夏日や真夏日、猛暑日、熱帯夜とは?夏の暑さの用語を分かりやすく解説!

夏の暑さを表す言葉として「夏日」や「真夏日」、「猛暑日」、「熱帯夜」などを、天気予報やニュースなどで、見聞きする機会が増えてきました。
実は気象庁で定義されている言葉ですが、基準となる気温は分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、このコラムでは基準となる気温や体感などを気象予報士が解説します!

「夏日」とは?

夏日の定義と特徴

夏日は「日最高気温が25度以上の日」と気象庁で定義されています。
都心夏日日数
都心を例に見ていくと、3月に初めて夏日を観測する年が多く、2013年は3月10日に観測され、約150年続く観測の中の夏日の最早記録となっています(2024年現在)。一方で、遅ければ11月まで観測されることもあり、2000年以降は毎年、夏日日数が年間100日を超えています。

春や秋に夏日となる日の対策とは?

重ね着
春や秋に夏日になるような日は上着など脱ぎ着しやすい服装を選ぶと良いでしょう。
寒暖差が大きい時期のため、袖口が狭く腕まくりができないシャツでは調整ができず、反対に半袖一枚の外出は朝晩にヒンヤリし、体調管理が難しくなります。
寒暖差が大きい場合は日中に過ごす半袖や七分袖のシャツにプラスして、薄手のコートやジャケットなどがあると安心です。

「真夏日」とは?

真夏日の定義と特徴

真夏日は「日最高気温が30度以上の日」が基準となっています。
都心真夏日日数
東京都心を例にこちらも見ていくと、真夏日は早ければ5月に、遅いと10月まで観測されます。同じ30度といっても湿度によって体感は大きく変わり、湿度40%以下の比較的カラッとした陽気であれば、不快さはあまり感じられないでしょう。一方、湿度が80%を超えるような場合は汗が乾きづらく不快に感じる暑さとなります。

夏日と真夏日の体感の違いは?

どちらも湿度次第ではあるものの、夏日・真夏日ともに日なたでは暑く感じられますが、最高気温が25度前後であれば日陰や朝晩はヒンヤリと感じられるでしょう。
一方、真夏日は日陰でも熱風を感じるような暑さで、朝晩も比較的気温が高いことが多いです。

「猛暑日」とは?

猛暑日の定義と特徴

猛暑日は「日最高気温が35度以上の日」と気象庁で定義されています。
都心猛暑日日数

東京都心では、早ければ6月下旬から観測されはじめ、厳しい残暑が続くとお盆明けから9月前半まで観測されます。2010年以降は年間で10日以上観測される年が多く、昨年2023年は猛暑日日数が初めて20日を超えました。ただ、年によってもばらつきがあり、2017年と2018年、2021年は2~3日程度しか観測されませんでした。
こちらも湿度次第ではありますが、猛暑日になるような場合、湿度30%台でも熱中症に厳重警戒が必要な暑さで、湿度がさらに高い場合、熱中症指数は危険ランクに分類されます。

最近では40度を超えることも

梅雨明け後、お盆頃にかけては例年、全国的に暑さのピークを迎え、毎年のように最高気温40度超えのニュースを見かけるようになってきています。
2023年の夏までに、全国1,000地点近くあるアメダス観測点のうち国内33地点で40度以上の最高気温を観測している状態です。40度以上の日は、気象庁では「猛暑日」のような気温の基準は設けられていないですが、屋内外や年齢を問わず、命の危険が高まる暑さといえそうです。

外出が危険な暑さは何度?命を守る対策を

体質にも依存しますが、短い時間の外出でも危険な暑さの目安は最高気温36~37度でしょう。
人間の体温と同じか上回るような気温では、汗をかいても乾かず、短い時間の外出でも危険を伴います。また、このレベルになってくると、朝や夕方、夜間も気温が高いため、高齢者や乳幼児、基礎疾患をお持ちの方など、熱中症になるリスクがかなり高まります。
ご自身はもちろん遠方で暮らすご家族も積極的に声掛けや連絡をしましょう。エアコンを積極的に使い、冷房の効いた室内でも喉が渇く前の水分補給が大切になります。
熱中症応急処置

「熱帯夜」とは?

熱帯夜の定義と特徴

熱帯夜は、「夜間の最低気温が25度以上のこと」です。
熱帯夜となるような日は、昼間はもちろん厳しい暑さになることが多く、夜間も25度を下回らないと、気温の比較的低い朝晩も暑く感じられます。
熱帯夜の日数(※ここでは気象庁が統計を行っている日最低気温が25度以上の日数とします)は、都心を例に見ていくと年間20日前後となることが多く、昨年2023年は2013年の記録を抜いて最多の57日観測されました。

「スーパー熱帯夜」とは?

熱帯夜も寝苦しく感じますが、最低気温が25度を下回らないだけではなく、近年では30度を下回らないこともあります。
2023年時点では、全国の15地点のアメダスで30度以上の最低気温が観測され、東京都心でも2013年8月13日に最低気温が30.4度までしか下がらず、当時は国内の最低気温の高かった記録の2位となりました。
このような夜を「スーパー熱帯夜」と呼ぶこともあります。実は昨年2023年に新潟県で国内の最低気温の高い記録が塗り替えられました。2024年6月時点では糸魚川市で観測された31.4度が国内最高記録です。

「スーパー熱帯夜」が観測される日は日本の南の海上に台風があったり、前線の南側で暖かく湿った空気が流れ込みやすかったりするケースが多く、夜も気温が下がらず、かなりの寝苦しさになります。

熱帯夜の影響と快適な睡眠のための工夫

例年、6月~9月に熱帯夜が全国各地で観測され、夜も気温が下がらないため、昼間だけではなく夜間の熱中症対策も大切になります。熱中症予防には睡眠が不可欠ですから、冷房や扇風機、ヒンヤリ素材の寝具などを使って、快適な環境で過ごすようにしてください。

<参考>
気象庁「気温に関する用語」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html

気象庁「日々の天気図」
https://www.data.jma.go.jp/yoho/hibiten/index.html

気象庁「過去の気象データ検索」
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php