100mmの雨ってどんな雨?まとまった雨の降り方や体感を気象予報士が解説

1時間100mmの雨や1日に100mmの雨とはどんな雨でしょうか?気象予報士が大雨警報の基準や体感をわかりやすく解説していきます!

1時間100mmってどんな雨?

1時間に100mmの雨は、数年に一度しか発生しないような短時間の大雨です。
気象庁では「記録的短時間大雨情報」を発表し、注意喚起を促します。その発表基準は①大雨警報発表中かつ②キキクル(危険度分布)の「危険(紫の表示)」が出現し、③各地の雨量の基準値を満たす場合です。
記録雨
雨量の基準値は、北海道の一部や東京都小笠原諸島、福井県が80mm、青森県や滋賀県、京都府、中国地方の一部、香川県で90mmとなっていますが、そのほかは100mm以上となっています。雨量の基準は1時間降水量が歴代1位または2位の記録を参考に決められています。

1日の降水量が100mmってどれぐらいの雨?

まずは、1日の降水量が100mm以上になるような雨は、どれぐらいの頻度で発生しているのか見ていきましょう。

地域別に発生頻度を確認してみると1日の降水量が100mmの雨は、雨の少ない北海道や東北、北陸で数年に1回あるかないか程度、東京都心は1年に多くて2~3回ぐらい、雨の多い高知や鹿児島、那覇では年間で10日超えるような年もあります。
1日に100mmの雨量が観測されるような場合は、何らかの水害が発生してもおかしくないレベルの大雨でしょう。場所によっては1か月に降る雨の量が1日で降るようなまとまった雨となります。

都市別に確認!大雨警報の基準は?

大雨警報は、大雨による重大な災害が発生するおそれがあると予想されたときに気象庁から発表されます。「大雨警報(土砂災害)」や「大雨警報(浸水害)」、「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように警戒すべき項目を明示した形で発表されます。雨がやんだあとも、重大な災害のおそれが残っている場合は発表を継続することがあります。
大雨警報は、①土砂災害が「土壌雨量指数」を、②浸水害が「表面雨量指数」をそれぞれの市町村で基準値が決められ、基準値を超えるほか、超えると予想される場合に発表されます。
土壌雨量指数
土砂災害で用いられる「土壌雨量指数」はいま降っている雨だけではなく、これまでに降った雨が土の中に浸み込み、どれだけ溜まっているかを数値化した指数です。
表面雨量指数
山地や斜面では地中に水が浸み込みやすい一方、都市部はアスファルトに覆われ雨が地中に浸み込まず地面に溜まりやすいという特徴があります。浸水害で使われる「表面雨量指数」も地面の様子や地形の傾きを考慮し、数値化した指数となります。
大雨警報の基準値
都市別の大雨警報の基準値を確認すると、土壌雨量指数は130~140という所が多くなっています。大雨の比較的多い高知市は230以上ですが、大阪市は「-」となっています。発表する市町村に斜面がない場合は、閾値が設定されないことがあります。
表面雨量指数は13~35となっていて、札幌市や大阪市で基準値は低め、千代田区や高知市、福岡市は高めという結果になりました。
なお、高知県では、地震の影響により2024年8月現在、暫定的に閾値が下げられています。

まとまった雨の降り方の体感を気象予報士が解説

猛烈な雨
1時間100mmの雨は、1時間80mmの「猛烈な雨」が恐怖を感じたり、息苦しくなったりするような圧迫感があるといわれていますので、それ以上の降り方と言えるでしょう。都市の排水機能が追い付かず、道路が川のようになって、車の運転は危険です!アンダーパスや地下施設などの低い土地が一気に冠水するおそれがあります。また、落雷を伴うケースも多く、自宅や職場が停電したり、停電によって電車等の公共交通機関のダイヤの乱れが発生したりするケースもあります。

1日に100mm以上の雨が降る場合は、短時間でザッと降る雨のほか、1時間5mm以上のいわゆる本降りの雨~やや強い雨が長く続くようなときにも観測されます。本降りが長く続くような雨の場合も土砂災害や川の増水のリスクが高まることがあります。
外出時は、そらくらの雨雲レーダーも参考に、周囲の様子を確認しましょう!

<参考>
気象庁「警報・注意報発表基準一覧表」(2024年8月閲覧)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/index.html