だと3月は2月の約1.7倍で、こちらも雨の降る量が増えています。ちなみに4月以降の降水量は、東京と大阪で傾向が少し異なります。大阪など西日本の雨のピークが6~7月頃なのに対し、東京など東日本は9~10月頃です。これは、西日本は梅雨前線の影響を受けやすく、東日本は秋雨前線や台風によって雨がもたらされるためです。
春の雨の名前や表現6選
雨の降る機会の増える春。春の雨には季節の移り変わりを感じさせる特別な名前や表現がいくつもあります。今回紹介するもの以外にも様々な言い回しがありますので、調べてみると面白い発見がありますよ。
① 春雨(はるさめ)
春に降る雨を指します。“食べる春雨”をイメージする方もいるかと思いますが、それもそのはず!製造工程で細かい穴から麺が落ちていく様子が、春にしとしと降る雨に似ていることが名前の由来なんです。
② 菜種梅雨(なたねつゆ)
3月中旬頃から4月にかけて、高気圧が北に片寄ると、日本の南岸沿いに前線が停滞して、関東から西では梅雨時期のような雨が降り続きます。菜の花の咲く頃のため「菜種梅雨」と言われています。
③ 催花雨(さいかう)
桜をはじめいろいろな花の開花を催す雨という意味です。「催花」が同音の「菜花」に通ずることから「菜花雨」「菜種梅雨」になったという説もあります。
④ 春霖(しゅんりん)
「霖」は長雨を表し、春霖は3月から4月にかけて数日雨が続くことを指します。「春の長雨」とも言われ、原因は①の菜種梅雨でも書いた通り、前線が停滞するためです。
⑤ 春時雨(はるしぐれ)
春に降る時雨のことで、降ったりやんだりを繰り返す雨のことです。「時雨」という言葉に馴染みのない方もいるかもしれませんが、晩秋から初冬にかけて、日本海側の地域では雨が降ったりやんだりを1日に何度も繰り返し、それを時雨と言います。
⑥ 桜雨(さくらあめ)
桜の咲く時期に降る雨のことです。この時期は「花冷え」と言って冷え込むことがあったり、雨風に見舞われたりすることがあります。桜の開花後の雨は「花散らしの雨」と言われます。
二十四節気とは
二十四節気は、日の長さをもとに1年を24等分した暦のことです。春夏秋冬の4つの季節に分かれ、さらにそれぞれを6つに分けています。「冬至・春分・夏至・秋分」と、それらの中間点にあたる「立春・立夏・立秋・立冬」のほかは、「大暑」「霜降」など、その季節の特徴的な現象を名に表しています。日にちは年によって数日変わることがあり、毎年2月に国立天文台暦計算室が発表する「暦要項」で、翌年の日にちが公表されます。
「啓蟄」の次は3月21日頃の「春分」。昼と夜が同じ長さになる日です。
<参考>
・気象庁HP 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php