最高気温40度ってどんな暑さ?熱中症から命を守るには

この夏もすでに全国的に気温は平年より高く、今週は猛烈な暑さが予想されています。
近年では体温超えの暑さが続くこともあり、昨年2024年の夏(6月~8月)は関東甲信・東海地方の7県・9地点で40度超えの危険な暑さを記録しました。
このコラムでは、最高気温40度がどのような暑さで体にどんな影響を及ぼすのか、また過去に40度超えをした都道府県や危険な暑さへの備えについて、気象予報士が解説します。

最高気温40度ってどんな暑さ?どのくらいの体感で体への影響は?

最高気温40度

・最高気温40度ってどんな暑さで体感は?

最高気温40度は、命に関わる危険な暑さです。
気象庁は、地上の1.5m上で気温を観測していますので、地表面近くはさらに気温が高く、コンクリートのなど照り返しもあるため、特に子どもは影響が大きくなります。
体感温度は湿度や風の強さによっても大きく異なりますが、サウナや蒸し風呂にいるような息苦しさがあり、まさに危険を感じる暑さといえるでしょう。

・体への影響は?

私達の体は脳や心臓などの臓器を守るため、体の中心付近を37℃程度に保つように自ら体温調節を行っています。気温が体温を上回るほどの高さになってしまうと、体から熱が逃げづらくなり、体温調節がうまくできなくなって、全身のけいれんや意識障害を起こすことがあり、さらに悪化すれば臓器の機能障害を引き起こして命に関わる可能性もあります。また、湿度が高い場合は汗が蒸発しづらいため、体の温度は一層下がらなくなります。

過去に最高気温40度以上になったことのある都道府県はどこ?

過去に最高気温40度以上を観測したことのある都道府県は、関東甲信や東海、北陸地方など東日本に多い傾向があり、2024年の時点で約840か所あるアメダスのうち38地点です。国内の歴代最高気温は、静岡県浜松と埼玉県熊谷の41.1度となっていて、観測回数が多いのは岐阜県や群馬県、埼玉県、静岡県などの内陸部、山形県や新潟県などの日本海側の地域で、岐阜県多治見では過去に8回も40度を超えています。
最高気温が高かった地点は2025年6月15日時点で以下の通りです。(気象庁のアメダス各地点の観測史上1位の値を使ったランキング)

1位 静岡県 浜松  41.1度(2020年8月17日)
〃  埼玉県 熊谷  41.1度(2018年7月23日)
3位 栃木県 佐野  41.0度(2024年7月29日)
〃  岐阜県 美濃  41.0度(2018年8月8日)
〃  岐阜県 金山  41.0度(2018年8月6日)
〃  高知県 江川崎 41.0度(2013年8月12日)
7位 静岡県 天竜  40.9度(2020年8月16日)
〃  岐阜県 多治見 40.9度(2007年8月16日)
9位 新潟県 中条  40.8度(2018年8月23日)
〃  東京都 青梅  40.8度(2018年7月23日)
〃  山形県 山形  40.8度(1933年7月25日)

意外と40度超えが少ないのが西日本で、九州では40度を超えたことはまだありません。また、暑いイメージのある沖縄も周囲を海に囲まれていることも影響して35度を超えることが少なく、過去に40度を超えたことはありません。
さらに、過去には6月中に40度を超えたこともあり、最も早い記録は2022年6月25日に群馬県伊勢崎で観測した40.2度です。反対に最も遅い記録は2020年9月3日で、新潟県三条で40.4度、新潟県中条は40度を観測しました。

今年も各地で猛暑に!体温超えの暑さにどう備える?

熱中症の症状

体温超えの暑さが予想される日は、昼夜を問わず最大限の熱中症対策が必要です。
不要不急の外出は控えるのが第一ですが、厳しい場合は時間をずらし、無理をせずに部屋の中ではエアコンを使用する、のどが渇く前に水分補給を心掛けるなどの積極的な対策が必要です。

①外出は短時間で済ませるか昼間のピーク時間を避ける
暑い日に長時間、屋外にいることは危険です。どうしても外出をしなければいけない場合は、なるべく短い時間で済ませ、日傘や帽子で日差しを遮り、日陰を歩くなど、万全の対策をしてください。
また、最高気温が観測されることの多い午後2時前後は特に熱中症のリスクが高まります。気温が低めの午前中や、日陰がのびる夕方以降に買い物に行くなど、時間を選ぶことも重要です。

②エアコンを使用して室温は28度以下に保つ
昼間も暑いですが、夜間も熱帯夜が続き、厳しい暑さが続きます。昼夜を問わずエアコンを使い、室温が28度以下になるように保ちましょう。温度計のついた時計などがあると時間と一緒に温度が見られるため便利です。また、扇風機はエアコンの風下に置くと部屋の空気を効率的に循環することができます。

③リスクの高い「子どもや高齢者」は積極的に声を掛ける
子どもや高齢者は、汗を上手にかけないなど、熱中症のリスクが通常よりも高まります。声をかけて体調を確認したり、いつもよりも積極的に水分を補給したり、対策を強化しましょう。

熱中症応急処置

万が一、めまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気など、熱中症かもしれないなと思う症状に気づいたら、すぐに日陰で休みましょう。自分で水分をとれなくなったり、けいれんなどの症状が現れたりした場合は病院へ行き、意識がない場合は速やかに救急車を呼んでください。

<参考・引用>
・気象庁 「過去の気象データ検索」
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
・環境省 熱中症環境保健マニュアル2022
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php