気象庁では、さまざまな気象要素の観測を行っています。その中でも、気温や降水量、風などの身近な気象状況を自動的に「観測している」システムが「アメダス」です。
こちらのコラムでは、アメダスの正式名称や観測地点、観測要素についてお話します!
アメダスの正式名称って何?
アメダス(AMeDAS)とは「Automated Meteorological Data Acquisition System」の頭文字をとった略で、直訳すると「自動気象データ収集システム」となりますが、正式には「地域気象観測システム」のことをいいます。1974年から運用が開始されていて、気象災害の防止などで大切な役割を果たしています。
観測要素は?
降水量を観測する観測所は全国に約1,300か所(約17km間隔)、このうち、約840か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、湿度を観測しています。さらに、雪の多い地方の約330か所では積雪の深さも観測しています。
アメダスで観測された結果は、電話回線で東京・大阪のアメダスセンターに集められ、収集したデータを整理されたのちに天気予報作成時に利用されたり、防災、農業災害などの分野で役立てられたりしています。
アメダスの設置環境
アメダスの設置環境は、周囲の地形や建物、人工物の影響を受けないように配慮された場所に設置されています。たとえば、降水量や気温、湿度の観測では、風通しのよい柵で仕切って測器への不慮の障害を避けたり、芝を植えて日射の照り返しや雨の跳ね返りを少なくしたりしています。この設置場所を露場(ろじょう)といいます。
観測方法
ここでは、観測要素のうち、降水と気温の気象測器や観測方法について簡単にお話します。
<降水量>
降水量は、転倒ます型雨量計を用いて観測されています。0.5mmの降水量(雪やあられなどの固形降水の場合はヒーターで温めて水にしたもの)が、直径20cmの受水口に溜まると転倒ますが転倒する仕組みになっていて、時間ごとに合計された降水量を求めています。
<気温>
アメダスでの気温観測は、白金電気抵抗温度計が用いられています。温度を感知するセンサ部分がついていて、日射や照り返しの熱、雨や風を防ぐために通風筒と呼ばれる金属製の筒の中に格納されています。筒の中で熱がこもるのを防ぐため、ファンが付けられていて、下から上に向かって風を通りやすくする(空気の流れは約5m/s)仕組みとなっています。
また、通風筒の下端が地表または積雪面から1.5mの高さとなるように機器が設置されます。これは、地面の熱の影響を防いだり、人の背丈と同じぐらいになるような高さで観測するためです。
気温観測の仕組みやポイントは、こちらのコラムで詳しく解説しています。
<湿度>
気象庁では、令和3年3月から、アメダスにおいて相対湿度の観測が順次開始されています。水蒸気の監視能力を強化し、集中豪雨の予測能力を向上させることを目的としています。湿度計は、温度計とともに通風筒で保護されていて、感部の物質が乾燥したり湿ったりすることで変化する誘電率や電気抵抗から計算されています。
気象庁のホームページの「アメダス」からは、10分ごとに更新される気温、降水量、風向・風速の観測情報が見られます。近隣アメダスの最新の気温や湿度を確認して熱中症対策に役立てたり、現在までにどれぐらい雨が降ったかを数値やグラフで確認することで、災害発生の危険度を把握したりすることができます。
《参考資料》
・気象庁「地域気象観測システム(アメダス)」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/amedas/kaisetsu.html
・気象庁(気象観測の手引き)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf
・福岡管区気象台(地上気象観測)
https://www.jma-net.go.jp/fukuoka/kansoku/kisyo_kansoku.html
・仙台管区気象台(気温をはかるための器械)
https://www.jma-net.go.jp/sendai/knowledge/sokki/detail_sokki2.html