「雪やこんこ♪あられやこんこ♪」と始まる童謡もありますが、雪やあられ、そして、みぞれやひょうの違いについて説明が難しいという方も多いのではないでしょうか?
このコラムでは気象予報士が違いについて解説します!
【雪とみぞれ】違いを解説
みぞれ鍋やみぞれ煮など調理法を表す表現としても使われる「みぞれ」。
みぞれとは、気象庁の定義によると「雨と雪が混在している降水」のことを示します。
「みぞれ」を予報することは難しいため、気象庁の予報としては「雨か雪」もしくは「雪か雨」と表現することが多くなります。
ちなみに、みぞれ鍋やみぞれ煮は大根おろしを使った煮物を指すことが多く、火が通り半透明になった様子が、空から降るみぞれに似ていることから呼ばれています。
みぞれは漢字では「霙」と雨かんむりに英と書きますが、「英」には「はなぶさ」という読み方もあって、花を表します。みぞれが空から花が降ってくるように見えることから霙の漢字ができたとされています。
【ひょうとあられ】降る時期や大きさの違いは?
ひょう(雹)とあられ(霰)も気象庁では、明確な定義があり、大きさ(直径)で決まります。直径5mm以上の氷の塊を「ひょう」というのに対し、雲から落下する白色不透明から半透明または透明な氷の粒で直径5mm未満のものを「あられ」と分類します。
直径以外にも降る季節が大きく異なります。
俳句の世界でも、ひょうは夏の季語で、あられは冬の季語となるように、ひょうは春から初夏に発生しやすく、あられは冬に降ることが多くなります。
季節の違いはでき方に秘密があります。
ひょうは、積乱雲の中で強い上昇気流によって発生します。小さな氷の粒のままでは、なかなか落下することができず、まわりの氷の粒とぶつかったり、くっついたりして、大きな粒に成長します。直径が2cmぐらいになると落下を始めますが、すべての氷の粒がとけきらず、氷のまま地表に落ちてくると「ひょう」になります。ひょうの断面を見ると、木の年輪のように、わっかが観察できることもあります。
ひょうは、定義としては直径5mm以上ですが、ゴルフボールやテニスボールぐらいのサイズになって降ることもあります。100年以上前の1917年には埼玉県内でかぼちゃ大(直径29.5cm)のひょうが降ってきたと記録が残っているほどです。ひょうによる被害としては、家や車が傷ついたり、窓ガラスが割れたりすることもあります。大気の状態が不安定とはどのような状態なのかは、こちらのコラムで確認してみましょう!
あられを表す言葉って?冬の雨や雪を観察してみよう
あられには、「雪あられ」と「氷あられ」があります。気象庁では雪あられは雪に、氷あられは雨に、それぞれ分類されます。
固さにも違いがあり、白く不透明な「雪あられ」は、雲の粒が短い時間で凍りできているため、白くもろいのが特徴です。固い地面に当たると割れてしまうことがあるほどです。
一方、透明な「氷あられ」は、ゆっくりと隙間を埋めるように固まるため硬いことが特徴です。踏んでもすぐには割れません。
ここまで雪やみぞれ、ひょう、あられについて解説してきました。
この時期に窓の外でカランコロンと音がしたら、あられを観察できるチャンスかもしれません。また、冬の雨や雪の名前はこちらのコラムにまとめていますので、併せてチェックしてみましょう!
<参考>
・気象庁「天気予報等で用いる用語 降水」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html
・気象庁「どうして「ひょう」が降るの?」
https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a3_22.html
・熊谷地方気象台「かぼちゃの大きさの雹(ひょう)について」
https://www.jma-net.go.jp/kumagaya/shosai/chishiki/hyou.html
・気象庁「氷とあられのちがいは?」
https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_31.html