【獣医師監修】リストで確認!ペットと一緒に避難するときに必要なことは?

今年2024年3月11日で東日本大震災から13年。
1月1日には令和6年能登半島地震や、昨年も梅雨前線や台風による大雨が発生し、ペットと一緒に避難をするうえで、不安を感じた飼い主の方も多いと思います。
そこで、今回は、気象予報士で獣医師資格もお持ちの鈴木勝博先生にお話を伺いしました。

<監修>鈴木勝博氏【獣医師】
北海道大学獣医学部卒。卒業後は、都内の動物病院で勤務。その後、気象予報士の資格を取得し、㈱ライフビジネスウェザーに入社。現在は、テレビ局で気象キャスターのアドバイザー業務を行う。また、アニコム損害保険株式会社の協力のもと、「犬の熱中症週間予報」、「猫の熱中症週間予報」を発表している。

 

――災害が発生する前に飼い主として考えておきたいことはなんでしょうか?

鈴木先生:まずは、家から近い避難所が、ペット受け入れ可能かどうか、お住いの市町村のホームページで確認しておきましょう。どうしてもペットの受け入れができない、という場所もあるかもしれません。災害発生時の状況によって変わってくることもありますが、避難所の受け入れ態勢を念のため確認しておくといいと思います。
次に、実際に避難所まで移動するときのことを考えます。「避難所までペットとともに安全に移動すること」、これを“同行避難”といいます。
発生する災害は、地震や大雨、台風などによって様々ですが、どんな災害が発生しても、どんな状況になっても、ペットが落ち着いて、スムーズに同行避難ができるか、非常に重要になります。

・リード・ハーネス等を嫌がることなく着けられるか
・ペットキャリーにすぐに入るか
・避難所へ一緒に歩いて移動するペットは、飼い主さんから離れず歩けるか

など、しつけの中で教えておきましょう。“普段から当たり前のようにできる”ということが、不測の事態が起きた時にとても役に立ちます。これらの点を踏まえたうえで、ペットとともに避難訓練をしておくのも、よいと思います。

 

――ペットのために備えたい防災グッズを教えてください。


鈴木先生: まず、同行避難のためのリード・ハーネス・首輪・キャリーなどです(これは普段から使っているものでも構いません)。前の項でも書きましたが、着けること・入ることを嫌がらないように、慣らしておきましょう。
避難所での生活のため、フードを準備する必要があります。災害の規模などにより、避難所で過ごす期間は変わりますが、少なくとも1週間分くらいのフードがあると安心です。ただ、ペットの大きさ次第では、フードがかなりの重さになり、運ぶことが難しくなることも。少量でも高栄養のフードがありますので、そういったものを用意してもいいでしょう。
トイレのことで困らないように、ペットシーツも複数枚用意しておくと安心です。
避難所の設備の関係で、簡易のゲージが必要になることもあります。この点は、受け入れ態勢とともに事前に避難所に確認をしておくといいと思います。
持病のあるペットは、薬も忘れずに持って行きたいですね。
もし冬の寒い時期に避難が必要なときは、お気に入りのタオルケットなどを用意しておくと、いいかもしれません。寒さ対策になりますし、ペットの安心にもつながります。
防災グッズは、1つのリュック等にまとめて入れておき、すぐに持ち運べるようにしておきましょう。
また、万が一、飼い主さんと離れ離れになった時のことを考えて、首輪やマイクロチップをつけて、身元などペットの情報が分かるようにしておいてください。

 

――避難所で慣れない環境で特に飼い主が注意したほうが良いことはありますか?

避難所では、ペットが飼い主さんのそばで過ごせないことがあります。避難されている方の中に動物に対するアレルギーを持った方がいらっしゃる場合です。その際は、指定の場所にゲージもしくはキャリーを置くことになるでしょう。そして、他の避難したペットたちとともに過ごすことになります。
こうした状況の中では、普段からのしつけが大切で、むやみに吠えたり鳴いたりしないよう教えておくと、ペット自身のストレス軽減につながると思います。加えて、飼い主さんたちも「周囲に迷惑を掛けていない安心感」を持つことができるのではないでしょうか。いつもと異なる環境で、ペットたちも不安になり、静かに過ごしてもらうことはなかなか難しいとも思いますが、できるに越したことはありません。しっかり教えてあげてください。
ワクチンの接種やノミ等の予防・駆除も必ずしておきましょう。ペットたちが近い距離間で過ごすことになった時、自分のペットが病気や寄生虫をもらわない、逆に自分のペットか広げてしまわないようにするために、必要なことです。

 

――最後に飼い主さんに伝えておきたいことはありますか?

災害が迫り、避難所への移動が必要な時、家族の一員であるペットとともに避難したいと考えるのは当然です。
その時に、躊躇することなく、即座に避難することができるように、日ごろから意識して、ペットたちと生活していきましょう。