梅雨の天気予報は外れやすい?その理由と天気の『信頼度』を気象予報士が解説!

例年であれば、九州から東北は6月に梅雨入り宣言があり、7月下旬にかけて約1か月半の梅雨シーズンを迎えます。
梅雨シーズンは、天気予報がほかの季節より外れやすい傾向にあります。

梅雨に予報が外れやすい理由は?前線の位置にカギあり

梅雨前線イメージ図
梅雨の時期に天気予報が外れやすいのは、梅雨前線の位置の予想が難しいことが原因の一つです。
梅雨前線は、オホーツク海高気圧の冷涼な空気と、夏を代表する太平洋高気圧の暑い空気という性質の異なる2つの空気がぶつかることで発生します。梅雨前線の南北の幅は数100km程度のことが多く、前線周辺の活発な雨雲が掛かれば大雨となることがある一方、前線が陸地から離れると晴れることもあります。予測モデルは、上空の強い西風である『偏西風』に乗って西から東へ移動する低気圧のような雨雲の動きを予測することは得意としていますが、梅雨前線のような南北へ移動する現象の予測がやや苦手となっています。
このため、梅雨前線がいつから停滞するのかという予報は比較的得意ですが、北上する・南下するという南北の位置の予測が難しく、梅雨時期の天気予報の精度が下がる傾向にあります。

天気の信頼度とは?

信頼度とは
気象予報士としては、天気予報の精度の向上に努めたいと考えていますが、利用される方も梅雨時期は予報が変わりやすいことを意識して、天気をチェックしてみましょう。
まず、週間予報を確認する際は、天気の信頼度も併せて確認しましょう。テレビやインターネットのニュース、新聞などの予報では見る機会が少ないかもしれませんが、気象庁では予報の確からしさを『信頼度』として表しています。気象庁が発表する週間予報を見ると、7日先まで1日単位で予報が表示されていて、3日以降の予報では『信頼度』も確認できます。A、B、Cの3段階で表示され、Aは予報が的中しやすく、Cは予報が不確か=変わりやすいとみることができます。
また、天気マークや降水確率からも読み取ることが可能で、晴れやくもりマークの日でも降水確率が30~40%となっている場合は、予報が変わる可能性が高い、もしくは、夕立のような雨が発生しやすい傾向があります。

どんな天気図パターンのときに大雨になりやすい?「台風+前線」の大雨に注意

梅雨末期
さらに梅雨末期に季節が進むと、暖かく湿った空気が南の海上から流れ込みやすいため、西日本を中心に大雨になりやすい傾向があります。ただ、近年では、梅雨前線が日本海に停滞しやすく、東北や北陸でも記録的な大雨となるケースもあり、定説が当てはまらないこともあります。
また、9月から10月は秋雨前線が本州付近に停滞し、台風も接近しやすいため、『台風+前線』の大雨パターンとなることもあります。
いつ・どこで、これまでに経験したことのないような大雨になってもおかしくない状況ですので、こまめな予報の確認が必要です。大雨の警戒レベルに合わせて、どんな行動をとるのか決めておく「マイ・タイムライン」を作成し、防災の意識を一段と高めましょう。

<参考>
・気象庁「週間天気予報」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/shukan.html