梅といえば、桜より一足早く春の気配を感じされてくれる風物詩ではないでしょうか。花を愛でてもよく、実は梅干しや梅酒などにも使われ、日本人の暮らしに馴染みがあります。
このコラムでは梅の種類や特徴、開花や気象との関係などについて解説し、各地の梅の名所も紹介していきます。
梅の花は白色?赤色?種類や特徴とは
梅はバラ科サクラ属の花木で、品種は数が多く、300種類以上あると言われます。
園芸学では“花梅(はなうめ)”と“実梅(みうめ)”に大きく分類され、花梅はさらに花や枝の性質によって3系9性(あるいは8性)に分けられます。また、色で分けることもあり、大きくは“白梅”と“紅梅”に分類されます。
<園芸面での分類>
① 花梅(はなうめ)
花が鑑賞される梅のことです。3系統と9つの性(しょう)に分けることが一般的です。
・野梅系(やばいけい)
山などに自生する梅で、原種に近く、枝は細くて花や葉が小さめです。
野梅性(やばいしょう)・難波性(なにわしょう)・紅筆性(べにふでしょう)・青軸性(あおじくしょう)に分類することができます。
・緋梅系(ひばいけい)
野梅系が変化したもので、枝の部分が赤くなり、花は紅がほとんどです。
紅梅性(こうばいしょう)・緋梅性(ひばいしょう)・唐梅性(とうばいしょう)に分けることができます。
・豊後系(ぶんごけい)
梅と杏を掛け合わせたもので、葉が大きく、桃色の花が多いのが特徴です。
豊後性(ぶんごしょう)・杏性(あんずしょう)に分類することができます。
② 実梅(みうめ)
実を収穫して利用する梅のことです。
<色による分類>
① 白梅
枝の断面が白色なのが白梅です。花の色も白いことが多いものの、中には赤い花のものもあります。
② 紅梅
枝の断面が赤っぽい色をしているのが紅梅です。赤い花だけではなく、白い花を咲かせるものもあります。
また、1本の梅の木に赤白どちらの花も咲くことがあります。これを「源平咲き」といい、遺伝子の突然変異によって起こります。「源平咲き」の呼び名の由来は、平安時代の源平の合戦で、源氏は白色の旗、平氏は赤色の旗だったことによるそうです。
梅の開花と気象との関係
・開花までのプロセス
梅の花が開花するまでの仕組みは桜の花と似ています。
まず、生長すると梅の花となる“花芽”は前年の夏までに作られます。この花芽は秋から冬にかけて“休眠”し、一定の寒さにさらされると休眠から目覚め(休眠打破)、その先は気温の上昇とともに生長して蕾が形成され、次第に蕾が色づいて、冬の終わりから春になると梅の花が開花します。
なお、梅の果実は開花後に作られます。
・梅の開花と桜の開花はどちらが早い?
梅の開花は、温暖な地域では1~2月頃と、桜(ソメイヨシノ)より一足早く咲きます。一方、寒冷な地域では3~4月頃と、ソメイヨシノと同じぐらいか、場所によっては遅く開花することもあります。温暖な地域を中心に、桜より梅の開花時期のほうが早くなりやすいのは、休眠打破に必要な低温の条件が桜より梅のほうが緩く、また開花を促す気温が低いからです。
梅の花の観測と平年の開花日
気象庁では、毎年全国の梅の開花日を観測しています。
開花日の定義は、「標本木で5~6輪の花が開いた状態となった最初の日」で、桜の場合は満開日も観測していますが、梅は開花日のみです。
標本木は、白い花を咲かせる白梅(ハクバイ)で、品種の指定は特にありません。青森県ではブンゴウメが観測されています。
平年の開花日は、概ね以下の等期日線図の通りです。
全国でおすすめの梅の名所8選
お花見といえば桜をイメージする方も多いかと思いますが、梅のお花見もおすすめです。ここからは梅の名所をピックアップしてお届けします!
① 北海道神宮(北海道)
梅と桜を同時にお花見できるスポットとして知られています。境内には約200本の梅の木があり、その梅の実で梅酒がつくられています。
住所:北海道札幌市中央区宮ケ丘474
URL: http://www.hokkaidojingu.or.jp/
② 偕楽園(茨城県)
日本三名園の1つで、園内には約3,000本もの梅の木があります。2~3月頃には120年以上の歴史をもつ「水戸の梅まつり」が開催されます。
住所:茨城県水戸市常磐町1丁目3-3
URL: https://ibaraki-kairakuen.jp/zukan/
③ 皇居外苑 / 北の丸公園(東京都)
皇居周辺には梅を見られるスポットがいくつかあります。北の丸公園には、東京の梅の標本木(2017年3月~)もあります。イチョウやカエデの標本木も北の丸公園で、桜は靖国神社です。
住所:東京都千代田区皇居外苑1-1 / 東京都千代田区北の丸公園1-1
URL:https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/2_guide/index.html
④ 岩本山公園(静岡県)
富士山と梅の撮影スポットとして有名です。公園内には紅白の梅が約300本あり、多くのカメラマンが訪れます。
住所:静岡県富士市岩本花木立1605
URL:https://www.fuji-kousya.jp/park/kaika.html
⑤ いなべ市農業公園(三重県)
東海エリア最大級と言われる約4,500本の梅が咲き乱れる絶景スポットです。2~3月頃は梅まつりが行われます。
住所:三重県いなべ市藤原町鼎3071
URL:http://www.inabe-nougyoukouen.com/access.html
⑥ 北野天満宮(京都府)
北野桜も有名ですが、約1,500本の梅の木があり、品種も多いため、例年では1月下旬~3月中旬頃にかけて、紅白の梅の花を楽しむことができます。
住所:京都府京都市上京区馬喰町
URL:https://kitanotenmangu.or.jp/
⑦ 大阪城 梅林(大阪府)
桜だけではなく梅の名所でもあり、1,200本以上の梅の木が植えられていて、梅林から見る大阪城は風情があります。
住所:大阪府大阪市中央区大阪城2
URL:https://www.osakacastlepark.jp/flower/plum_grove.html
⑧ 太宰府天満宮(福岡県)
約6,000本の梅の木がある境内の中でも、藤原道真公を慕った「飛梅」は由緒ある御神木として祀られ、その梅の実を使った「飛梅御守」も頒布されています。
住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7-1
URL:https://www.dazaifutenmangu.or.jp/
<参考・引用>
・気象庁 「うめの開花日」
https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/ume2020.pdf