蝦夷梅雨の読み方は?北海道は梅雨入りと梅雨明けの発表がない
本州付近では 梅雨空が目立つようになってきました。北海道もこの時期にくもりや雨の日が続くと、「蝦夷梅雨 (えぞつゆ)」という独特な呼び方をすることがあります。
一般的に北海道には、はっきりとした「梅雨」がありません。7月にかけて梅雨前線がふらふらと北上することがありますが、北海道に停滞する年と停滞しない年 があるからです。気象庁ではこの特徴を踏まえて、北海道に対して梅雨入りや梅雨明けに関する情報を発表していません。「蝦夷梅雨」がいつからいつまでを期間の対象としているか明確な決まりもありませんが、東北の平年の梅雨入りとなる6月中旬以降を目安にしてみるといいかもしれません。2024年の最新情報や平年の梅雨入り/梅雨明けなどの詳細は、そらくらで詳しく紹介していますので、こちらから確認してみてください!
「蝦夷梅雨」を感じやすいお天気は?2つの特徴を解説
蝦夷梅雨を感じやすいお天気の特徴について、2つのポイントを解説していきます。
1つめは、梅雨前線の停滞です。天気図で6月から7月に停滞する前線を一般的に梅雨前線 と呼びます。梅雨前線が北海道に掛かり停滞するときは、くもりや雨の日が続き、「蝦夷梅雨」となります。また、梅雨前線上には小規模な低気圧が発生することがあります。この低気圧は、冬から春に見られるような急速な発達は起こりにくいですが、低気圧付近では積乱雲が発生しやすいため、大雨をもたらすことがあります。
2つめはオホーツク海高気圧からの冷たく湿った空気の流入です。オホーツク海高気圧とは、オホーツク海や千島近海に中心を持つ高気圧です。時期としては春後半から夏にかけて現れます。海から直接湿った空気が流れ込むため、北海道のオホーツク海側 や太平洋側東部を中心に雲が広がり、弱い雨の降りやすい天気となります。2020年の6月下旬はこの湿った空気の流入や上空の気圧の谷の影響で、記録的な日照不足となりました。くもり空が何日も続き「蝦夷梅雨」を感じやすい天気になりました。
蝦夷梅雨がもたらす大雨とは?2023年は記録的な大雨となった所も
低気圧による大雨 短時間強雨の記録1位を更新した地点あり(2023年7月13日)
2023年7月13日、北海道付近の低気圧と湿った空気が流入して、オホーツク海 側を中心に雨が降りました。大気は不安定な状態となり、網走・北見・紋別 地方では13日昼前から所々で雷を激しい雨となりました。昼過ぎには網走 地方で局地的に1時間80mmの猛烈な雨となり、美幌 (びほろ)のアメダスでは1時間降水量の日最大93mmを観測しました。1時間30ミリ以上の激しい雨の観測は2024年5月までの約50年間で5回となっていて、 統計上の記録でも1位を更新する大雨となりました。
前線停滞による大雨 登別のアメダスで日降水量150mm超(2023年7月15日)
2023年7月15日は梅雨前線の影響で、渡島地方 ・檜山地方を中心に激しい雨が降りました 。この影響で雨脚の強い時間帯があり、胆振地方の登別 のアメダスでは日降水量158.5mmを観測する大雨となりました。
2023年の7月中旬はくもりや雨の天気が続きましたが、このような「蝦夷梅雨」の中で大雨に繋がることがあるため、日々の天気予報の中で防災に関する注意喚起がある場合には気をつけておく必要があります。
備えのポイントは?防災用の備品を日常生活でうまく使い回して廃棄削減に!
「蝦夷梅雨」の大雨 シーズンを前に、防災用品の見直しをしておきましょう。飲食物や電池などの賞味期限は切れてないでしょうか?防災の視点では「ローリングストック」という言葉があります。非常時にも役に立つ食品 をうまく日常生活の中に取り入れて、古い物から順に使う考え方で、廃棄コストを抑えることが期待できます。身の回りでできる小さい備えの積み重ねが非常時に役に立つので、日々の生活から少し意識を向けてみてください!
<参考>
気象庁:雨・雪について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq1.html
気象庁:日々の天気図
https://www.data.jma.go.jp/yoho/hibiten/index.html
札幌地方気象台:北海道の天候のまとめ(2020年6月)
https://www.data.jma.go.jp/sapporo/tenki/kikou/weatherflush/pdf/sokuhou202006.pdf
網走地方気象台:令和5年7月13日の大雨に関する気象速報
https://www.data.jma.go.jp/abashiri/shosai/sokuhou/sokuhou20230714.pdf