川のレジャー安全に楽しむために事前に知りたい6つのポイント!緊急時の対応は?

本格的な夏となり川のレジャーを楽しむ方もいるのではないでしょうか。川遊びを楽しむ際には、安全を確保するために事前に注意しておきたいことがあります。緊急時のポイントも併せて、このコラムで確認してきましょう。

川で遊ぶ前に知っておきたいこと

川のレジャーを安全に楽しむには、事前に天気や川の危険ポイントなどを知っておいたり、もしもの時に備えて道具をそろえたり、その時の行動をイメージしておくことが大切です。一つずつ確認していきましょう!

気象情報をこまめに把握する

 

川遊びこんな時はすぐ避難

川周辺の気象情報を把握するようにしましょう。川のレジャーに行く前の事前把握も大切ですが、夏の天気は変わりやすいため、川遊び中も周辺の気象情報をこまめに確認することをおすすめします。また、下記のような状況のときは、川のレジャーは中断するようにしましょう。

① 上流方面の空に真っ黒な雲が見えたとき
真っ黒な雲とは積乱雲のことで、夏を代表する雲でもあります。積乱雲は強い上昇気流によって上方向に著しく発達します。また、水平方向の大きさは数km~十数km程度と、雨を降らせる範囲は狭く、持続する時間は30分~60分程度と短いですが、1時間に20ミリ以上の強い雨や激しい雨を降らせます。川の上流に積乱雲があると、短い時間で雨が下流に流れ込み、川の水の量が急増します。2008年7月28日に神戸市の都賀川で、川の増水により児童を含む5名が川に流されて亡くなった痛ましい事故が発生しました。この時は、上流で大雨となってから、わずか10分で川の水位が1m3cmも上昇したと言われています。上流方向に積乱雲がある場合は、天気がよくても川からなるべく早く離れるようにして下さい。

② 急に落ち葉や流木、ゴミが流れてきたとき

③ 雨が降り始めたとき
狭い川ほど急速に増水します。大雨が降った場合、速やかに川から離れましょう。

④ 稲光を見たり雷鳴を聞いた時
稲光が見えてから雷が鳴るまでにタイムラグがあるのを疑問に思う方もいるでしょう。光は電磁波の性質により1秒間におよそ30万キロメートルで進むのに対し、音は空気が振動することで伝わり、1秒間でおよそ340m進みます。音の速さは人が感覚的に理解できる速度のため、今いる場所から雷が発生した場所までの距離がわかります。雷が光ってから10秒経って雷鳴が聞こえたとすると、3.4kmの距離で落雷が発生しています(40m×10秒=3400m=3.4km)。雷鳴が10秒以内に聞こえたらすでに雷をもたらした積乱雲の下にいる可能性が高いです。山間部では雷雲が発生しやすいため、雲行きが怪しければ、早めに屋内や自動車に避難しましょう。

水位情報や過去の水難事故を把握する

川の通常時の水位と、現在の水位を把握しておきましょう。水位が通常よりも高い場合は川に入らないようにするなど対策をとることができます。また、過去に発生した水難事故を知ることで注意を高めることができます。こちらのページがおすすめです。

・川の防災情報(国土交通省)
https://www.river.go.jp/index

・全国の水難事故マップ(公益財団法人 河川財団)
https://www.kasen.or.jp/mizube/tabid118.html

危険な場所の把握

 

川遊びこんな場所は危険

川遊びをする際は、水の流れの激しい場所や深みのある場所、魚とりや釣りでは、転倒のおそれがある場所などの危険な場所を事前に把握して近づかないようにしましょう。また、保護者の方はお子様を危険な場所で遊ばせないようにしてください。下記に川の危険なポイントの例を挙げています。一緒に遊ぶ人と共有するといいでしょう。

① 川のカーブの外側
川のカーブの外側は危険です。川の外側には強く早い流れがあると同時に水深が深くなっていて、深みにはまってしまう危険があります。腰までつかると川に流されてしまうため、行かないようにしましょう。

② 水面が沸き上がっている流れ
強い流れが川底の岩にぶつかり上がった流れです。大きなものは渦をもっていて巻き込まれると危険です。

③ 浮き石
川の上流ではごつごつとした大きいものが多いです。ただ、足をのせるとバランスを崩して転倒して流される危険があります。

④ 水際に生い茂る草
草で見通しが悪い場所は、陸地と水面との境目がわかりにくく、滑って転んだり、落水したりするリスクがあります。

装備をそろえる

 

