暑さ指数(WBGT)って何?気温と違うの?
暑さ指数(WBGT)とは、ヒトが体温を調節をする際に影響が大きい気温・湿度・風・日差しの強さ(日射量)を考慮して算出している温度の指標です。熱中症の危険度を判断するための数値として用いられています。単位は、気温と同じ℃(摂氏度)ですが、数値は気温とは異なっています。
熱中症を引き起こす原因
熱中症は、体温の調節機能がうまく働かず、体に熱がこもり体温が上昇してしまうことで発症します。
それぞれの気象要素が、どのようにヒトの体温調節に影響しているか見ていきましょう。
●気温
ヒトの身体は、だいたい36℃程度に体温を保てるよう、自ら体温調節を行っています。汗をかくのは体温調節の一つ。かいた汗が蒸発する際に体の熱を外へ逃がす、つまり、皮膚の温度を下げる役割をしています。
気温が体温を上回るほどの高さになってしまうと、体から熱が逃げづらくなり、体温調節がうまくできなくなります。
●湿度
湿度が高いほど汗が蒸発しづらくなり、体に熱がこもりやすくなります。
●風
風が弱いほど体に熱がこもってしまいます。
●日差しの強さ
太陽からの日差しや、地面からの照り返しが強いほど、体は日差しのエネルギーを受け取り、熱がこもってしまいます。
熱中症に注意が必要な気象条件は、「気温が高い」「湿度が高い」「風が弱い」「日差しや照り返しが強い」日や場所ということになります。
また、高齢者や子供、糖尿病などの持病を抱えている方、二日酔いや寝不足など体調が悪い時、まだ体が暑さに慣れていない時など、年齢や体質、体調、時期的な要因も、熱中症を引き起こす原因になります。
暑さ指数ごとの気温・湿度の目安と注意事項
暑さ指数の数値によって「危険・厳重警戒・警戒・注意・ほぼ安全」の5つのランクに分け、熱中症への対策を呼びかけています。ランクごとの気温・湿度の目安と、対策時の注意事項を解説していきます。
◆危険:暑さ指数(WBGT)31℃以上
・気温と湿度の目安:
湿度100%では「気温28℃」、夏の平均湿度(※東京の6月~8月の30年平均値)約80%の時は「気温31℃」で「危険」ランクに達します。
・対策時の注意点
外出はなるべく避け、涼しい室内で過ごしましょう。高齢者は、安静にしていても熱中症になってしまう可能性があります。
運動は、子供の場合は原則禁止。大人の場合も、特別な事情がない限り中止をした方が良いでしょう。
◆厳重警戒:暑さ指数(WBGT)28℃以上31℃未満
・気温と湿度の目安:
湿度100%では「気温25℃」、夏の平均湿度(※東京の6月~8月の30年平均値)約80%の時は「気温28℃」で「厳重警戒」ランクになります。
・対策時の注意点
外出の際は、炎天下を避けて過ごしましょう。室内でも、室温の上昇に注意が必要です。
運動をする時は、10分~20分おきに休憩をとり、休憩の度に水分・塩分を補給しましょう。持久走などの激しい運動は体温が上がりやすいため、実施を避けた方が良さそうです。
◆警戒:暑さ指数(WBGT)25℃以上28℃未満
・気温と湿度の目安:
湿度100%では「気温22℃」、夏の平均湿度(※東京の6月~8月の30年平均値)約80%の時は「気温25℃」で「警戒」ランクになります。
・対策時の注意点
運動や激しい作業をする際は、定期的に休憩を取り、水分・塩分を補給するようにしましょう。持久走などの激しい運動をする際は、30分に一度を目安に休憩を取るといいですよ。
◆注意:暑さ指数(WBGT)25℃未満
・対策時の注意点
日常生活の中では熱中症になる危険は少ないですが、激しい運動や重労働をしている際は、発症の可能性があります。喉の渇きやめまい・頭痛など、熱中症の初期症状を感じないか注意しながら、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給しましょう。
熱中症かな?と思った時の応急処置
もしご自身やお子さんなどまわりの人が熱中症にかかったかもしれないと思ったら、下記のアクションリストを参考に、ケアをしてみましょう。熱中症は、最初の対応が重要ですから、落ち着いて状況を確かめ、対処して見て下さい。
熱中症にかかったかもしれない場合は、「体を冷やすこと」と「水分を補給すること」の二つを同時に行うことが大切です。応急処置のポイントをまとめました。
ポイント① 体の冷やし方
こもっている熱を逃がすため、体の表面の近くに太い血管が通っている首のまわり・わきの下・太ももの付け根を冷やしましょう。冷やされた血液が体を巡り、効果的に体を冷やす事ができます。
冷やすものは、保冷剤か氷のうが良いでしょう。屋外で、冷やすものがない場合は、自動販売機などの冷えたペットボトルや缶が、保冷剤の代わりとして使用できます。
おでこに貼る冷却シートは、熱を下げる効果がありませんが、気持ちよさそうであれば使用してみて下さい。
ポイント② 水分補給の仕方
大量に汗をかいている場合は、水分と塩分を同時に摂取できる経口補水液やスポーツドリンクを飲みましょう。
赤ちゃんの場合は、母乳やミルクを飲ませてあげて下さい。
幼児の場合は、いつも飲んでいる麦茶や乳幼児向けのイオン飲料がおススメです。
熱中症の関連コラムも参考になさって下さい。
熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの違いは?基準と対策を解説
<参考資料>
環境省 熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/
日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針_ver_4」
https://seikishou.jp/cms/wp-content/uploads/20220523-v4.pdf
環境省 熱中症環境保健マニュアル2022
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php