昨年2024年8月8日は宮崎県の日向灘を震源とするM(マグニチュード)7.1の地震発生に伴い、『南海トラフ臨時情報』が初めて発表されました。お盆の帰省直前を襲った大地震でどのような対応を取れば良いのか迷われた方も多かったのではないでしょうか?
このコラムでは、南海トラフ臨時情報や発表された場合はどのような行動を取れば良いのか、解説していきます。
南海トラフ地震とは?地震が1度で終わらない可能性がある
そもそも南海トラフ地震とは、どのような地震なのでしょうか?
南海トラフ地震は、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘にかけてのプレートの境界を震源域として、概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模な地震のことです。
過去最大クラスの南海トラフ地震が発生する場合、静岡県から宮崎県にかけての一部で最大震度7の地震が発生する可能性があり、関東から九州の太平洋側沿岸の広い地域で10mを超える大津波の襲来が想定されています。
前回の南海トラフで発生した地震は、1944年の昭和東南海地震と1946年昭和南海地震で、今年2025年時点で80年前後が経過しています。これまでの地震の発生間隔から、次の南海トラフ地震の発生が近づいていると考えられています。
また、南海トラフ地震の特徴は、震源域のほぼ全域で同時に地震が発生する以外にも、東側の半分のエリアで大規模地震が発生したあとに、西側の残りの半分でも大規模地震が発生したケースがありました。前回の南海トラフ地震では、1944年に東側の地震が発生してから2年後の1946年に西側でも地震が発生しました。東側⇒西側という順番だけではなく、西側から先に地震が発生する可能性もあります。
昨年2024年に発表された『南海トラフ臨時情報』ってなに?
南海トラフ地震の被害軽減のために2019年に運用が開始されたのが、『南海トラフ臨時情報』です。
南海トラフ臨時情報は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合などに気象庁から発表されます。
昨年2024年8月8日に発生した日向灘のM7.1の地震では、南海トラフ地震臨時情報の『巨大地震注意』の情報が発表されました。
対象地域はどこ?巨大地震が発生する可能性は?
南海トラフ臨時情報の発表に伴い防災対応をとる地域は、内閣府の情報によると千葉県から鹿児島県の太平洋側の地域及び沖縄県の1都2府26県の707の市町村です(2025年7月現在)。
南海トラフ臨時情報はキーワードをつけて情報が発表されるため、呼びかけに応じ、防災対応をとる必要があります。
<南海トラフ臨時情報の発表条件>
・南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、もしくは調査を継続している場合
・観測された異常な現象の調査結果を発表する場合
<キーワード>
・調査中:南海トラフ沿いで大規模な地震と関連するかどうか調査開始もしくは調査継続
・巨大地震警戒:南海トラフ沿いでM8.0以上の地震が発生したと評価された場合
・巨大地震注意:南海トラフ沿いでM7.0~8.0の地震が発生したと評価された場合
通常とは異なる『ゆっくりすべり』が観測された場合
・調査終了:巨大地震警戒・巨大地震注意のいずれも当てはまらないと評価された場合
南海トラフ臨時情報(調査中)の情報が発表されたら、状況に応じて避難などの防災対応を準備し、今後の情報に注意してください。
地震発生から最短で2時間後には調査結果が発表されますので、防災対応が取れるよう日頃から準備しておくことが大切です。
発表されたらどんな行動をとればよい?
・巨大地震警戒が発表されたら
日頃からの備えを再チェックし、地震が発生したらすぐに避難するための準備をしましょう。地震発生後の避難では間に合わない可能性のある住民は事前避難をしてください。
・巨大地震注意が発表されたら
日頃からの備えを見直しましょう。例えば、非常用持ち出し袋の確認や就寝時でもすぐに逃げ出せるよう、枕元にスリッパや履きなれた靴を置いてください。
・調査終了の場合
大規模な地震発生の可能性がなくなった訳ではありませんので、注意しつつ、通常の生活を送るようにしてください。
南海トラフ地震もですが、日本各地ではつねに地震のリスクと隣り合わせの状態です。いま一度住まいの地震対策を見直しましょう。
東京消防庁の発表では、近年の地震による負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動が原因です。いま一度、自分自身を守るため、また、大切な人の命を守るため、自宅など身の回りを確認しましょう。
室内では、自分の身長の高さ以上の家具はなるべく置かず、クローゼットや納戸などを利用しましょう。また、家具を置く場合も、突っ張り棒や金具などで固定し、地震による揺れで倒れないようにしましょう。さらに、粘着性シートなどで、固定することも有効です。
<参考・画像引用>
・気象庁「南海トラフ地震について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nteq/index.html
・内閣府:防災情報のページ「特集②:南海トラフ地震臨時情報とは~その時私たちは何をすればいいのか~」
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/r06/111/special_02.html
・内閣府:防災情報のページ「南海トラフ臨時情報が発表されたら!」
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/rinji/index.html
・東京消防庁「地震に備える~家具類の転倒・落下・移動防止対策~」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/jishin/contents02_2.html