第99回箱根駅伝　コースの区間別天気のポイント＜往路編＞

第99回箱根駅伝まであと1日。往路のスタートは明日1月2日（月）の午前8時です。
このコラムでは、往路のコースの特徴や、選手のコンディションを左右する最新の天気予報をご紹介します。

箱根駅伝とは

箱根駅伝は、東京都の読売新聞社前から神奈川県箱根の芦ノ湖を往復する合計10区間、217.1kmの、往路・復路・総合の順位を競うレースです。関東学生陸上競技連盟に加盟する大学のうち、前回の第98回大会でシード権を獲得した10校と、2022年10月に行われた予選会を通過した10校、関東学生連合の合計21チームによって争われます。
今大会の出場校は以下の通りです。

学生三大駅伝とは

全日本大学駅伝、出雲駅伝、箱根駅伝は学生三大駅伝と呼ばれます。同シーズンに3大会で優勝することを三冠といい、過去に三冠を達成した大学は、大東文化大学（1990年度）、順天堂大学（2000年度）、早稲田大学（2010年度）、青山学院大学（2016年度）の4校のみです。
今シーズンは、10月の出雲駅伝と11月の全日本大学駅伝で駒澤大学が優勝しており、三冠にも期待がかかっています。

箱根駅伝往路の区間と天気の特徴

往路は、スタート地点の東京都大手町の読売新聞社前から、往路ゴール地点の神奈川県箱根の芦ノ湖間を結ぶ5区間、合計107.5kmのコースです。
ここからは、区間ごとのコースの特徴を、過去10年（2013-2022年）の天気も交えて紹介します。

1区：大手町・読売新聞社前〜鶴見中継所（21.3km）
午前8時の東京都心の気温は、ここ10年を振り返ると5℃ぐらいのことが多いですが、冷え込みの厳しい時は0.3℃（2015年）まで下がっています。都心のビル街を走るこの区間は、アップダウンはないものの、ビル風が強めに吹きやすいのが特徴です。1m/s の風が吹けば体感温度はおよそ1°C下がると言われています。

2区：鶴見中継所〜戸塚中継所（23.1km）
花の2区と言われ、各校のエースが揃うこの区間。中盤に「権太坂」の難所、ラスト3kmには「戸塚の壁」が選手を待ち受けます。
選手が鶴見中継所に着く９時頃の神奈川県・横浜の気温は、過去10年はおおむね５～７℃ぐらいですが、高い時は10.0℃、低い時は1.9℃と、その差はなんと8℃もあります！

3区：戸塚中継所〜平塚中継所（21.4km）
前半は緩やかな下り坂が続き、後半は左手に相模湾・正面に富士山を臨める海沿いのコースです。展望のよい後半は、時として強い風や気温上昇に苦しめられます。昼間は日差しが強いと陸地が温められ、相対的に温まりにくい海から陸に向かって「海風」が吹きます。この海風が強烈な向かい風となって選手の体力を奪います。晴れた日は日差しも厄介で、天気の影響を受けやすい区間です。

4区：平塚中継所〜小田原中継所（20.9km）
昼前の気温の上がりやすい時間帯を走るこの区間。気温は10℃を超えることが多く、神奈川県・小田原の過去10年の気温をみると、2017年は正午に13.5℃まで上がっています。また、4区には橋が10本（切通橋、新不動橋、新海橋、吾妻橋、押切橋、塔台橋、親木橋、連歌橋、酒匂橋、山王橋）もあり、地味なアップダウンも選手の体力をじりじりと奪っていきます。

5区：小田原中継所〜箱根・芦ノ湖駐車場入口（20.8km）
高低差874mの最大の難所です。最大勾配は、恵明学園前～湯坂路付近の約13%。つまり10m進むと1.3ｍのぼる坂道ということになります。
また、その日の天気などで多少前後しますが、山は高度が100ｍ上がるごとに気温が約0.6℃下がると言われます。麓の小田原で10℃近くあっても、山頂では計算上5℃前後まで下がるということです。過去には低体温症や脱水症状で途中棄権となった選手もいました。

気になる2023年の往路の最新の天気は？

往路の1月2日（月）は冬型の気圧配置となるため、カラッとした冬晴れとなるでしょう。
往路スタート地点の東京都・大手町の朝8時の気温は3～4℃ぐらいの予想で、その後も気温の上がり方が鈍く、10℃に届くかどうかの中でのレースとなりそうです。比較的コンディションは良いものの、3区から4区の沿岸部では日差しや風の影響を受けやすいでしょう。5区の山登りは天気の崩れや極端な気温低下はなさそうです。
今年も新春の箱根路に臨むチームや選手を応援しましょう！明日は復路編をお届けします。
また、当日の天気速報は、ライフビジネスウェザー公式ツイッターで随時お知らせします。

＜参考＞
・気象庁HP　過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
・東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト
https://www.hakone-ekiden.jp/