命を守る川の持ち物リスト
川で安全に遊ぶためには、命を守るための道具をそろえておくことも大切です。最低限必要なものを確認しましょう。
① 必ずライフジャケットを着用する
川に腰より深い場所があるとしたら、ライフジャケット無しでの入水は危険です。水泳が得意であったとしても、水流の強さにはほとんど抵抗できないため、足の届かない川の中でライフジャケットなしで浮くことは困難です。サイズの合った物を選び、正しく着用してください。また、水難事故の事例では、こどもを助けようとして、慌てて救助しようしようとした大人が事故に遭うケースも目立ちます。引率する大人もライフジャケットの装備が必要です。

② リバーシューズなど川に適した靴を履く
脱げにくく、滑りにくい靴を選びましょう。かかとがしっかりと固定できるスポーツサンダルや水はけのいい運動靴も適しています。ビーチサンダルは脱げやすく滑りやすいため川ではとても危険です。

③ スローロープを携帯する
自分以外の人が流されたときに陸上から救助するためのアイテムです。万が一に備えて携帯しておくと安心です。ただし、ロープが絡まるなどのトラブルもあるため、使用方法を事前に確認して、練習しておくことも大切です。

④ スマートフォン
水難事故に遭遇した場合の連絡ツールとして携帯しておくことがおすすめです。水に濡れても大丈夫なように防水ケースに入れておきましょう。

こどもには保護者が付きそう

こども一人では水遊びをさせないようにしましょう。また、こどもたちが集団で遊ぶ場合も保護者が付きそうなどして、目を離さないようにしましょう。こどもが入水しているときは、こどもが流されてしまってもすぐ対応できるように、保護者が下流側で見守るようにして下さい。その際、保護者もライフジャケットを着用しましょう。

体調の悪いときは川に入らない

体調が悪いときや飲酒したときなどは、判断が甘くなり思わぬ事故につながってしまうことがあるため、川に入らないようにしてください。

こんなときどうする?緊急時の対応

雨が降ってきたら?

中州にとどまることはやめ退避してください。雨が降っても橋の下では雨宿りはしないで、屋内や自動車に避難します。また、川の近くで聞きなれないサイレンが聞こえる場合はダムの放流のサインです。川の下流でも一気に水位が上昇する可能性がありますので、すぐに川から離れましょう。

川に流されてしまったら?

流速1m/秒の流れでは、1秒間に1m流されることになります。ライフジャケットを着て浮くことができたとしても、川の流れに流されるだけでは、その先にある危険なポイントに遭遇してしまうことがあります。このため、流されながらも穏やかな場所へ積極的に移動する必要があります。元居た場所に戻ろうとすると、流れに逆らうことになり、かえって危険です。
まずは、流されながら仰向けの姿勢になり、足を下流に向けて、両手でバランスをとる「背浮き」で川の中で身の安全を守りましょう。足を下流に向ける理由は、隠れ岩など川の中の障害物を蹴ることで激突を避けるためです。川の流れの穏やかな場所をみつけたら、流れに対して直角に泳ぐと簡単に流れされてしまうため、流れに対して上流側に斜め45°ほどの角度をとる「フェリーアングル」を意識しながら、泳いで移動するようにしましょう。

溺れているひとをみかけたら?

溺れている人をみかけたら
溺れている人を助ける水難救助は、救助しようとする人自身のリスクが高いです。このため、リスクの低い方法すなわち、自分自身の安全を確保できる救助方法を優先して選択する必要があります。自分自身の安全を最優先するためには、できる限り水に入らずに陸上で救助を行うことが重要です。万が一、誰かが落ちたり流されたら、自分の安全を確かめ、まず声をかけましょう。次に、浮くものを投げたり、浮く素材のスローロープを使ったり、近くに長い棒があれば、それを差し伸べてください。もし、事故に遭遇したら、周辺の人に声をかけ、協力を求めるとともに消防要請をしましょう。

まとめ 天気予報はそらくらでチェック

天気予報で「天気の急変に注意」などと説明している場合は、晴れていても急に雨雲が急発達する可能性があります。特に、山沿いでは暖かく湿った空気が地形によって持ち上げられて雨雲が発達しやすいため、最新の気象情報が必要です。天気予報はそらくらの雨雲レーダーから確認してみてください。

<参考>
気象庁 急な大雨による災害
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tenki_chuui/tenki_chuui_p3.html

公益財団法人 河川財団ホームページ
https://www.kasen.or.jp/

独立行政法人水資源機構 草木ダム管理所
https://www.water.go.jp/kanto/kusaki/sairen.html

草開浩・小山芳太・金森恒雄・瀬古弘(2011)2008年7月28日近畿地方を南西進した線状降水帯と都賀川での大雨について、「天気」第58巻、p395~412
https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2011/2011_05_0003.pdf