第99回箱根駅伝 コースの区間別天気のポイント<復路編>

激闘の往路を終え、残すは明日1月3日(火)の復路です。復路優勝・総合優勝はどの大学になるのか、また、来年のシード権の行方も気になります。
往路編に引き続き、このコラムで復路のコースと天気予報をチェックしましょう!

見た目と実際の順位が違う?

箱根駅伝では、見た目の順位と実際の順位が異なることが度々あります。
1つ目の原因は、「箱根・芦ノ湖の一斉スタート」によるものです。復路のスタートは、前日の往路のゴール順です。1位のチームが午前8時にスタートし、2位以降は往路のタイム差によってスタートする時間が異なります。そして、往路のタイムが1位より10分以上遅れていたチームは、午前8時10分に一斉スタートとなります。
2つ目の原因は、「繰り上げスタート」によるものです。交通機関への影響から、箱根駅伝では、首位チームから一定の時間差がついた場合に、走者が中継所に到着しないうちに次の走者を出発させるルールがあります。繰り上げスタートになると、5区と10区を除き大会本部が用意した共通のタスキ(白タスキ)を使用します。
各中継場の繰り上げ時間は以下の通りです。

〈往路〉
鶴見中継所・戸塚中継所
→先頭走者通過から10分
平塚中継所・小田原中継所
→ 先頭走者通過から 15分

〈復路〉
すべての中継所で、先頭走者通過から20分以上

箱根駅伝復路の区間と天気の特徴

それでは、ここからは過去10年(2013-2022年)の天気とともに復路の区間を詳しく見ていきましょう。復路は、神奈川県箱根・芦ノ湖から、ゴール地点の東京都の大手町・読売新聞社前を結ぶ5区間、合計109.6kmのコースです。

6区:箱根・芦ノ湖駐車場入口〜小田原中継所(20.8km)
午前8時の箱根・芦ノ湖の気温は、気象庁の公式な記録はないのですが、麓の神奈川県・小田原のアメダスから推測すると、ここ10年は、気温の高くなった2013年と2016年を除き、氷点下だったのではないかと考えられます。(※小田原は8時時点でおおむね0~2℃前後、気温減率は0.6℃/100mとする)
厳しい寒さの中でスタートし、時速20km以上の速さで一気に駆け降りるこの区間は、雪が降っていたり、路面が凍結していたりすると、転倒するおそれがあります。

7区:小田原中継所〜平塚中継所(21.3km)

中継所のある小田原付近は、箱根の山から吹き下ろす風で冷え込み、その後は太陽が高くなるにつれて気温が上昇します。過去10年の、神奈川県・小田原(午前9時)と神奈川県・辻堂(午前10時)の気温を比べると、2013年を除く9年で2~4℃ぐらい気温が上がっています。寒暖差の大きい区間のため、選手には難しい対応が求められます。また、地味なアップダウンが多いのも特徴です。

8区:平塚中継所〜戸塚中継所(21.4km)
前半は平坦なコースで、沿岸部では「海風」が追い風となって吹きやすく、選手の体力を奪います。藤沢を過ぎると「遊行寺の坂」と呼ばれる上り坂が選手の前に立ちはだかります。午前11時頃の神奈川県・辻堂の気温は6~9℃ぐらいのことが多いのですが、2016年には13.7℃と3月中旬並みの暖かさ となりました。気温の上がる場合は、脱水症状にも注意が必要です。

9区:戸塚中継所〜鶴見中継所(23.1km)
復路最長のこの区間は、序盤の下り坂と「権田坂」のアップダウンのペース配分が重要になります。また、正午12時頃の神奈川県・横浜の気温は10℃前後まで上がり、2016年と2017年には13~14℃ぐらいまで上がっていますので、8区同様に脱水症状に注意が必要です。
鶴見中継所では、最後の繰り上げスタートが行われるため、一校でも多く母校のタスキが繋がることを願わずにはいられません。

10区:鶴見中継所〜大手町・読売新聞社前(23.0km)
ゴールの仲間の元へと向かう最終区間です。コースは平坦ですが、気温上昇やビル風が選手の前に立ちはだかります。さらに、沿道の歓声、追う側・追われる側のプレッシャー、優勝やシード権をかけた順位争いなど、様々な要因が入り乱れ、波乱の展開が待ち受けることもあります。

運命を左右する2023年の復路の最新の天気は?

復路の1月3日(月)も引き続き冬型の気圧配置で、冬晴れとなるでしょう。
復路スタート地点の箱根・芦ノ湖は氷点下の冷え込みが予想されます。7区では4℃(午前9時)ぐらいまで気温が上がり、8区にかけての沿岸部では追い風や横風の影響を受けやすいでしょう。横浜の予想気温は9℃(正午12時)、東京の予想気温は10℃(午後1時)となっていて、極端な気温上昇はなく、比較的コンディションの良いレースとなりそうです。
今大会に参加される選手やチーム、すべての関係者が、ベストの結果を残せることを祈ります。
当日の天気速報やゴールの東京都・大手町の様子は、ライフビジネスウェザー公式ツイッターで随時お知らせします。

 

<参考>
・気象庁HP 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
・東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト
https://www.hakone-ekiden.jp/