冬も危険!「かくれ脱水」の症状と簡単にできるチェック方法とは?

夏は汗を多くかき、熱中症を意識するため、水分を多くとりますが、冬のこの時期は意外と身体の脱水が進んでいることがあるんです。
このコラムでは、冬ならではの脱水について、その症状やチェック方法、治し方を解説していきます。

冬に多い「かくれ脱水」とは?冬こそ注意が必要

人の身体は半分以上を水が占めています。この体内の水のバランスが崩れ、不足した状態のことを「脱水」と言います。
不足する要因としては、夏に多いのが汗による脱水です。一方、冬に多いのは発熱による発汗や嘔吐による脱水、胃腸の調子が悪く水分を控える行動などです。

このほか、空気の乾燥も挙げられます。東京都心の平均湿度は12月から3月に60%以下となり、1月が最も低くなります。例年、冬に雨や雪の多い日本海側も暖房の効いた室内では、空気の乾燥が意外と進みます。
乾燥していると、目には見えませんが、皮膚からも水分が蒸発しやすく、喉の渇きを感じにくいなどの要因も重なり、知らず知らずのうちに脱水の症状が進んでいくことがあります。これが「かくれ脱水」です。

脱水の症状とは?重大な病気を引き起こすことも

脱水の症状は様々なものがありますが、比較的軽い症状では、口の渇きやめまいなどが挙げられます。症状が進んでいくと頭痛などが起き、重い症状としては意識障害やけいれんなどが見られます。
脱水により、体内の血液の流れが悪くなり、冬であれば心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まるとされています。
また、冬に流行しやすい感染症による脱水にも注意が必要です。ノロウイルスによる感染で、嘔吐や下痢などの症状によって体内の水分量が一時的に少なくなったり、インフルエンザによる高熱で大量の汗をかき、脱水が進んだりします。
そらくらでは、冬に流行しやすい感染症について、まとめています。

【小児科医監修】冬に流行しやすいこどもの感染症一覧|なぜ冬に流行る?

いつの間にか脱水状態に!10秒でできるチェック方法とは?

このように冬でも脱水が知らないうちに進んでいることがあります。不調を感じた場合はチェックリストを使って、症状を確認してみると良いでしょう。自分だけではなく、お子さまやご高齢のご家族も併せて確認してみましょう。
・爪を押してみよう
爪をつまんでみて白かった爪の色がピンク色に戻るのに3秒以上かかっている場合は脱水状態になっている可能性があります。
・手足の温度をチェック
手先・指先は血管が細いため水分が不足すると血流が悪くなり、冷たくなるため注意が必要です。
・皮膚をつまんでみよう
脱水が進んでいる場合は皮膚がもとに戻りにくく、手の甲の皮膚をつまんで3秒で戻らない場合、脱水の疑いがあります。

そのほかの自覚症状は以下が挙げられます。

自分の体重の5分の1以上の水分が失われると命に関わるとも言われているため、初期症状で自覚し、早めの対処を行ないましょう。

脱水の症状が現れたら?普段からできる予防も解説

チェック項目に該当する場合は、速やかに水分補給を行いましょう。
経口補水液やスポーツドリンクは塩分・糖分を一緒に補給できますので、普段から常備しておきましょう。ただ、体調不良などにより、水分摂取が困難な場合は、医療機関を受診してください。さらに症状が重く、意識障害やけいれんなどの症状がある場合は、ためらわず救急車を呼ぶようにしましょう。
日常生活でできる予防としては、水分をこまめにとることです。1日に必要な水の量はおよそ2.5Lといわれていますが、そのうち半分の約1.3Lは体内や食事で作られます。残りのおよそ1.2Lを目安として水分補給する必要があり、冬は特に意識してとるようにしましょう。大量の水を一気に飲むと体内の電解質のバランスが崩れるため、コップ1杯の水を複数回に分けて飲むと良いでしょう。
また、皮膚の乾燥が進むことにより、脱水が起きやすくなりますので、室内では加湿器を使ったり、ハンドクリームやボディクリームなどを使い、スキンケアをしたりすることもおすすめです。

ここまで「冬の脱水」について解説しました。
空気の乾燥する冬が到来しますが、この冬は水分を多くとることを心がけて過ごしてみましょう!

<参考>
・日本医師会「健康ぷらざ かくれ脱水に注意」
https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/415.pdf

・厚生労働省「職場のあんぜんサイト 爪を押してセルフチェック」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2015/sakuhin5/images/n264_1.pdf

 

<監修>吉田邦枝先生【小児科医】 東京医科歯科大学医学部卒。同大学小児科学教室に入局、関連病院で研修後、子育て期間を経て、現在は東京都内、埼玉県内のクリニックに勤務。日々こどもの診療に奮闘中。自然科学全般に興味があり、気象予報士の資格も取得。