【3月の天文情報】月食はいつどこで見られる?満月や『すばる食』にも注目!

3月は後半に桜も咲き始め、いよいよ春らしくなってきますね!夜の冷え込みも真冬に比べると、いくぶんやわらぎ、天文観測のやる気も上がってきます。2025年3月におすすめの天文情報を解説していきます!

3月5日(水):筆者いちおし!すばる食とは?

車のメーカーとしても有名な『すばる』は星団の名前です。冬の代表的な星座の一つ「おうし座」の中にあり、プレアデス星団(M45)と名前が付いています。星団とは、漢字の通り密集する星の集団のことで、肉眼でも6個ほどの星を観察することができます。
すばる食
すばるが月に隠れる「すばる食」は5日(水)の夜10時ごろから西の空低くに見ることができ、月齢5.5の月が23時56分には西へ沈んでしまうため、ギリギリまで観察するのも良いでしょう!

3月14日(金):ホワイトデーは月食チャンス!いつどこで?

今月3月の満月は14日(金)に迎えます。満月となる時刻は午後3時55分で月がのぼり始めたタイミングが一番まん丸となるでしょう。

そして、北日本を中心に皆既月食が起こりながら月がのぼります。月の出から10分程度の極めて短い時間ではありますが、太平洋側にお住いの方は東の空低くにのぼり始める月に注目です!今回の月食は月出帯食(げつしゅつたいしょく:月の出の前に月食が始まり欠けたままのぼる)ですが、9月には全国的に皆既月食が見られますので、9月の月食に期待しましょう。
なお、3月の満月はアメリカの農事歴では「ワームムーン(Worm Moon)」とも呼ばれています。3月は、暖かくなってミミズや芋虫が地面から這い出してきて、土に這ったあとをつけることが由来とされます。

3月29日(金):部分日食は日本で見られず!新月のチャンスに春の星空を観察

3月29日(金)は世界的にみると部分日食が発生しますが、見られるのは北大西洋やヨーロッパ北部の一部に限られ、日本からは残念ながら観察できないでしょう。
次の皆既日食は2026年8月13日に南極付近で、日本から見るのであれば新月に太陽が隠され輪っかのように見える金環日食が5年後の2030年に、皆既日食は10年後の2035年までお預けとなりそうです。
新月ということで月が見えず残念に思われる方もいるかもしれませんが、月明かりがない夜空は星の観察に向いています。春の夜空を彩る星座は、3月上旬は23時頃に、4月下旬には21時頃に現れるでしょう。
春の星座
<春の星座の見つけ方>
① 北斗七星を探す
北の空にまず『北斗七星』を探しましょう。印象的なひしゃくの形をした北斗七星は、星座ではありませんが、比較的見つけやすく、こぐま座のしっぽの部分に当たる星の並びです。ちなみに、北斗七星の星の中にはアルコル・ミザールという二つ星があり、昔は視力検査にも使われていました!視力に自信がある方はぜひ探してみましょう。
② うしかい座アルクトゥールスを見つける
北斗七星を見つけたら、ひしゃくの柄の部分を伸ばしましょう。『春の大曲線』とも呼ばれますが、延長線上にオレンジ色の明るい星を見つけたらうしかい座の一等星アルクトゥールスです。古代ギリシア語で「熊の番人」という意味があり、昔の人は近くにあるおおぐま座とこぐま座を追いかけていると考えたのかもしれません。
③ おとめ座スピカを見つける
大曲線をさらに伸ばすと白く輝くおとめ座の一等星スピカにたどり着きます。おとめ座が持つ麦の穂先の星ですが、おとめ座を構成する星々は暗いため、星座絵を想像するのは難しいかもしれません。日本名では、うしかい座のアルクトゥールスと合わせて「夫婦星」やスピカ単体を「真珠星」と呼ぶことがあります。
④ しし座デネボラを見つける
『春の大曲線』を辿ったら最後にしし座の二等星デネボラを見つけましょう。アルクトゥールスとスピカを結んだ中間あたりから線をのばすと見つけることができます。②アルクトゥールスと③スピカ、デネボラを合わせて『春の大三角』の完成です。
デネボラはしし座の尾のあたりの星で、しし座にはレグルスという一等星もありますので、ぜひ探してみましょう。

今月の星空情報を参考に、夜空を眺めてみましょう!

<参考・画像引用>
・国立天文台「すばる食(2025年3月)」
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2025/03-topics02.html

・国立天文台「各地のこよみ」
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/

・国立天文台「日食一覧(2010年から2035年)」
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/solar-eclipse-list.html