文化の日は晴れの特異日だった?東京都心など主要都市の近年の天気傾向とほかの特異日とは

11月3日の文化の日は「晴れの特異日」で “晴れやすい日”とされています。ただ、近年では晴れの特異日はズレてしまったと言われているんです。
このコラムでは、晴れの特異日の近年の天気傾向を振り返り、そのほかにもある雨や台風、気温などの特異日についても気象予報士が解説していきます。

晴れの特異日とは?地域によって晴れやすい日は異なる?

特異日とは、「特定の天気がその前後の日と比較して高い確率として現れる日」のことを一般的に指し、晴れの特異日とは、その前後の日に比べると高確率で“晴れやすい日”です。
晴れの特異日は、文化の日が一番有名ですが、実はほかにも複数あります。主に東京では1月16日、3月14日、6月1日、11月3日の年4回が晴れの特異日です。1964年の東京オリンピックの開会式が行われたことで制定され、体育の日だった10月10日もよく晴れる印象をお持ちの方がいるかもしれませんが、晴れの特異日とはされていません。
地域によっても晴れやすい日は異なり、冬真っ只中の1月16日の北日本や北陸は雪が降りやすいですし、梅雨入りの早い九州や沖縄も6月1日は晴れやすいとは言えないでしょう。

特異日について明確な定義はない!

特異日は明確な定義がされておらず、少しあいまいな情報です。もともと特異日は1920年代にドイツの気象学者アウグスト・シュマウスによって研究されました。
なぜ前後の日と比べて確率が高いのかは不明確で、気象庁が決めているわけではありません。

東京の天気出現率(1991-2020年)をみると、一年で最も晴れる確率が高いのは12月24日の93.3%です。ただ、この時期は冬型の気圧配置となると晴れる日が多いので、特異日の条件には当てはまらないようです。11月であれば11月16日の73.3%が一番高く、文化の日の3日(56.7%)よりも翌日の4日(70.0%)の方が晴れていることが分かります。文化の日=晴れるという定説は少し雲行きがあやしくなってきました。

文化の日は晴れの特異日だった?近年の主要都市の文化の日の天気は?

前述したように、文化の日は晴れないことも増えてきています。ここからは、過去10年における札幌、仙台、東京、大阪、福岡、那覇の6都市における文化の日の天気を振り返っていきましょう。

近年の晴れの特異日

ここ10年の文化の日で、昼の時間帯に雨が降っていないのは、大阪と福岡です。晴れた日だけ(晴れマークがあり、かつ傘マークのない日)をみると、大阪で100%、福岡は90%と高確率です。
仙台も最後に雨が降ったのは2014年なので、ここ最近は比較的晴れやすいといえます。晴れの日の確率は80%となっています。
東京はここ3年では晴れていますが、その前は雨やくもりが数年続きました。期間中の晴れの日の確率は80%です。
沖縄も同様に直近は晴れていますが、その前は雨が数年続きました。晴れの日の確率は70%となっています。
この中では札幌の天気が一番崩れやすく、よく晴れたのは3回のみですので確率的には30%です。

そのほかの特異日は何がある?雨の特異日や台風、猛暑の特異日はいつ?

特異日は晴れだけではなく、雨や大型台風襲来、猛暑、寒さ、寒の戻りの特異日などもあります。

・雨の特異日とは

その前後の日に比べると高確率で雨が降りやすい日のことで3月30日、6月28日、7月17日、9月12日の年4回です。
3月は高気圧と低気圧が交互に通過しやすく、また長雨となって“菜種梅雨”などと呼ばれることもあります。6月下旬は平年であれば東・西日本中心に梅雨本番を迎える頃で、7月中旬は梅雨末期の頃です。9月は台風の接近や秋雨前線の影響で雨が降りやすい時期となります。

・大型台風襲来の特異日とは

大型の台風が日本列島に接近・上陸しやすい日のことで9月17日と9月26日とされています。
過去には甚大な被害をもたらしている台風が襲来していて、9月17日には枕崎台風(1945年)や第2室戸台風(1961年)が、9月26日には洞爺丸台風(1954年)と伊勢湾台風(1959年)が、それぞれ上陸しました。伊勢湾台風は最も被害が大きく、死者・行方不明者数は5,000名以上にもなりました。

・猛暑の特異日とは

35度以上の猛暑になりやすい日のことで8月18日の年1回です。
暑さのピークは例年7月下旬から8月上旬頃で、近年では地球温暖化の影響などによって記録的な暑さとなることが増えています。また、前日の8月17日は日本の観測史上、最高気温が一番高くなった日のひとつ(2024年10月31日現在)で、2020年に静岡県浜松で41.1℃を観測しました。

・寒さの特異日とは

強い冬型の気圧配置となって全国的に寒くなる日のことで1月31日の年1回です。
二十四節気の大寒から立春にかけては一年で最も寒い頃です。なお、日本の観測史上、最低気温が一番低くなったのは1902年1月25日に北海道旭川で観測された-41.0℃です。

・寒の戻りの特異日とは

寒の戻りとは3月~4月に再び寒くなり、一時的に冬のような寒さがぶり返すことです。
4月6日、23日、24日は寒の戻りの特異日で、特に4月6日は桜が開花している頃のため、花冷えの特異日と言われることもあります。

2024年の文化の日の天気傾向は?

今年の文化の日前後の天気はどうなるのでしょうか? 11月2日から4日にかけての天気をみていきましょう。

文化の日の天気

3日間を通してみると、全国的に最も晴れやすいのは文化の日ではなく、翌日の4日となりそうです!
3連休初日の2日(土)は、台風から変わる低気圧や前線の影響で、九州から東北で雨が降り、警報級の大雨となる可能性があります。この日の晴れエリアはなさそうです。
文化の日の3日(日祝)は、関東では雲が残り、一時的に雨が降るでしょう。そのほかは晴れ間の出る所がありますが、雲が目立ちそうです。また、晴れても風が強く、穏やかな晴天とはならないでしょう。
振替休日の4日(月休)は、北海道では次第に雨が降りますが、そのほかは穏やかな晴天となりそうです。日中は11月とは思えないような高温となりますが、朝晩は気温が下がり、一日の中の寒暖差が大きくなるでしょう。お出かけをされる方は、羽織る物やストールなどを用意し、服装をうまく調整してください。

<参考・引用>
・東京管区気象台 「天気出現率」
https://www.data.jma.go.jp/tokyo/shosai/chiiki/tenki/link.html

・気象庁 「過去の気象データ検索」
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php