春は火事の多い季節!火災に気を付けて!

春は火事の多い季節

寒かった冬の終わりがようやく見え、もうすぐ春がやってきます。3月1日からの1週間は「春の全国火災予防運動」が実施されます。火事が一番多い季節は、冬ですが、春も火事が多い季節なのです。

上のグラフは、建物火災の月別件数を表したものになります。グラフを見ると、火災件数が一番多いのは1月となっています。冬が年間で最も火災の多い季節ですが、建物火災の件数が1,500件を超える3月や4月といった春も注意が必要な季節の一つです。春に火事が多くなる理由は、主に「空気の乾燥」と「強風」です。冬に次いで春は、中国大陸から乾いた空気が運ばれやすく、高気圧に覆われ晴れる日が続くと、空気の乾燥が進みます。湿度が低く、空気が乾燥していると、空気中の水分が少なくなるため着火しやすくなります。また、春は周期的に低気圧が通過しやすくなります。特に、発達した低気圧が日本海を通過すると、強い南よりの風が吹き、強風になることがあります。低気圧に向かって吹き込む南風が山を越え、吹きおろすことで、乾燥した風に変わることがあり、これを「フェーン現象」と呼ぶんです。このように、春は「空気の乾燥」と「強風」という条件がそろいやすいため、火の取り扱いには注意が必要です。

春に起こった大きな火事の事例

「大火」という言葉を聞いたことがありますか?大火とは、規模の大きな火事のことをいい、被害が広範囲に及ぶのが特徴です。そこで、春に起こった大火を2つ紹介していきます。

◆鳥取大火(1952年)
1952年4月17日、鳥取県鳥取市で大規模な火災がありました。この時、日本海には低気圧が東へ進んでいて、鳥取県付近では強い南よりの風が吹いていました。つまり、フェーン現象が発生し、湿度も下がり、火事が非常に発生しやすい条件が整っていました。この影響で、鳥取駅の近くにある市営動源温泉付近から出火した火が、北側に延焼し、広範囲で火災となりました。この火災は、翌日の18日明け方ごろまで続きました。

◆三陸大火(1961年)
1961年5月29日、岩手県の三陸沿岸の山林で火災がありました。この時は、台風4号から変わった温帯低気圧が北日本を通過しました。この際、岩手県付近では寒冷前線が通過し、乾燥した強い風が吹きました。そのため、たき火や野焼きなどの火入れから延焼し、山林だけでなく、集落にも影響を及ぼしました。この火災は、6月4日まで燃え続けました。

近年、このような「大火」は少なくなりました。鳥取大火や三陸大火も、いずれも今から60年以上前の火災です。考えられる理由としては、木造住宅の減少、薪や炭といった火を使用するエネルギーから電気やガスに変わったことが挙げられます。ただ、近年でもコンロやたばこ、電子機器による火災はなくなっていません。火災が起きる前に、消火の流れを確認しておきましょう!

初期消火の流れを把握しよう!

まず、火災を発見したら、周囲に火事を知らせます。なるべく大きな声で「火事です!」と叫ぶといいでしょう。また、並行して119番に電話し、消防署に通報してください。火事を周りに知らせたら、できる範囲で消火活動を行いましょう。近くに消火器があれば、消火器を使用してください。もし消火器がない場合は、濡れたシーツを火の上から被せると効果的です。ある程度初期消火を行ったら、避難行動をとりましょう。火は思ったよりも早く広がるため、ずっと消火活動を行っていると火事に巻き込まれる可能性もあります。人命が第一ですので、最終的には避難することが大切です。

以上、春の火災や初期消火について紹介しました。湿度が低く、空気が乾燥している日でかつ風が強い日は、火の取り扱いに気をつけてくださいね。

参考
総務省 消防庁 令和4年版 消防白書
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf

東北支場経営部経営第4研究室 昭和36年5月末の三陸沿岸大火による森林被災状況についての調査報告
https://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/kanko/172-3.pdf

東京消防庁 初期消火マニュアル
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/bosai_portalsite/img/syokisyouka.PDF

総務省 消防庁 初期消火
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat67/cat49/cat43/1-14.html