2025年の春一番はいつ吹く?春一番の意味や吹く条件をわかりやすく解説

冬真っ只中ですが、2月3日に「立春」、つまり暦の上での春を迎え、この先は徐々に気温が上昇して、春らしさが感じられる日も増えていきます。この時期に冬型の気圧配置がゆるむと、日本海で低気圧が発達して南よりの風が強く吹くことがあります。これを「春一番」と呼び、春の訪れとともに防災上も非常に重要な意味を持っています。
今年2025年の春一番の観測はどうなるのでしょうか。春一番の意味や発表基準、近年の傾向もあわせてみていきましょう。
なお、今シーズンも、そらくら内の春一番特設ページで最新情報をお届けします!

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春一番の意味とは

春一番とは、立春から春分までの間に、広い地域で初めて吹く暖かくやや強い南よりの風です。「春一番」は吹かない年があるため、平年日は算出されません。
名前の由来は、漁師の間で「春一」と呼ばれていた強い南風を「春一番」と呼ぶようになったようです。1859年2月13日に長崎県壱岐郡郷ノ浦町の漁船が、南よりの強風によって転覆し、53人の死者を出したことがきっかけといわれています。

春一番の発表基準とは 吹かない地域はどこ?

春一番の発表基準

春一番は、関東・北陸から九州の各地方で発表され、北日本(北海道・東北地方)と沖縄地方では観測されません。
発表の目安は、①立春から春分までの間であることや、②南よりの風であることは共通していますが、風速や気温、気圧配置などの条件は地方によって多少異なります。

春一番は発表されないこともある?2000年以降の過去の傾向とは

2000年以降の春一番観測

※2000年以降の春一番の観測状況(気象庁調べ)

春一番は期間内に条件を満たさなければ、その年は”観測なし”となります。
実際に2000年以降の春一番の観測状況を振り返ると、全地点で観測されたのは2004年、2007年、2009年、2013年、2017年、2018年の6回だけで、2007年と2009年は全地点が同日に観測されています。
最も観測されやすい地域は北陸地方で、2000年以降は92%の確率で発表があり、2007年以降は毎年観測されています。次いで関東地方が発表されることが多く、確率的には88%です。
反対に、最も観測されづらい地域は近畿地方で44%、次いで東海地方は48%となっています。近畿地方は観測があった年も3月に入ってからのことが多い傾向があります。また、中国地方は2022年以降、3年連続で観測がありません。
これらは、地形や基準の違いによる影響が大きいものと考えられます。

過去の春一番の記録とは

過去の天気図20210204

関東地方を例に振り返っていくと、1951年の観測開始以降、過去最も早く春一番の観測があったのは、2021年の2月4日で、この年の立春の翌日でした。
この日の天気図を見てみると、日本海には前線を伴った低気圧があって、東よりに進みました。この低気圧や前線に向かって湿った空気が流れ込んで気温が上がり、春一番の発表のあった13時30分までに観測された各地の最大瞬間風速は以下の通りです。
・東京 南の風 15.2 m/s(13時06分)
・千葉 西南西の風 20.2 m/s(12時28分)
・横浜 西南西の風 18.3 m/s(12時37分)

二十四節気の日付は年ごとに国立天文台の観測によって決められるため、多少変動します。「立春」は2月4日となることが多いものの、2021年は1897年以来124年ぶりに2月3日となり、過去には2月5日だったこともあります。この先しばらくは閏年の翌年が2月3日になるそうです。これは、地球が太陽を1周するのにかかる時間は365.2422日と、1年で約6時間ずつ遅くなることが原因です。

※国立天文台暦計算室「立春の推移 (予測を含む)」の画像引用

反対に、関東地方で最も遅く観測されたのは1972年の3月20日で、この年の春分当日だったためギリギリでの発表となりました。春分も年によって前後しますが、おおむね3月21日頃です。

2025年の春一番はいつ吹く?

冬型の気圧配置が強まっていると、日本海に低気圧は接近しづらいため、春一番が吹くためには冬型がゆるむ必要があります。
この冬はラニーニャ現象の発生時の特徴が明瞭となりましたが、持続せずに弱まる傾向のため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たさず、平常の状態となっています。また、1月30日に気象庁が発表した最新の一か月予報によると、2月は上旬ほど冬型の気圧配置が強まって日本海側では雪や雨が降りやすく、気温は西日本や沖縄・奄美で平年より低く、東日本も平年並みか低い予想となっています。中旬以降は北側の地域ほど気温が上がりやすく、冬型の気圧配置がゆるんで春の嵐となるかもしれません。
2月3日には北陸地方で春一番の発表があり、最も早い記録を更新しましたが、そのほかの地域も2月中旬から下旬にかけて続々と発表がありそうです。

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<参考・引用>
・国立天文台暦計算室 「節分の日が動き出す」
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2021_2.html

・気象庁HP 「季節予報 1か月予報(2025年1月30日発表)の解説」
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P1M