体温を超えるような暑さが続き、食欲が無かったり、体がだるかったりしませんか?その体調不良、「夏バテ」かもしれません。このコラムでは、夏バテの症状や原因、夏バテしてしまっている時におすすめの症状改善食材をご紹介致します!
夏バテの症状ってどんなの?
医学的に「夏バテ」という定義は無いようですが、下記のような症状が現れていると「夏バテ」してしまっていると言えます。
<夏バテの症状>
・食欲不振
・消化機能の低下
・睡眠不足
・慢性疲労
・モチベーションの低下
・イライラする
・だるい
夏バテしてしまう原因
夏バテしてしまう原因は大きく3つあります。
①熱ストレスによる自律神経の乱れ
私たちの体には、だいたい体温を36℃に保つという働きがあります。猛烈な暑さを感じたり、運動や温かいものを食べたりした際には、体が暑いと感じ自発的に汗をかいて、その汗の蒸発によって体温を下げています。しかし、湿度が高かったり、屋外から冷房の効いた室内へ移動して寒暖差を感じたりすることによって、体温調節を行っている自律神経の働きが弱まり、体に様々な不調が現れてしまいます。
②水の摂りすぎ
熱中症予防のためには、水分を積極的に摂るようにして頂きたいですが、摂りすぎもよくありません。皆さんは、1日にどのぐらいの水分を摂取したらいいか知っていますか?
・1日に必要な水分量の目安
私たち人の体は50%~80%が水分で、高齢になるほど水分量が少なくなります。例えば、体重60kgの成人男性の場合は約60%が水分のため、約36kgが水分ということになります。体の水分量は、飲んだり食べたりして摂取した水分と、汗や尿などによって排出した水分とで一定になるように調節され、一日2.5Lの水が出入りしています。
2.5Lの内、食事などから1L、体内で作られている水分が0.3Lと言われているため、残りの「1.2L」を飲み水として補うと良いと言われています。この1.2Lが水の摂取量の目安となります。赤ちゃんや幼児、激しい運動を行う予定の日などは、1.2Lより多く水分補給を行うと良いでしょう。
・過度な水分摂取をした場合
適切な水分量を超える水を摂りすぎた場合、胃酸が薄まり消化不良になったり、排出が追いつかず体がむくんだりします。また、血流量が増えるため血圧が上がってしまい、体がだるく感じる事もあるそうです。
③冷たい飲み物・食べ物の摂りすぎ
冷たい飲み物や食べ物は、体を内側から冷やしすぎてしまい、胃腸の働きを低下させてしまいます。消化不良や食欲の低下に繋がるため、食事はなるべく温かい物を摂るようにしましょう。水分補給をする際も、冷房の効いた室内にいる場合は、常温のものか、温かい飲み物がおすすめです。
夏バテしちゃった人向け症状改善食材
すでに夏バテしてしまい、症状を改善したい方向けに食事のポイントや食事に摂り入れるとよい食材をご紹介します!
・食事のポイント
食欲がなく、そうめんやうどんなどの麺類のみで済ませてしまう事があるかもしれませんが、ポイントは「1日3食、バランスの良い食事を摂る」こと!主食(糖質)+主菜(タンパク質)+副菜(ビタミン・ミネラル)の食事の基本を意識することが大切です。主食に、肉や魚・卵・大豆製品などのタンパク質と、野菜や果物からビタミン、牛乳や海藻類からミネラルと、色々な食材をバランスよく取り入れられるといいですね。例えば、そうめんを食べる場合は、卵やお肉、冷やしトマトなどをトッピングして食べると、栄養バランスが良くなります。
・夏バテ症状改善におすすめ食材
①豚肉
豚肉には、ビタミンB1という栄養素が含まれています。このビタミンB1は、糖質を燃やしてエネルギーに変えるために必要なビタミン。不足すると疲労の回復が遅れ、疲れが溜まりやすくなってしまいます。また、糖質の多い偏った食生活をしていると、糖質を分解するために多くのビタミンB1が必要になり、不足気味に。豚肉と一緒に、アリシンという栄養素を含むニンニクやニラ・ネギ・玉ねぎ・生姜を食べると、ビタミンB1の吸収率が上がるのでおすすめです。
ビタミンB1は、豚肉のほかにも、ウナギ・玄米・ほうれん草・ごまにも多く含まれていますので、積極的に食事に取り入れて下さいね!
②梅干し
梅干しには、クエン酸という疲労の原因物質である乳酸を排出してくれる栄養素が含まれています。疲労回復効果の他にも、胃もたれなど消化不良を改善してくれたり、血液をサラサラにしてくれたりする働きも持っています。梅干しの他にも、レモンやグレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類や、お酢などからも摂ることができます。少し疲れたなと感じた際は、酸っぱい食べ物・飲み物で疲労を回復させましょう!
③トマト
トマトは、水分が多く、美肌効果のあるビタミンCや、ミネラル・食物繊維をバランスよく含んでいる食材です。食事に摂り入れると、汗と一緒に流れ出てしまうカリウムやマグネシウムなどを補うことができます。また、トマトの赤色の成分であるリコピンは、強い抗酸化作用があり、低下した免疫機能の改善や紫外線ダメージによるしみ・そばかすの抑制といった効果があります。酸味の正体はクエン酸ですから、疲労回復効果も期待できますよ。
色々な食材を上手に組み合わせて、夏のだるさ・疲れを吹き飛ばしましょう!
<参考文献>
バランスの取れた熱中症及び夏バテの予防法の提案
航空自衛隊 航空医学実験隊 髙田邦夫 航空医学実験隊報告 64 (1), 1-15, 2024-03-01
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasdfaml/64/1/64_1/_pdf/-char/ja
厚生労働省 特集 ~夏の疲れを残さないために~ 楽食だより
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/hansen/kuriu/pdf/rakusyoku_002.pdf
厚生労働省 健康のために水を飲もう講座
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000205776.pdf
環境省 熱中症環境保健マニュアル2022
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf
農林水産省 aff(あふ)2022年8月号 もっと食べたくなるトマト
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2208/index.html