二十四節気「秋分」の意味
秋分(しゅうぶん)は、昼と夜の長さがほぼ同じ日で、暦の上では秋の折り返し地点です。ただ、実際に昼と夜の時間がぴったり同じになるのは、秋分を3~4日過ぎたあとです。この原因は、日の出や日の入りが、太陽が地平線から見える時間と見えなくなる時間をとっているためで、太陽に大きさがあるぶん、秋分はまだ昼の方が数分長くなります。
秋分の七十二候
・ 初候:雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ) 9月22日~9月27日頃
夏の時期は夕立で鳴ることの多かった雷がおさまる頃です。
夏を代表する雲の1つが「入道雲」とも呼ばれる積乱雲で急な雨や雷雨をもたらします。入道雲は一年中発生しますが、夏の空によく現れ、日中の暑さが落ち着いてくるとともに、「うろこ雲」や「いわし雲」、「ひつじ雲」といった秋らしい雲を見ることが多くなります。
・ 次候:蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ) 9月28日〜10月2日頃
3月の啓蟄の時期の七十二候、「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」と対になっていて、”啓”という字には開くという意味が、“坏”には閉ざす・埋めるといった意味があります。
少しずつ寒さが増して、虫が土中にこもって巣ごもりをし始める頃です。虫の種類にもよりますが、気温が15℃を下回るようになると、越冬のために冬眠を始めるようになります。一日の平均気温が15℃以下になるのは、平年(1991~2020年)では、東京が11月上旬頃、仙台で10月中旬頃、札幌は9月下旬頃ですので、札幌あたりにお住いの方には、今の時期にあった七十二候と言えそうです。
・ 末候:水始涸(みずはじめてかるる) 10月3日~10月7日頃
涸という字は、かれる・からすといった意味を持ち、穀物は収穫の最盛期を迎えて、田畑の水が抜かれて干し始める頃です。
この時期の田畑では、稲刈りに備え、「落水」といって水が抜かれます。黄金色に輝く稲穂は、収穫の秋の日本を象徴する原風景ではないでしょうか。刈られた稲は、現代ではコンバインによって脱穀や選別まで同時に行うことができますが、昔は稲架掛け(はさがけ)というお米を乾燥させる作業があり、現在でも行っている農家があります。
この時期に使える時候の挨拶
時候の挨拶とは、手紙などの最初に書く季節を表す言葉や挨拶文です。
さまざまな表現がありますが、9月中旬~10月上旬にかけて、よく使われるものをいくつかご紹介します。
① 秋分(しゅうぶん)の候
秋分の日を迎える頃になりましたね~という意味です。
二十四節気の秋分から次の節気の寒露の前日まで使うことができます。
② 名月(めいげつ)の候
中秋の名月の頃になりましたね~という意味です。
2023年の中秋の名月は9月29日となります。
③ 秋雨(しゅうう)の候
秋の長雨の降る頃になりましたね~という意味です。
秋雨前線の停滞する9月〜10月上旬頃にかけて使われることが多くなります。
④ 仲秋(ちゅうしゅう)の候
秋も半ばになり、だいぶ深まってきましたね~という意味です。
仲秋は、二十四節気の白露(9月上旬)から寒露の前日までを指し、その間の約1か月に渡って使うことができます。
⑤ 良夜(りょうや)の候
澄んだ空に月が明るく輝いてきれいですね~という意味です。
特に、中秋の名月の夜を指し、9月中旬~下旬にかけて使われます。
二十四節気や七十二候については、こちらのページでも解説しています。