【今週振り返りトピック】兵庫県でひょう!北海道の気温差20度以上!長野県で円形の雨雲発生

今週(4月15日~19日)は、気象に関する様々な出来事がありました。そこで、この記事では、今週起こった様々な気象に関する出来事を振り返ってみます。

大気非常に不安定で兵庫県でゴルフボール大のひょうが降る

2024年4月16日(火)の夜、兵庫県を中心にひょうが降りました。ゴルフボール大のひょうが降った地域もあり、建物が損傷したり、ケガ人が発生したりする被害がありました。なぜ、このような大粒のひょうが降ったのでしょうか?その原因は、上空と地上の気温差が大きくなったからです。この日、兵庫県の上空約5,500mには、氷点下18℃の寒気が流れ込みました。一方、地上付近は気温が上昇し、日中の最高気温が20℃を超え、夏日となった所もありました。このため、上空と地上付近の気温差が大きく、大気の状態が非常に不安定となり、1時間最大降水量17mmのやや強い雨や落雷、ひょうが降りました。

これから夏にかけて、突然、雷雨が発生しやすくなります。天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉を耳にしたら、急な強い雨や落雷、竜巻などの突風、ひょうに注意してください。大気の状態不安定という言葉の意味については、以下の記事で解説していますので、チェックしてみましょう。

大気の状態が不安定ってなに?春夏秋冬の季節ごとに原因や注意点を気象予報士が解説

北海道で地域の気温差大!その差はなんと20℃!?

2024年4月16日(火)、最高気温が全国的に広い範囲で平年を大きく上回りましたが、北海道では地域での気温差がとても大きくなりました。

上の画像は、2024年4月16日(火)の北海道付近の日最高気温を表しています。この気温分布を見ると、北海道の北側は気温が高く、南側は低くなっています。この日、北海道の最高気温で一番高くなったのは網走地方の「滝上」で28.5℃まで上がりました。一方、北海道で最高気温が一番低かったのは十勝地方の「広尾」で8.4℃までしか上がりませんでした。その最高気温の差は20.1℃もありました。なぜ、このような気温分布となったのでしょうか?その原因は「フェーン現象」が発生したと考えられます。フェーン現象とは、湿った空気が山を越えて反対側に吹き下りたとき、その風の吹き下りた側(風下側)の地域で、乾燥した高温の風が吹くことをいいます。

この日の天気図を見てみると、日本の東側には高気圧が、西側には低気圧があるのが分かります。この気圧配置の場合、日本付近は南よりの風が吹き込む特徴があり、北海道もこの南よりの風が吹いたと考えられます。北海道では、この南よりの風が山脈を越えて、風下側にあたるオホーツク海側を中心にとした北側の地域で、気温が上昇し、4月としては記録的な高温となりました。逆に、北海道の南側の地域では、平年並かやや低いぐらいの気温となったため、このような気温差が発生しました。

なお、フェーン現象については以下の記事で詳しく解説していますので、読んでみてください。

フェーン現象とは?原理と起こりやすい地域をわかりやすく解説

雨雲レーダーに謎の円が出現!?

2024年4月15日(月)の昼前、雨雲レーダーに突如円形エコー(電波の反射波)が出現しました。

この時間に雨雲レーダーを見た方は、ビックリした人も多いのではないでしょうか?実際には、このような形で雨が降った訳ではなく、レーダーの不具合で一時的に円形のエコーが発生してしまったようです。雨粒や雪粒にレーダーが反射して戻ってきた波を雨雲レーダーとして表示していますが、似た周波数の電磁波があると間違って受信してしまうことがあり、気象庁では電磁波を管理する総務省に報告をしています。
実は、雨雲レーダーですが、実際に雨が降っていなくても、エコーが出てしまうことがあるのです。例えば、レーダーの電波が曲がって、建物や山にぶつかってしまい、それがエコーとなって表れることがあります。これを「グランドクラッタ」と呼びます。また、レーダーの電波が海上の波のしぶきに当たって、エコーが発生してしまうこともあります。これは「シークラッタ」と呼びます。これらはレーダーの不具合や故障ではなく、性質上発生してしまうものなのです。
このように雨が降っていなくても、レーダーの不具合やグランドクラッタ、シークラッタなどが発生するとエコーが発生してしまうことがあります。

ここまで今週の気象トピックスを解説してきました。気象現象以外にも、17日(水)深夜には四国や九州で最大震度6弱の地震が発生し、被害に見舞われた方もいらっしゃると思います。また、18日(木)には札幌で昨年に次ぐ2番目の早さで桜が開花するなど明るいニュースもありました。これから梅雨・台風など本格的な雨のシーズンを迎えますので、普段以上に天気予報に目を向けてみましょう!

参考
気象庁 神戸地方気象台 令和6年4月16日の大気不安定に伴う降ひょう等について
https://www.jma-net.go.jp/kobe-c/bousai/saigai/pdf/20240417kishousokuhou.pdf

気象庁 気温の状況(4月16日) 閲覧日2024年4月18日
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/mdrr/tem_rct/index_mxtem.html

気象庁 気象レーダー
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html